発達障害娘、SNSトラブルで体調を崩し休職。親も疲れ果ててしまい、支援者の方に助けを求めると

2021/09/07 更新
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発達障害のある娘(22才)は、障害のある方の雇用の促進、そして安定を図るために設立された『特例子会社』に勤めて4年目の春にグループホームに入居しました。そのほんの1年ほど前まで私たち親子は、娘のグループホーム入居はまだ先のことだと考えていました。想像していたよりもずっと早く訪れた娘のグループホーム入居。それには新型コロナの影響も少なからずあったのでした。

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荒木まち子
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監修: 三木崇弘
フリーランス児童精神科医
スクールカウンセラー
兵庫県姫路市出身。愛媛大学医学部卒・東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程修了。早稲田大学大学院経営管理研究科修士課程在学中。 愛媛県内の病院で小児科後期研修を終え、国立成育医療研究センターこころの診療部で児童精神科医として6年間勤務。愛媛時代は母親との座談会や研修会などを行う。東京に転勤後は学校教員向けの研修などを通じて教育現場を覗く。子どもの暮らしを医療以外の側面からも見つめる重要性を実感し、病院を退職。 2019年4月よりフリーランス。“問題のある子”に関わる各機関(クリニック、公立小中学校スクールカウンセラー、児童相談所、児童養護施設、保健所など)での現場体験を重視し、医療・教育・福祉・行政の各分野で臨床活動をしている。

2020年(社会人3年目)の春。コロナ禍の娘

コロナ禍で外出の機会が減ったことで娘は、普段からよく利用していたSNSにさらにのめり込むようになりました。
このころSNS上は、ギスギスとした書き込みも増えているように感じました。影響を受けやすいところがある娘は、そんなネガティブな投稿を見ないように、自らSNSから離れる努力を何度かしていました。でも、どうしても“見てしまう”ことがやめられず、よくイライラしたり落ち込んだりしていたのです。

また緊急事態宣言のステイホーム期間中、SNSで共通の趣味を通して知り合った人から、娘に頻繁に連絡が来るようになりました。
娘の勤め先は勤務形態がシフト制になり出勤日数は減っていましたが、それでも頻繁なメールや出勤前日の長電話は、少しずつ娘の負担になっていきました。
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最初のうちはオンライン飲み会を楽しんでいた娘でしたが...
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2020年夏、娘は体調を崩し…

娘は体調を崩しました。不調の原因は何だと思うか本人に訊ねると「いろいろ重なってると思うけど、一番の原因はSNS上のトラブルだと思う」とのことでした。

彼女は不眠や倦怠感を訴え、趣味にも関心がなくなり無気力になりました。
そして仕事中にフラッシュバックを起こし、ジョブコーチから体調が戻るまで休職することをすすめられました。

過去にも

娘は入社1年目のときにも体調を崩し、会社を一定期間休んだことがありました。
そのとき娘は、過去にお世話になった支援者や出身校の先生、学生時代に通っていた放課後デイサーサービスなどを訪ね、いろいろな人に相談をしました。
支援者の方々がカンファレンスの場を設け、チームで娘を支えてくれたこともあり、娘はそのときは何とか復活することができました。

でもコロナ禍では、なかなかそうはいきません。以前のように出歩くことが難しいため家にいる時間が多く、話し相手はもっぱら私でした。
予定のない日は昼まで寝ている → 夜眠れない → 朝起きられない…娘の生活のリズムは徐々に崩れていきました。

症状が悪化

会社を休んでいる間、娘は不調の大きな原因であるSNSを一切見ませんでした。
趣味にも打ち込めない。唯一、他人とのつながりだったネットも遮断。行くところもすることもない。会社に通っていないので話し相手は母親である私だけ。時間と体力が有り余る娘の相手を一日中するのは、それはそれは大変でした。

気分のアップダウンも大きく、楽しそうに話していたかと思えば、急に落ち込んだりする娘に振り回され、私は対応に手を焼きました。

「会社や仕事が嫌いなわけではない。けれど体調を崩して会社を早退してしまうことが申し訳ないと感じている。かといって以前のようにフルタイムで働く自信がない」

娘には嘔吐や希死念慮の症状も出始めました。

長引く娘の休職に心身ともに限界を迎えてしまった私

それまでは私は、“家を娘にとって居心地の良い場所にしよう”と努めていました。
娘の話し相手になったり、平常を心掛けて接したり。ときには娘の気持ちが上がるように、意識して盛り上げるような発言をしたり。

でも娘の休職が長引くにつれて私にも疲れが出始め、会社とのやり取りや支援者との連絡、娘の体調・経過記録をつける作業が徐々につらくなっていきました。
入社1年目のときに構築された娘を支えるチーム体制があるのにも関わらず、娘が自ら支援者に相談しようとしないことにも歯がゆさを感じました。

「娘は、受動型でもともと自分から行動を起こすタイプじゃない」
「不調の大きな原因が仕事上のことではなくプライベートなことだったので支援者に相談しづらかったのかもしれない」
「コロナ禍で以前ほど身動きが取れないから仕方ない」
私はなるだけポジティブになろうと自分を鼓舞しました。

でも、だんだん
「どうして娘は私にしか相談しないのか」
「支援者に直接会うことはできなくても電話やメールでも相談はできるはず」
「家には娘以外の家族もいる。私が娘だけにつきっきりになるわけにはいかない」
「学生なら“あと何年間で卒業”といった終わりがある。でも卒業後の人生はずっと続く。この状態は一体いつまで続くのか」
と思うようになり気分がふさぐようになりました。

そして娘が休職して1ヶ月ほどが過ぎたころから、私は何もする気が起きなくなってきました。
娘の経過観察の記録も、病院のつきそいも、娘の話し相手になるもの嫌になってしまったのです。
実際嫌になってやめてしまったのか、疲れ果ててできなくなってしまったのか、その辺りの記憶は曖昧です。記憶が抜けているということは、当時の私は相当まいっていたのでしょう。
私は支援者の方々に「疲れて果ててしまいました」と連絡をしました。

動いてくれた支援者の方々。そして…

それからは、卒業校の先生と基幹相談支援センターの支援員さんが娘の対応をしてくれるようになりました。

娘の卒業した高等特別支援学校は、卒業後3年間は就労定着支援を担うことになっていました。(4年目以降は地域や民間の就労定着支援事業所に移行する)
娘はこの年ちょうど卒業3年目で学校の支援が受けられる最後の年度でした。
3年の間に娘を知る先生の多くが別の学校に異動になっていましたが、幸いにも娘と相性が合う先生がまだ学校に勤務していました。

支援者の皆さんはかつて構築したチーム体制で、娘のケアにあたってくださいました。
それまで私が段取りしていた娘との面談も、私を通さず直接本人やり取りをしてくれるようになりました。

しばらくすると娘自身も私の変化に気がつき始め「家が居心地悪い」と言うようになりました。
そしてコロナの感染対策に注意を払いながら、支援者に相談に行くようになりました。

一方で私も、支援者との面談を行い『暫定6ヶ月』という休職期間を、ただ漫然と過ごすだけではなく、娘が前向きになれるような見通しや目標を“失敗した場合のフォローも考慮しつつ”考え始めました。

それが『グループホーム入居』に向けた取り組みでした。

その具体的な内容はまた別の機会に書いていこうと思います。

執筆/荒木まち子
(監修:三木先生より)
このケースで一番ポイントになっているのは、娘さんが「家が居心地が悪い」とちゃんと思えたこと、言えたこと、そして自分から解決のためのアクション(支援者に相談するために出かける)が取れたことです。自分自身で何がしんどいか分かること、それを解決するために人に頼るという選択肢が取れたことは娘さんの武器ですね。
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