自閉症ハル3歳がいない!助けを求めるも、申しわけなく平気なフリをして。募る焦り、最悪の想像も【初めての迷子騒動編】
2021/02/17 更新

ハルは現在11歳。多動を伴う発達障害、自閉症スペクトラム(知的障害あり)と診断されています。前回に続き、ハルの「多動の軌跡」を振り返ってみたいと思います。3歳に近づくにつれてハルは、どんどん平気で行動範囲をひろげていきました。

beth(ベス)
11669
View
これ...普通なのかな?
ハル2歳。イヤイヤ期?という感じのものは特になく、でも大げさではなく外に出れば1分もそこに留まっていることはありませんでした。毎日毎日、息子を追いかけて、てんやわんやして。初めてのことだらけで、正解がわからない!!
育児については、本でもネットでも勉強しました。マニュアルは見ないほうがいいと思っていたけれど、当時目にしたものはほぼマニュアルでした。でも、やっぱり当てはまらない。こんなに多種多様な人類の発達を、年代別にくくれるわけがないのだろうと思ったりしました。
比べると気持ちが病んでくるので見るのをやめたけれど、見るのをやめたとて正解がわかるわけでもなく。「子育てに正解なんてない」、それはわかる。とはいえこの毎日は?これでいいのか?正解?まちがい?答えがほしい。みんなこんなもん?と。
育児については、本でもネットでも勉強しました。マニュアルは見ないほうがいいと思っていたけれど、当時目にしたものはほぼマニュアルでした。でも、やっぱり当てはまらない。こんなに多種多様な人類の発達を、年代別にくくれるわけがないのだろうと思ったりしました。
比べると気持ちが病んでくるので見るのをやめたけれど、見るのをやめたとて正解がわかるわけでもなく。「子育てに正解なんてない」、それはわかる。とはいえこの毎日は?これでいいのか?正解?まちがい?答えがほしい。みんなこんなもん?と。
そうだ、周りの子育て経験者に聞いてみよう!
ちなみに当時24歳前後、周りに3歳以上の子どもがいる友達はいませんでした。
男の子を育てていない実母に聞いてみました。「男の子ってそうなのかねぇ...元気だねー大変そう」
男の子を育てた義母に聞いてみました。「男の子はみんなそう!子どもはみんなそうだよー」
親戚たちは気をつかって「そのうち落ち着くものだから...」とお盆や正月に会うたび、そう言ってくれました。そう言うほかなかったのだと思います。笑
そうか、そういうものなのか。落ち着いて周りをよく見てみよう!ハルみたいな子、周りを見てもたまにいるもんね。けっこうやんちゃで動き回ってる子、いるもんね...と安心しようとしました。
男の子を育てていない実母に聞いてみました。「男の子ってそうなのかねぇ...元気だねー大変そう」
男の子を育てた義母に聞いてみました。「男の子はみんなそう!子どもはみんなそうだよー」
親戚たちは気をつかって「そのうち落ち着くものだから...」とお盆や正月に会うたび、そう言ってくれました。そう言うほかなかったのだと思います。笑
そうか、そういうものなのか。落ち着いて周りをよく見てみよう!ハルみたいな子、周りを見てもたまにいるもんね。けっこうやんちゃで動き回ってる子、いるもんね...と安心しようとしました。
同級生でわちゃわちゃ動いていた元気な子たちも幼稚園の準備に入るころには大体落ち着いていて、座って話を聴いたりできる子が大半になっていて、いつの間に!?あれ、わが子はまだまだ絶賛多動だけど!?と衝撃を受けました。
同年代の子たちの成長に、うろたえるばかりでした。
同年代の子たちの成長に、うろたえるばかりでした。
3歳、最初の迷子騒動の思い出
ショッピングモールの中の子育て広場(乳幼児の遊び場)にはよく行ったけれど、絵本を取って振り向いたらもういなかったことがあります。一瞬のことすぎてもはや忍びかと思いました。
本をとり、
顔をあげると、
もういない。
(五・七・五、多動育児しんどみ俳句)
本をとり、
顔をあげると、
もういない。
(五・七・五、多動育児しんどみ俳句)
近くにいるだろうと思って探したけれど、ついに職員の方に助けを求めることに。青ざめた職員の方に申し訳ない気持ちでいっぱいになり、「よくあるんで!すぐ見つかるんで探してきます!アハハ〜」と言って探しに行きました。こんなときにも人の顔色を見ているのか私は...とまた自分のことが少し嫌になりました。
そうして1人で集中して探しに。建物の外に出たらどうしよう。すぐに駅もある。道路もある。改札をするりと抜けたら?道路の向こうに興味をひくものがあったら渡ってしまったこともある。ひょいと連れ去られて車に乗せられたら?どんどん想像してぞっとしました。地下の食品売り場へ行っただろうか。本屋?外ではありませんように!
どちらに探しに行くかはいつも賭けでした。たくさんの選択肢が頭に浮かんでは、選ぶごとにプレッシャーはつのっていくのです。必死に探し、館内放送もかけてもらい、座って休んでいたお年寄りにも「3歳くらいの男の子を見ませんでしたか」と聞くと、お年寄りを慌てさせてしまい、これも心苦しかったです。
そうして1人で集中して探しに。建物の外に出たらどうしよう。すぐに駅もある。道路もある。改札をするりと抜けたら?道路の向こうに興味をひくものがあったら渡ってしまったこともある。ひょいと連れ去られて車に乗せられたら?どんどん想像してぞっとしました。地下の食品売り場へ行っただろうか。本屋?外ではありませんように!
どちらに探しに行くかはいつも賭けでした。たくさんの選択肢が頭に浮かんでは、選ぶごとにプレッシャーはつのっていくのです。必死に探し、館内放送もかけてもらい、座って休んでいたお年寄りにも「3歳くらいの男の子を見ませんでしたか」と聞くと、お年寄りを慌てさせてしまい、これも心苦しかったです。
わたしのアンテナがキャッチしたその声のほうへ行くと...
色々予想して頭をフル回転させる。足もフル回転させる。
そうして駆け回って探していると、小さな高い声が聴こえた気がした。
蚊の鳴くような、普段なら雑踏に埋もれるくらいの音量の音にも似た声。
それは毎日聴き慣れたもので、楽器みたいな、動物の赤ちゃんみたいな...
そうして駆け回って探していると、小さな高い声が聴こえた気がした。
蚊の鳴くような、普段なら雑踏に埋もれるくらいの音量の音にも似た声。
それは毎日聴き慣れたもので、楽器みたいな、動物の赤ちゃんみたいな...
いた。やっぱりハルの鳴き声だった(鳴き声って)。
ちょっと暗い中階段に腰かけていた。
最上段から見下ろしていたその顔は、というと、何食わぬ顔すぎた。
ちょっと暗い中階段に腰かけていた。
最上段から見下ろしていたその顔は、というと、何食わぬ顔すぎた。
わたしはというと、無表情で無感情でした。なんだか感情を動かすことに疲れていて、無言で抱っこして子育て広場に戻りました。そして報告と、迷惑をかけたことを謝らなくては、と思いました。
周りの反応は...
子育て広場の職員さんは私たちが現れた瞬間、歓声を上げてくれました。みんなそれぞれに安堵してくれて、「よかったよかった」と言ってくれました。ちらっとしか見ることができなかったけれど、その30代くらいの女性職員さんは、少し泣いてくれていて。それを見たら、涙が出てしまいました。
そうしてだんだん気づいた
これが覚えている限りの最初の、人をお騒がせした大きめな迷子だと思います。人に迷惑をかけてしまうことがひどくストレスでした。もうあのころは、ストレスによってアンテナが張り巡らされ、それによってストレスを拾っていたようで、なんだって疲れました。
そうしてだんだん気づいたんです。この子育て広場に週に何回も通っていたけれど、こんな風に子どもが外に出ていってしまってお母さんが捜索に出るといった光景、こういった親子は、一度も見たことなかったなと。
なのでいやでも、「やっぱりわが子は普通ではない...?」という思いが、ハルの行動を目にするたび頭をよぎるようになっていました。
そうしてだんだん気づいたんです。この子育て広場に週に何回も通っていたけれど、こんな風に子どもが外に出ていってしまってお母さんが捜索に出るといった光景、こういった親子は、一度も見たことなかったなと。
なのでいやでも、「やっぱりわが子は普通ではない...?」という思いが、ハルの行動を目にするたび頭をよぎるようになっていました。
幼稚園に行けばきっと...
あっという間に、幼稚園へ入園する年齢が迫ってきていました。不安もあったけれど「集団の中でお友達をまねて、一緒に行動できるようになるのでは」と期待もありました。
そして入園のための面談の日を迎えることとなったのです...
そして入園のための面談の日を迎えることとなったのです...
LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
https://h-navi.jp/column
https://h-navi.jp/column

関連記事
ADHD(注意欠如・多動性障害)の子どもの接し方は?子育ての困難と対処法まとめ

関連記事
「またいない!」2歳の自閉症ハル、週7回の脱走劇。ドアも窓も破る息子に、母は途方に暮れて【幼児期編】

関連記事
自閉症ハル、多動の片鱗は生後4カ月から!ベビーチェア抜け出し、高速ハイハイ、1歳前から歩き回る…危険回避で母瀕死【乳幼児期編】
当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
この記事に関するキーワード

あわせて読みたい関連記事
この記事を書いた人
beth(ベス) さんが書いた記事

「またいない!」2歳の自閉症ハル、週7回の脱走劇。ドアも窓も破る息子に、母は途方に暮れて【幼児期編】
ハルは現在11歳。多動を伴う発達障害、自閉症スペクトラム(知的障害あり)と診断されています。前回に続き、ハルの「多動の軌跡」を振り返ってみ...
発語・コミュニケーション
19109
view
2021/01/08 更新

自閉症ハル、多動の片鱗は生後4カ月から!ベビーチェア抜け出し、高速ハイハイ、1歳前から歩き回る…危険回避で母瀕死【乳幼児期編】
ハルは現在11歳。多動を伴う発達障害、
自閉症スペクトラム(知的障害あり)と診断されています。
今回は、ハルの「多動の軌跡」を振り返ってみ...
学習・運動
48971
view
2020/12/11 更新

【新連載】疑問形で要求、忍者のように逃走、ママパパと一緒に涙ーーマイワールド全開の11歳、自閉症児ハルの日常
マイペースでぼーっとしているようにみられる自閉症児ハル。好きなこと、ゆずれないものを大切に生きているハルの日常は、嫌いなものは断固拒否なと...
発語・コミュニケーション
26478
view
2020/11/14 更新

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら
コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOメディア&ソリューションズがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOメディア&ソリューションズは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOメディア&ソリューションズの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。