メラトベルの副作用や注意点

国内での臨床試験で確認された主な副作用は、傾眠4.2%、頭痛2.6%、肝機能検査値の上昇が1.3%でした(308例中)。

メラトベルは比較的副作用が少ない薬ですが、起床後も眠気が続いたり、めまいがしたりといった症状が副作用として出る場合があるので、保護者が子どもの活動内容などについて、十分に配慮する必要があります。メラトベルを服用しているあいだは、高いところに登るなどの遊びや行動、自転車などの運転にも注意を払った方が良いでしょう。また、小学校高学年以上の年齢の場合には、危険性の高い電動工具などの機械操作は避けるようにしてください。思わぬ事故につながる可能性があります。また、一度眠った後に起床して何かをする予定があるときは、服用をやめることが必要です。

副作用として気になる症状が出た場合には、早めに医師に相談し、服薬量の調整や、場合によっては服薬の中断や薬の変更なども含めて、指示を仰ぎましょう。

また、睡眠障害改善のためには、薬だけに頼らず、併せて生活習慣を見直していくことも大切です小児の睡眠障害の治療では、睡眠習慣に関する指導が重視されています。
前述のように、メラトニンは昼間の分泌は少なく、夜間に多く分泌されることで、眠りへと導いてくれるものです。昼間に太陽の光をたくさん浴びて活動しておくなど、基本的なことが安定した睡眠のためにとても重要です。
心がけたい項目は以下のものです。
・ 朝の日の光を浴びる
・ 朝ごはんを食べる
・ 昼間、体を動かす
・ 夜は早く寝る、寝る際には部屋を暗くする
(常夜灯も消す)

メラトベルの臨床試験でも、服薬と合わせて睡眠習慣に関する指導が行われています。
このように生活習慣を整えながら、そのうえで睡眠が改善されなければ治療方法を医師と検討していきましょう。

他の睡眠導入剤との違い

メラトベルは、前述した通りメラトニンを成分とした薬です。2010年から発売されていたロゼレムは、メラトニン受容体に作用する薬です。メラトベルは体の中でつくられる「メラトニン」そのものが有効成分なので、より自然に作用し、睡眠を促してくれるといえます。安全上、受容体作動薬は小児にはまず適応されません。

また、ロゼレムは本来大人用の薬ですが、メラトベルは6〜15歳の子ども用の薬という特徴もあります。さらに、メラトベルはASD(自閉スペクトラム症)やADHDなどの神経発達症のある子どもにのみ認められている薬です。それ以外の子どもの睡眠導入剤としては処方されていません。神経発達症に関わらない子どもの不眠症に対してはわずかに入眠を改善するという報告のみで、処方対象になっていないのです。

まとめ

今回は2020年6月に発売された、6歳から15歳までの神経発達症のある子どもに対して処方される入眠改善薬『メラトベル』をご紹介しました。

これまで、ASD(自閉スペクトラム症)などの神経発達症のある子どもの睡眠障害については数多く報告されていたものの、その症状を改善する薬はこれまで日本では販売されていなかったのです。

2019年には小児神経学会から「神経発達症に伴う睡眠障害に対するメラトニンの早期承認」についての要望書が厚生労働省に提出されるなど、メラトニンの有効性に対しては以前から大きな期待が持たれていました。

メラトベルが発売されたことで、神経発達症のある子どもの睡眠障害が改善され、またその家族のQOLが向上することも期待されています。

治療薬の選択は主治医と相談のうえ、主治医の指示に従ってください。また、睡眠障害には薬だけでなく、生活リズムを改善することも重要です。子どもの特性に合わせてできるだけ、家族がサポートをしつつ生活習慣を整えることも大切です。


参照:メラトベル顆粒小児用 0.2% に関する資料 | ノーベルファーマ株式会社
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