もしわが子に障害がなかったら…妄想する

息子に障害がなかったら、あなたはどんな性格、個性をしていたの?
お母さんと普段どんな会話をしていたの?
定型発達の20歳だったら、彼女くらいはできていたかな?
友達と週末は出かけたりしていたのかな?

こんな風に思い始めると切なくなります。

けれども、息子から知的障害と自閉症を取り去ったら、息子ではなくなってしまうのでそれはそれで嫌だと思うわがままな母親です。
自閉症の息子
Upload By 立石美津子

障害=個性、ではないと思うから

現代の医学では発達障害について、採血などの検査で明確に数値が出て、それだけで客観的に「はい、発達障害です」とわかるような生物学的マーカー(指標)はありません。

そのため、どこまでが個性でどこからが障害か、の線引きが難しいのかもしませんし、育てている親にとっても分かりにくい部分です。

そもそも個性は、万人に存在します。それは、障害の有無に関わりません。

障害のある子どもの親に対して第三者が「障害のある子は天使よね」などと、「障害そのもの=性格」のような言い方をしているのを耳にすることがあります。私自身もそのように言われたことがあります。

でも、そんな型にはまったものではないと思います。知的障害、ダウン症、自閉症…、確かにそうやって「障害名」ごとに分類したときに、ある程度共通する先天的な特性はあるでしょう、けれど一人ひとりが育つ環境の中で、優しかったり、好奇心旺盛だったり、いたずらだったり…、さまざまな性格が形成されていきます。

「障害そのものがイコール個性だ」としてしまうのは、違うのではないかなと思うのです。
(監修:鈴木先生より)
私はいつも外来で「障害は個性ではなく“特性”と考えてください」と保護者のみなさんに話しています。個性であれば外来受診する必要性がなくなります。
自閉スペクトラム症+ADHD+二次障害によってその人本来の姿が見えなくなっていると考えていいと思います。
ADHDなどを治療すれば本人や家族の肩の荷が下り、自閉スペクトラム症の特性は治らなくてもそれ以外の要素を軽くすることはできるのです。
自閉スペクトラム症を完全に取り去ることはできません。周りの人たちに発達障害を理解してもらい、発達障害の特性と共生していけばいいのではないでしょうか。

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このコラムを書いた人の著書

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