困難に直面しても立ち直る力を育む!家庭・学校で使えるカード教材『「たすけて!」は生きぬくための合言葉 レジリエンスが育つ たすけ合い体感ゲーム』【著者・上島先生インタビュー付】
ライター:発達ナビBOOKガイド
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合同出版
私たちの毎日には、ちょっとした困りごとやストレスがつきもの。また長い人生の中では、大きな悲しみに見舞われたり、困難にぶち当たったりすることもあるでしょう。『「たすけて!」は生きぬくための合言葉 レジリエンスが育つ たすけ合い体感ゲーム』は、困ったときにたすけを求められる力(援助希求力)を育むカードゲームです。著者の上島博さんに、開発にあたっての思いや遊び方のポイントを伺いました。
みんなが「いい気持ち」になれる楽しいゲーム
レジリエンスとは、困難に直面して落ち込んでも立ち直る心の力のこと。『「たすけて!」は生きぬくための合言葉 レジリエンスが育つ たすけ合い体感ゲーム』は、小学校3年生以上を対象にしたカードゲームです。
『「たすけて!」は生きぬくための合言葉 レジリエンスが育つ たすけ合い体感ゲーム』
合同出版
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カードは「できごとカード」と「おたすけカード」に分けられ、それぞれ60枚ずつ2セットあります。
「できごとカード」は、「熱が出た」「消しゴムを忘れた」といった「おこまり」と、「友だちと遊ぶ約束ができた」といった「ハッピー」で構成されます。一方の「おたすけカード」には、「熱救急シート」「消しゴム」「日がさ」など、困りごとを解決することができるおたすけアイテムが書かれています。
「できごとカード」は、「熱が出た」「消しゴムを忘れた」といった「おこまり」と、「友だちと遊ぶ約束ができた」といった「ハッピー」で構成されます。一方の「おたすけカード」には、「熱救急シート」「消しゴム」「日がさ」など、困りごとを解決することができるおたすけアイテムが書かれています。
遊ぶときには、子どもたちを3~7人ぐらいの班に分けるのがポイントです。自分の班のメンバーは「友達」、他の班の人は「親切な他人」という設定です。自分で解決できる困りごともあれば、友達にたすけてもらうことや、知らない子どもや大人たち=親切な他人にたすけを求めて解決することもある。ゲームを通じて、さまざまな対人関係のなかでの「たすけて!」を体験できるのがミソなのです。
ゲームでは、たすけてもらうこともあれば、たすけてあげることもあります。お礼を言ったり、言われたりすること、困ったことをいっしょに解決し、人から大事にされたり、頼りにされたりする喜びを感じます。
ゲームを通して子どもたちは大いに盛り上がり、そしてたすけ合うことで生まれる「いい気持ち」を体感していくのです。
ゲームでは、たすけてもらうこともあれば、たすけてあげることもあります。お礼を言ったり、言われたりすること、困ったことをいっしょに解決し、人から大事にされたり、頼りにされたりする喜びを感じます。
ゲームを通して子どもたちは大いに盛り上がり、そしてたすけ合うことで生まれる「いい気持ち」を体感していくのです。
「たすけて!」と言える力=援助希求力を育てる
実際のゲームの進め方を見ていきましょう。
各班には、「できごとカード」と「おたすけカード」を同じくらいの枚数配ります。そして、各班でのゲームの進行役(親)を決め、メンバーに「おたすけカード」を配ってもらいます。「できごとカード」を机の真ん中に伏せておいたら、準備完了! ゲームのスタートです。
班のメンバーが順番に「できごとカード」を上からめくり、「ハッピー」ならうれしそうに読み上げ、「おこまり」のときには自分の手持ちの「おたすけカード」で解決できないか考えます。ぴったりのカードを持っていたら、「停電でまっくらになったけど、懐中電灯がありました!」などと友達に報告します。
手持ちのカードで解決できないときには、同じ班の友達に「たすけて!」と言って、困っていることを話します。対応するおたすけアイテムを持っている子がいれば、カードを渡してたすけてあげます。もし同じ班のなかで解決できなければ、他の班に「たすけてください!」「こんなことで困っています」とたすけを求めます。
各班には、「できごとカード」と「おたすけカード」を同じくらいの枚数配ります。そして、各班でのゲームの進行役(親)を決め、メンバーに「おたすけカード」を配ってもらいます。「できごとカード」を机の真ん中に伏せておいたら、準備完了! ゲームのスタートです。
班のメンバーが順番に「できごとカード」を上からめくり、「ハッピー」ならうれしそうに読み上げ、「おこまり」のときには自分の手持ちの「おたすけカード」で解決できないか考えます。ぴったりのカードを持っていたら、「停電でまっくらになったけど、懐中電灯がありました!」などと友達に報告します。
手持ちのカードで解決できないときには、同じ班の友達に「たすけて!」と言って、困っていることを話します。対応するおたすけアイテムを持っている子がいれば、カードを渡してたすけてあげます。もし同じ班のなかで解決できなければ、他の班に「たすけてください!」「こんなことで困っています」とたすけを求めます。
困難から立ち直る過程では、自分の力だけでなく、周囲の人のたすけや支えがあるはずです。自ら「たすけて!」と言える力=援助希求力を身につけることは、子どもたちが人生を生きぬく力を育てることにもつながるのです。
同封されている遊び方を解説するマニュアル冊子には、授業のシナリオや先生と子どもたちのやりとりの例が紹介されています。また、カードを使ったほかの遊び方も紹介されていて、子どもたちと繰り返し遊ぶことができるように工夫されています。
上島博さんにインタビュー! レジリエンスに着目するようになったワケは?
著者の上島博さんは、小学校の教師として多くの子どもたちと関わるとともに、「子どものレジリエンス研究会」の代表も務めています。上島さんが子どもたちに寄り添うなかで感じてきたことや、子どものレジリエンスを育むために必要だと考えていることなど、たっぷりお話を伺いました。
編集部(以下――):長らく小学校の先生として多くの子どもたちと触れ合ってきた上島さん。授業で大切にしていることはなんですか?
上島さん(以下上島):レクリエーションを取り入れて、楽しく勉強できるように工夫しています。考えたゲームがうまくいって盛り上がったときには、ネタがはまって受けた芸人さんのようにうれしいですよ。もちろんすべったことも山ほどありますが…(笑)。楽しさのなかでこそ学びが深まる、というのが私の考えです。
――学外活動では、どんなことをされていますか?
上島:学童保育所で「心のたいそう広場」と称した対人関係を深めるレクリエーション指導を行ったり、中学生向けに「あなたにもあるレジリエンス」というワークを行ったりしています。また、8年前に血液の病気で骨髄移植を受けたのですが、そのときの体験を『命をいただいて』という教材文にまとめて、特別授業もしています。
――今回出版されたカードゲームは、遊びながら「レジリエンス」を育めることが大きな特徴ですね。上島さんがレジリエンスに着目して活動するようになったのは、なぜですか?
上島:20年ほど前から、自尊感情(自己肯定感)の必要性が叫ばれるようになりました。日本の子は自尊感情が低く、それが原因となって不登校やいじめなどの問題も起きている。自尊感情を向上する取り組みが必要である、というものです。ただ、それだけが強調されると「自尊感情が低い自分はダメなのか」と思ってしまう人もいます。また、「自尊感情を高める」という目標を立てた場合、そのために構想される方法論はどうしても貧弱になってしまうと感じていました。
そんな折に出会ったのが、「レジリエンス」という言葉です。失敗してもそれを糧として成長していく、しなやかでへこたれない心の力。我々が育てたいのはこれだ、と思いました。レジリエンスは「心の総合力」とも言えるもので、さまざまな心の力を育てることが子どもの幸せにつながることに気づきました。そうすると、方法論が一挙に広がったのです。そこで仲間を募って勉強しながら、教育現場で使える教材づくりを行ってきました。
――2006年には「子どものレジリエンス研究会」も発足されました。印象に残っている活動について教えてください。
上島:2010年にオーストラリアへの視察を実施したときのことは忘れられません。見学した研究所や学校では、まさにレジリエンスが教育目標の一つとして取り上げられていました。たとえば、キャンプに参加した子どもたちに、「困難に出会ったとき、どんな力を使いましたか?」と先生がインタビューをする。こうした問いかけによって、子どもたちに生活を切りひらくための心の力を意識させていることがわかって、感動を覚えたものです。
上島さん(以下上島):レクリエーションを取り入れて、楽しく勉強できるように工夫しています。考えたゲームがうまくいって盛り上がったときには、ネタがはまって受けた芸人さんのようにうれしいですよ。もちろんすべったことも山ほどありますが…(笑)。楽しさのなかでこそ学びが深まる、というのが私の考えです。
――学外活動では、どんなことをされていますか?
上島:学童保育所で「心のたいそう広場」と称した対人関係を深めるレクリエーション指導を行ったり、中学生向けに「あなたにもあるレジリエンス」というワークを行ったりしています。また、8年前に血液の病気で骨髄移植を受けたのですが、そのときの体験を『命をいただいて』という教材文にまとめて、特別授業もしています。
――今回出版されたカードゲームは、遊びながら「レジリエンス」を育めることが大きな特徴ですね。上島さんがレジリエンスに着目して活動するようになったのは、なぜですか?
上島:20年ほど前から、自尊感情(自己肯定感)の必要性が叫ばれるようになりました。日本の子は自尊感情が低く、それが原因となって不登校やいじめなどの問題も起きている。自尊感情を向上する取り組みが必要である、というものです。ただ、それだけが強調されると「自尊感情が低い自分はダメなのか」と思ってしまう人もいます。また、「自尊感情を高める」という目標を立てた場合、そのために構想される方法論はどうしても貧弱になってしまうと感じていました。
そんな折に出会ったのが、「レジリエンス」という言葉です。失敗してもそれを糧として成長していく、しなやかでへこたれない心の力。我々が育てたいのはこれだ、と思いました。レジリエンスは「心の総合力」とも言えるもので、さまざまな心の力を育てることが子どもの幸せにつながることに気づきました。そうすると、方法論が一挙に広がったのです。そこで仲間を募って勉強しながら、教育現場で使える教材づくりを行ってきました。
――2006年には「子どものレジリエンス研究会」も発足されました。印象に残っている活動について教えてください。
上島:2010年にオーストラリアへの視察を実施したときのことは忘れられません。見学した研究所や学校では、まさにレジリエンスが教育目標の一つとして取り上げられていました。たとえば、キャンプに参加した子どもたちに、「困難に出会ったとき、どんな力を使いましたか?」と先生がインタビューをする。こうした問いかけによって、子どもたちに生活を切りひらくための心の力を意識させていることがわかって、感動を覚えたものです。
レジリエンスは、変化の多い時代を生きぬくために必要な力
――長い教員生活のなかで、子どもや保護者、先生・支援者の変化を感じることはありますか?
上島:子どもも教師も親も、本質的にはそんなに変わっていないと思います。大きく変わったのは、我々を取り巻く社会のほう。少子高齢化、電子機器や情報技術の劇的な進化、国際化、格差の拡大、大地震や異常気象よる災害、そして現在のコロナ禍…。否が応にも厳しい日々を生きぬく能力、気力、体力が求められることになりました。
――レジリエンスを育む取り組みで、子どもたちの成長を実感するのはどんなときでしょう?
上島:私たちのつくってきた教材に『まけるな子ども』というシリーズがあります。架空の主人公が困った出来事に合う話を示し、その子にどうアドバイスするか考えさせるものです。たとえば、コロナ禍で「なんとなくしんどい」と感じている子を取り上げた教材をつくりました。授業では、子どもたちは本当に多様なアイデアを出してくれます。そのどれもがとても「真っ当」な考えで、実際に役立ちそうなものでした。うまく引き出しさえすれば、子どもたちは持ち前の考える力をのびのびと巡らせ、すばらしいアイデアを提案できるものだと感じました。
――『たすけ合い体感ゲーム』のマニュアルには、授業のシナリオも紹介されていて、イメージがしやすいですね。
上島:教師や支援者が「援助希求力」などを育みたいと考えたときに効果的な展開を、「授業のシナリオ」にしました。もちろんこの展開にこだわらなくても楽しい時間を過ごすことはできますが、『「たすけて!」は生きぬくための合言葉』という標語の指導などを入れることで、実生活にも活かしやすくなる、と考えます。
また、シナリオのなかには「しゃべれないばあいでも、紙に書いたり、身ぶり手ぶりをしたり」という記述があります。難聴や場面緘黙の子にとって、援助希求力はさらに必要なもの。会話の受け渡しの方法さえ知れば、コミュニケーションは成り立ちます。このことをその子にも、クラスの子にも理解してほしいと思っています。
――できごとカードのテーマのピックアップは、どのような視点で行ったのですか?
上島:お困り場面やおたすけアイテムは、子どもたちがよく経験することや身近にあるものを中心に、わかりやすさを重視しました。「のどがかわいた」という困りごとには、「お茶」のおたすけカードを渡す、というように、単純な対応になっています。わかりやすいと、子どもたちは「すっきり」します。ぴったり合ったときのフィット感も味わえて、ゲームのおもしろさも増しますね。また、一部には「110番」や「チャイルドライン」「いかのおすし」など、具体的でないものも。これらは、子どもたちが実際に困難な状況を解決するために持っていてほしい知識です。
上島:子どもも教師も親も、本質的にはそんなに変わっていないと思います。大きく変わったのは、我々を取り巻く社会のほう。少子高齢化、電子機器や情報技術の劇的な進化、国際化、格差の拡大、大地震や異常気象よる災害、そして現在のコロナ禍…。否が応にも厳しい日々を生きぬく能力、気力、体力が求められることになりました。
――レジリエンスを育む取り組みで、子どもたちの成長を実感するのはどんなときでしょう?
上島:私たちのつくってきた教材に『まけるな子ども』というシリーズがあります。架空の主人公が困った出来事に合う話を示し、その子にどうアドバイスするか考えさせるものです。たとえば、コロナ禍で「なんとなくしんどい」と感じている子を取り上げた教材をつくりました。授業では、子どもたちは本当に多様なアイデアを出してくれます。そのどれもがとても「真っ当」な考えで、実際に役立ちそうなものでした。うまく引き出しさえすれば、子どもたちは持ち前の考える力をのびのびと巡らせ、すばらしいアイデアを提案できるものだと感じました。
――『たすけ合い体感ゲーム』のマニュアルには、授業のシナリオも紹介されていて、イメージがしやすいですね。
上島:教師や支援者が「援助希求力」などを育みたいと考えたときに効果的な展開を、「授業のシナリオ」にしました。もちろんこの展開にこだわらなくても楽しい時間を過ごすことはできますが、『「たすけて!」は生きぬくための合言葉』という標語の指導などを入れることで、実生活にも活かしやすくなる、と考えます。
また、シナリオのなかには「しゃべれないばあいでも、紙に書いたり、身ぶり手ぶりをしたり」という記述があります。難聴や場面緘黙の子にとって、援助希求力はさらに必要なもの。会話の受け渡しの方法さえ知れば、コミュニケーションは成り立ちます。このことをその子にも、クラスの子にも理解してほしいと思っています。
――できごとカードのテーマのピックアップは、どのような視点で行ったのですか?
上島:お困り場面やおたすけアイテムは、子どもたちがよく経験することや身近にあるものを中心に、わかりやすさを重視しました。「のどがかわいた」という困りごとには、「お茶」のおたすけカードを渡す、というように、単純な対応になっています。わかりやすいと、子どもたちは「すっきり」します。ぴったり合ったときのフィット感も味わえて、ゲームのおもしろさも増しますね。また、一部には「110番」や「チャイルドライン」「いかのおすし」など、具体的でないものも。これらは、子どもたちが実際に困難な状況を解決するために持っていてほしい知識です。
ゲーム中の豊かなコミュニケーションを大切に
――『たすけ合い体感ゲーム』を活用する先生、支援者にアドバイスをお願いします。
上島:1班でもできますが、6人以上いたら迷わず2班以上に分けてください。班を分けることで、「まずは自分で解決」「友達にたすけを求める」「いろいろな人にたすけを求める」という困りごとに対処するための3つの段階を体感できます。
また、よその班に「おたすけカード」をもらいにいくのは本人以外というルールがあるので、子どもたちは「友達のためにアイテムを見つけにいく」という体験をすることに。「おこまりカード」を持っている本人からすれば、友達が自分のために動いてくれるうれしさを感じることにもなりますね。クラスのなかは、班の友達をたすけている子、よそからたすけを求めに来た人に応えている子、お礼を言っている子、「ハッピー」を引いた子に拍手をしている子など、豊富なコミュニケーションであふれていきます。
今は、感染症対策のために大きな声でたすけを求めたりはできませんが、工夫することでわくわくするゲームにすることは可能です。たとえば、ときには「声を出すことは禁止。身ぶり手ぶりで対話する」などのルールを加えてみてもいいでしょう。きっととてもおもしろい雰囲気になるはずです。
――家族でチャレンジするのもおもしろそうですね。保護者はどのような工夫をするとよいでしょうか?
上島:家族で遊ぶ場合は、1セットのカードがちょうどいいですね。家族でも6人くらいいたら、2班に分けるとさらにおもしろいですし、もちろん班分けしないでも楽しめます。
「○○で困っています」「はい、どうぞ」「ありがとう」など、普段言葉にせず流れてしまいがちなお願いやあいさつも、お芝居のように大げさにきちんとするとおもしろいですよ。「ハッピー」が出たときに、みんながよかったねと喜んで拍手してくれるのも、空想なのにうれしいものです。
「できごとカード」の内容によっては、親子の会話を広げることもできます。たとえば「算数の問題がわからない」のカードが出たら、さりげなく「そんなことある?」と聞いてみると、何か話してくれるかもしれません。根ほり葉ほり聞き出そうとするのではなく、あくまでもゲームの楽しい流れに乗りながらうまく会話を続けると、普段聞けない本音も聞けるでしょう。
――最後に「発達ナビ」をご覧の読者の方へメッセージをお願いします!
上島:今、教室の子どもたちを見ていると、苦しいのにマスクを外さず、だまって給食を食べ、けなげに頑張っています。親も必死になって、日々の暮らしを紡いでおられます。負けないで、そしてしなやかに生きぬこうねと、心からエールを送ります!
上島:1班でもできますが、6人以上いたら迷わず2班以上に分けてください。班を分けることで、「まずは自分で解決」「友達にたすけを求める」「いろいろな人にたすけを求める」という困りごとに対処するための3つの段階を体感できます。
また、よその班に「おたすけカード」をもらいにいくのは本人以外というルールがあるので、子どもたちは「友達のためにアイテムを見つけにいく」という体験をすることに。「おこまりカード」を持っている本人からすれば、友達が自分のために動いてくれるうれしさを感じることにもなりますね。クラスのなかは、班の友達をたすけている子、よそからたすけを求めに来た人に応えている子、お礼を言っている子、「ハッピー」を引いた子に拍手をしている子など、豊富なコミュニケーションであふれていきます。
今は、感染症対策のために大きな声でたすけを求めたりはできませんが、工夫することでわくわくするゲームにすることは可能です。たとえば、ときには「声を出すことは禁止。身ぶり手ぶりで対話する」などのルールを加えてみてもいいでしょう。きっととてもおもしろい雰囲気になるはずです。
――家族でチャレンジするのもおもしろそうですね。保護者はどのような工夫をするとよいでしょうか?
上島:家族で遊ぶ場合は、1セットのカードがちょうどいいですね。家族でも6人くらいいたら、2班に分けるとさらにおもしろいですし、もちろん班分けしないでも楽しめます。
「○○で困っています」「はい、どうぞ」「ありがとう」など、普段言葉にせず流れてしまいがちなお願いやあいさつも、お芝居のように大げさにきちんとするとおもしろいですよ。「ハッピー」が出たときに、みんながよかったねと喜んで拍手してくれるのも、空想なのにうれしいものです。
「できごとカード」の内容によっては、親子の会話を広げることもできます。たとえば「算数の問題がわからない」のカードが出たら、さりげなく「そんなことある?」と聞いてみると、何か話してくれるかもしれません。根ほり葉ほり聞き出そうとするのではなく、あくまでもゲームの楽しい流れに乗りながらうまく会話を続けると、普段聞けない本音も聞けるでしょう。
――最後に「発達ナビ」をご覧の読者の方へメッセージをお願いします!
上島:今、教室の子どもたちを見ていると、苦しいのにマスクを外さず、だまって給食を食べ、けなげに頑張っています。親も必死になって、日々の暮らしを紡いでおられます。負けないで、そしてしなやかに生きぬこうねと、心からエールを送ります!
勝ち負けの要素がなくても、不思議と盛り上がるゲーム
『たすけ合い体感ゲーム』には、「早くおたすけアイテムがなくなった人の勝ち!」「たくさんたすけられた人の勝ち!」といった勝負の要素はありません。たすけ合ったり、互いに喜びを共有したりすることで盛り上がれるのが、このゲームの大きな特徴です。
ゲームをしていくうちに、「たすけて!」と声に出すのは決してはずかしいことではないこと、困っている人をたすけられたら自分も幸せな気持ちになれること、うれしいことはみんなで喜ぶと余計に笑顔が広がることが自然とインプットされていきます。
遊びながら培う「援助希求力」が、実生活でも活かされる場面がきっとあるはずです。子どもたちの生きぬく力を高めるゲーム、ぜひ楽しい学びのアイテムとして取り入れてみてください。
取材・文/浦上藍子
ゲームをしていくうちに、「たすけて!」と声に出すのは決してはずかしいことではないこと、困っている人をたすけられたら自分も幸せな気持ちになれること、うれしいことはみんなで喜ぶと余計に笑顔が広がることが自然とインプットされていきます。
遊びながら培う「援助希求力」が、実生活でも活かされる場面がきっとあるはずです。子どもたちの生きぬく力を高めるゲーム、ぜひ楽しい学びのアイテムとして取り入れてみてください。
取材・文/浦上藍子
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