ADHDって何?タイプ別に症状を解説【マンガでまなぶ子どものADHD】

2021/07/31 更新
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「マンガでまなぶ子どものADHD」。今回は「ADHDって何?」です。3つのタイプやそれぞれの特徴について、わかりやすくご説明します。

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発達障害のキホン
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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 客員研究員
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。

ADHDってなに?

集中力がない
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じっとしていられない
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考えずに行動してしまう
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ADHDはこのような3つのタイプの症状が持続的に続いているため、園・学校生活に支障をきたす場合に診断される発達障害なんです
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ADHDは先天性の発達障害

「人の話をじっと聞けない」「集中力が続かない」「気になることがあると、後先を考えずに行動してしまう」、こうした行動は、多くの子どもに見られるもの。

まだ自分の気持ちを上手にコントロールすることができず、その場にそぐわない行動をとったり、大人から見るとわがままに見える振る舞いをしたりするのも、子ども時代にはよくあることですね。子どもたちはさまざまな経験を積み重ねるなかで、叱られたり、周囲の反応から学んだりしながら、少しずつ社会生活に適応していきます。

ところが、ADHDがある子どもの場合は、毎日のように忘れ物をしたり、パッとほかのことに気を取られてしまったり、じっとしていることに苦痛を覚えたりといったことが続きます。本人が努力してもなかなか改善が難しいため、だんだんと集団生活に困難を感じたり、生きづらさを抱えたりするようになることも少なくありません。

ADHD(注意欠如・多動性障害)とは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる先天性の発達障害です。

平成24年に文部科学省が行った調査によると、通常学級に在籍している児童生徒のうち、行動面で著しい困難を示す子は3.6%程度と言われています。これは、ADHDの診断がある子の数ではありませんが、通常学級の中に行動面の問題を持つお子さんが多くいることが伺えます。

ADHDの3つの症状

ADHDの具体的な特徴を見ていきましょう。

1.不注意による症状
・忘れ物が多い
・何かやりかけでもそのままほったらかしにする
・集中しづらい。ただ自分がやりたいことや興味のあることに対しては、集中しすぎて切り替えができない
・片づけや整理整頓が苦手
・注意が長続きせず、気が散りやすい
・話を聞いていないように見える
・忘れっぽく、物をなくしやすい

2.多動性による症状
・落ち着いてじっと座っていられない
・そわそわして体が動いてしまう
・過度なおしゃべり
・公共の場など、静かにするべき場所で静かにできない

3.衝動性による症状
・順番が待てない
・気にさわることがあると、乱暴になってしまうことがある
・会話の流れを気にせず、思いついたらすぐに発言する
・他の人の邪魔をしたり、さえぎって自分がやったりする

ADHDの3つのタイプとそれぞれの特徴

ひとくちにADHDといっても、症状の出方は人によって異なります。不注意が強く出る人もいれば、多動性や衝動性が強い人もいます。診断の場では、ADHDは大きく3つのタイプに分けられます。また、性別によっても多いタイプが変わると言われています。

1.多動性-衝動性優勢型
多動と衝動の症状が強く出るタイプです。

・授業中でも構わず歩き回ったり、体を動かしてしまったりするなど、落ち着いてじっと座っていることが苦手
・ちょっとしたことでも大声をあげたり、乱暴になったりしてしまう
・思いついたことをすぐに口に出してしまうため、不適切な発言をしたり、自分の話ばかりしたりしてしまう

全体的にみると「多動性-衝動性優勢型」の割合は少ないものの、男性(男の子)に多くあらわれることがわかっています。

2.不注意優勢型
不注意の症状が強く出ているタイプです。

・気が散りやすく、物事に集中することが苦手
・やりたいこと、好きなことに対してはとても集中して取り組むが、切り替えが苦手
・忘れ物やなくし物が多い
・片づけが苦手
・ぼーっとしているように見えて、人の話を聞いているのか分からない

忘れ物が多いのは、ADHDの子どもばかりとは限りません。とくに幼いころは、ADHDでなくても忘れ物をしたり、長時間の集中が苦手だったりする子どもも多いもの。そのため不注意優勢型のADHDは気づかれにくく、大人になってから診断されることもあります。このタイプは、女性(女の子)にあらわれることが多いと言われています。

3.混合型
多動と衝動、不注意の症状が混ざり合って、強く出ているタイプです。

・多動性-衝動性優勢型と不注意優勢型のどちらの特徴も併せ持っていて、どれが強く出るかは人によって異なる
・忘れ物やなくし物が多く、じっとしているのが苦手で落ち着きがない
・ルールを守ることが苦手
・順番を守らない、大声を出すなど衝動的に行動することがある

ADHDの原因は脳の機能障害

ADHDは生まれつきの脳の機能障害です。ただ、その症状が起こる確かな原因はまだはっきりと解明されていません。近年の研究から、ADHDは行動をコントロールしている神経系に機能異常があると考えられ、脳の前頭前野との関連が有力視されています。

脳が働くためには、ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質が必要です。しかしADHDの人の場合、神経伝達物質がうまく運ばれず、そのために「不注意」「多動」「衝動」の3つの特徴があらわれると考えられています。また、前頭前野の働きが弱いと、五感からの刺激を敏感に受け取りすぎてしまいます。感覚を過剰に感じるために、集中することや論理的に考えることを苦手としやすい、という説もあります。

ADHDは親のしつけが原因ではない

親の育て方やしつけが発達障害の原因である、と言われていたこともありますが、これは大きな誤解です。また、ADHDは外見からその特徴が分かりにくいため、本人の努力不足と決めつけられてしまうこともよくあります。

周囲から理解されず、責められたり、非難されたりということが続けば、子どもの自己肯定感は下がるばかり。「ほかの子みたいにできないから自分はダメなんだ」と自信をなくしてしまったり、「また叱られちゃうかもしれない」と萎縮してしまったりすることも。

こうした経験が重なると、ADHDの症状がより強くあらわれたり、うつや不安障害、不登校、ひきこもりなど、ほかの症状や問題行動が引き起こされたりすることもあります。これをADHDの「二次障害」と言います。一方で、「興味のあることをとことん追求できる」「行動力がある」など、ADHDの特性を生かして活躍している人もたくさんいます。

ADHDの子どもたちが自分らしくのびのびと育っていくためには、本人はもちろん、周囲の人がADHDの特性を理解し、適切なサポートをすることが大切だといえるでしょう。
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