メラトベルとはどんな薬?自閉スペクトラム症のある子どもなどに処方される睡眠障害の改善薬メラトベルの効果や副作用などを詳しく解説!

2021/01/28 更新
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メラトベルとは、メラトニンを成分とした入眠改善薬です。メラトベルは、6歳から15歳までの神経発達症(主に自閉スペクトラム症)のある子どもに対して処方される薬で、2020年3月に承認され、同年6月23日から販売が開始されました。
今回は、メラトベルについて詳しくお伝えしていきます。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。いばらき発達障害研究会世話人。東京都専門機能強化型児童養護施設事業非常勤医師。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。著書に、『新訂版 発達障がいに困っている人びと』(幻冬舎刊)がある。

神経発達症のある子どもとメラトベル

メラトベルは、6歳から15歳までの神経発達症(主に自閉スペクトラム症)のある子どもに対して処方される薬です。6歳未満および16歳以上の患者への安全性は確立されておらず、それらの年齢の人には保険診療で処方できない薬です。
また、新薬のため令和3年5月末までは2週間分しか処方できません。

神経発達症のある子どもは、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めてしまうなどの睡眠障害で悩むことが少なくありません。睡眠障害に伴う睡眠不足は、神経発達症の多動や過活動、興奮状態、怒りっぽいといった症状を強めることもあり、日中は目覚めていても眠気が強く集中力を欠いてケガの元になることもあります。しかし、夜になると元気になり、興奮状態に陥り眠れず、近年では電子メディアを見ることで光(ブルーライト)が目に入り、余計眠れなくなるという悪循環に陥るケースも増えています。

メラトベルの有効成分であるメラトニンそのものは、海外ではドラッグストアなどで購入可能ですが、これまで日本では神経発達症のある子どもの睡眠障害に対する医薬品は承認・販売されていませんでした。そこで、ノーベルファーマ株式会社が2013年から同剤の臨床試験を開始。2020年に販売が開始となりました。
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どのような仕組みで睡眠に効果があるの?

メラトベルの成分は、身体のなかで分泌するメラトニンというホルモンです。メラトニンが作用することで眠くなるのです。
そもそもメラトニンは、脳のなかの松果体でつくられるホルモンで、概日リズム(サーカディアンリズム)の調節をする働きをし、眠りを促す作用があります
メラトニンの分泌は、視覚で感じる明暗の周期によってコントロールされており、血液中の濃度は午後のおやつ時と夜間に高くなるといわれています。その時間帯は眠気が出るため居眠り運転等による交通事故が多いというデータもあります。

メラトニンはパイロットやCAなど時差のある職種で時差ボケを防ぐ目的としても用いられています。
人間は朝陽を浴びることで視交叉上核にある体内時計がリセットされ、そのおよそ15時間後にはメラトニンが分泌され眠くなる(睡魔)というリズムがあります。夜にメラトニンが分泌されて眠くなると子どもの手は熱くなり、体内から熱を放出することで体温を下げて眠りの準備に入るのです。メラトニンは光によって抑制されます。子どもが夜眠くなっても親と一緒にTVやゲームなどの電子メディアを見続けることによって脳が目覚めてしまい、その結果、入眠時刻の遅延が生じ、概日リズム(サーカディアンリズム)が乱れるというケースも増えています。リズムが乱れることで子どもは興奮しやすく、怒りっぽくなることもあります。

6歳から15歳の自閉スペクトラム症に伴う睡眠障害のある子どもに対して行った臨床試験の結果、メラトベル投与2週間後の電子睡眠日誌による記録で、寝床に入ってから眠りにつくまでの時間(入眠潜時)が短縮し、統計学的に有意であるということが認められました。

使用方法・用量は?

メラトベルの使用方法・用量は以下の通りです。
・ 使用開始:0.5g(メラトニン1mg)
・ 用法:1日1回就寝前
・ 最高用量:2g(メラトニン4mg)
※新薬のため令和3年5月末までは2週間分しか処方できません。

メラトベルは、6歳から15歳までの子どもに処方される薬です。用量は0.5g(メラトニン1mg)から2g(メラトニン4mg)までです。最初の処方時には、0.5g(メラトニン1mg)から使うことが基本となっています。3ヶ月程度経過したら継続投与するかどうか再評価していきます。
※SSRI(セロトニン再取り込み抑制剤)とは一緒に服用することができません。

服用するタイミングは就寝前(寝たい時間の直前)です。食事と同時や食事直後の服用は、最高血中濃度が低下する事例が臨床試験において確認されているため、避けることが望ましいです。

メラトベルの副作用や注意点

国内での臨床試験で確認された主な副作用は、傾眠4.2%、頭痛2.6%、肝機能検査値の上昇が1.3%でした(308例中)。

メラトベルは比較的副作用が少ない薬ですが、起床後も眠気が続いたり、めまいがしたりといった症状が副作用として出る場合があるので、保護者が子どもの活動内容などについて、十分に配慮する必要があります。メラトベルを服用しているあいだは、高いところに登るなどの遊びや行動、自転車などの運転にも注意を払った方が良いでしょう。また、小学校高学年以上の年齢の場合には、危険性の高い電動工具などの機械操作は避けるようにしてください。思わぬ事故につながる可能性があります。また、一度眠った後に起床して何かをする予定があるときは、服用をやめることが必要です。

副作用として気になる症状が出た場合には、早めに医師に相談し、服薬量の調整や、場合によっては服薬の中断や薬の変更なども含めて、指示を仰ぎましょう。

また、睡眠障害改善のためには、薬だけに頼らず、併せて生活習慣を見直していくことも大切です小児の睡眠障害の治療では、睡眠習慣に関する指導が重視されています。
前述のように、メラトニンは昼間の分泌は少なく、夜間に多く分泌されることで、眠りへと導いてくれるものです。昼間に太陽の光をたくさん浴びて活動しておくなど、基本的なことが安定した睡眠のためにとても重要です。
心がけたい項目は以下のものです。
・ 朝の日の光を浴びる
・ 朝ごはんを食べる
・ 昼間、体を動かす
・ 夜は早く寝る、寝る際には部屋を暗くする
(常夜灯も消す)

メラトベルの臨床試験でも、服薬と合わせて睡眠習慣に関する指導が行われています。
このように生活習慣を整えながら、そのうえで睡眠が改善されなければ治療方法を医師と検討していきましょう。

他の睡眠導入剤との違い

メラトベルは、前述した通りメラトニンを成分とした薬です。2010年から発売されていたロゼレムは、メラトニン受容体に作用する薬です。メラトベルは体の中でつくられる「メラトニン」そのものが有効成分なので、より自然に作用し、睡眠を促してくれるといえます。安全上、受容体作動薬は小児にはまず適応されません。

また、ロゼレムは本来大人用の薬ですが、メラトベルは6〜15歳の子ども用の薬という特徴もあります。さらに、メラトベルは自閉スペクトラム症やADHDなどの神経発達症のある子どもにのみ認められている薬です。それ以外の子どもの睡眠導入剤としては処方されていません。神経発達症に関わらない子どもの不眠症に対してはわずかに入眠を改善するという報告のみで、処方対象になっていないのです。

まとめ

今回は2020年6月に発売された、6歳から15歳までの神経発達症のある子どもに対して処方される入眠改善薬『メラトベル』をご紹介しました。

これまで、自閉スペクトラム症などの神経発達症のある子どもの睡眠障害については数多く報告されていたものの、その症状を改善する薬はこれまで日本では販売されていなかったのです。

2019年には小児神経学会から「神経発達症に伴う睡眠障害に対するメラトニンの早期承認」についての要望書が厚生労働省に提出されるなど、メラトニンの有効性に対しては以前から大きな期待が持たれていました。

メラトベルが発売されたことで、神経発達症のある子どもの睡眠障害が改善され、またその家族のQOLが向上することも期待されています。

治療薬の選択は主治医と相談のうえ、主治医の指示に従ってください。また、睡眠障害には薬だけでなく、生活リズムを改善することも重要です。子どもの特性に合わせてできるだけ、家族がサポートをしつつ生活習慣を整えることも大切です。


参照:メラトベル顆粒小児用 0.2% に関する資料 | ノーベルファーマ株式会社
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