メラトベルとはどんな薬?ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもなどに処方される睡眠障害の改善薬メラトベルの効果や副作用などを詳しく解説!

ライター:発達障害のキホン
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メラトベルとは、メラトニンを成分とした入眠改善薬です。メラトベルは、6歳から15歳までの神経発達症(主にASD/自閉スペクトラム症)のある子どもに対して処方される薬で、2020年3月に承認され、同年6月23日から販売が開始されました。
今回は、メラトベルについて詳しくお伝えしていきます。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

神経発達症のある子どもとメラトベル

メラトベルは、6歳から15歳までの神経発達症(主にASD/自閉スペクトラム症)のある子どもに対して処方される薬です。

神経発達症のある子どもは、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めてしまうなどの睡眠障害で悩むことが少なくありません。睡眠障害に伴う睡眠不足は、神経発達症の多動や過活動、興奮状態、怒りっぽいといった症状を強めることもあり、日中は目覚めていても眠気が強く集中力を欠いてケガの元になることもあります。しかし、夜になると元気になり、興奮状態に陥り眠れず、近年では電子メディアを見ることで光(ブルーライト)が目に入り、余計眠れなくなるという悪循環に陥るケースも増えています。

メラトベルの有効成分であるメラトニンそのものは、海外ではドラッグストアなどで購入可能ですが、これまで日本では神経発達症のある子どもの睡眠障害に対する医薬品は承認・販売されていませんでした。そこで、ノーベルファーマ株式会社が2013年から同剤の臨床試験を開始。2020年に販売が開始となりました。
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子どもの睡眠障害の症状や対処法、発達障害との関係【医師監修】

どのような仕組みで睡眠に効果があるの?

メラトベルの成分は、身体のなかで分泌するメラトニンというホルモンです。メラトニンが作用することで眠くなるのです。
そもそもメラトニンは、脳のなかの松果体でつくられるホルモンで、概日リズム(サーカディアンリズム)の調節をする働きをし、眠りを促す作用があります
メラトニンの分泌は、視覚で感じる明暗の周期によってコントロールされており、血液中の濃度は午後のおやつ時と夜間に高くなるといわれています。その時間帯は眠気が出るため居眠り運転等による交通事故が多いというデータもあります。

メラトニンはパイロットやCAなど時差のある職種で時差ボケを防ぐ目的としても用いられています。
人間は朝陽を浴びることで視交叉上核にある体内時計がリセットされ、そのおよそ15時間後にはメラトニンが分泌され眠くなる(睡魔)というリズムがあります。夜にメラトニンが分泌されて眠くなると子どもの手は熱くなり、体内から熱を放出することで体温を下げて眠りの準備に入るのです。メラトニンは光によって抑制されます。子どもが夜眠くなっても親と一緒にTVやゲームなどの電子メディアを見続けることによって脳が目覚めてしまい、その結果、入眠時刻の遅延が生じ、概日リズム(サーカディアンリズム)が乱れるというケースも増えています。リズムが乱れることで子どもは興奮しやすく、怒りっぽくなることもあります。

6歳から15歳のASD(自閉スペクトラム症)に伴う睡眠障害のある子どもに対して行った臨床試験の結果、メラトベル投与2週間後の電子睡眠日誌による記録で、寝床に入ってから眠りにつくまでの時間(入眠潜時)が短縮し、統計学的に有意であるということが認められました。
メラトニン | 厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-062.html

使用方法・用量は?

メラトベルの使用方法・用量は以下の通りです。
・ 使用開始:0.5g(メラトニン1mg)
・ 用法:1日1回就寝前
・ 最高用量:2g(メラトニン4mg)
※新薬のため令和3年5月末までは2週間分しか処方できません。

メラトベルは、6歳から15歳までの子どもに処方される薬です。用量は0.5g(メラトニン1mg)から2g(メラトニン4mg)までです。最初の処方時には、0.5g(メラトニン1mg)から使うことが基本となっています。3ヶ月程度経過したら継続投与するかどうか再評価していきます。
※SSRI(セロトニン再取り込み抑制剤)とは一緒に服用することができません。

服用するタイミングは就寝前(寝たい時間の直前)です。食事と同時や食事直後の服用は、最高血中濃度が低下する事例が臨床試験において確認されているため、避けることが望ましいです。
次ページ「メラトベルの副作用や注意点」

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