粗大運動(そだいうんどう)とは?発達の目安や遅れている場合の原因、発達障害(神経発達症)との関係、育み方まで解説
ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
粗大運動とは、座る、立つ、歩くなどの、生活をしていくときに必要な動作のこと。その動作は自然と獲得していくものであると同時に、外部からの刺激や働きかけを必要とすることもあります。粗大運動の発達が遅い場合は、何らかの障害がある可能性もあるといわれますが、それはどのような様子が見られるときなのでしょうか。具体的な働きかけの方法についても、見てみましょう。
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
粗大運動とは、座る・立つなど日常生活を送るために必要な体の動き
「粗大運動」とは何でしょう。聞きなれない言葉かもしれません。定義としては、
日常生活を送るために必要な、体を起こす、立つ、座る、姿勢を保つ、歩く、走るといった動作
つまり、毎日の生活に必要な、土台となる体の動きのことです。リハビリでは粗大運動障害はPT(理学療法士)が担当します。
一方、手で持ったり指でつまんだりする手指の動きや、食べたり飲んだりするために必要な機能を、微細運動といいます。リハビリでは微細運動障害はOT(作業療法士)が担当します。
日常生活を送るために必要な、体を起こす、立つ、座る、姿勢を保つ、歩く、走るといった動作
つまり、毎日の生活に必要な、土台となる体の動きのことです。リハビリでは粗大運動障害はPT(理学療法士)が担当します。
一方、手で持ったり指でつまんだりする手指の動きや、食べたり飲んだりするために必要な機能を、微細運動といいます。リハビリでは微細運動障害はOT(作業療法士)が担当します。
いつごろからどんな粗大運動ができるようになる? 目安は?
脳から伝わる運動神経は、頭から始まって上から下へ、中央から末端へという伝わり方をします。赤ちゃんが動かせるようになる順番も、頭→くび→腕→背中→腰→脚という順序です。この流れにそって、できる粗大運動も発達していきます。
新生児期はまだ原始反射の段階
新生児のころは明らかな粗大運動はまだ見られず、モロー反射や掌握反射などの原始反射がメインとなります。新生児健診でのチェックは成長と、体が柔らかいか硬いかがポイントとなります。
主な粗大運動の発達の段階と、できるようになる目安は?
では、だんだんに成長していく粗大運動について、どんな動作がいつごろできるようになるかの目安を見てみましょう。
●首がすわる 生後3~4ヶ月ごろ
首がすわるというのは、縦抱きにしたときに首がグラグラせずにまっすぐ立っている状態で、自分の意思で向きたい方へ首を動かせるようになることです。新生児のころから「引き起こし反射」と言って、仰向けに寝かせた状態から、両腕をもってやさしく引き起こすと、体とともに首も一緒に起こそうとしますが、これはまだ「首がすわった」状態ではありません。両手を引っ張って引き起こしたときに、首が後ろに倒れなくなれば、「首がすわった」ということになります。
●寝返りする 生後5~6ヶ月ごろ
寝返りは、仰向けからうつ伏せに、うつ伏せから仰向けに、腰をひねって体の向きを変えること。うつ伏せから仰向けになるほうが難しい動きになります。寝返りが始まる以前には、足を上げて左右どちらかに腰をひねる様子が見られます。寝返りを始めたころは、うつ伏せから仰向け、どちらか一方向はできるけれど、反対にはうまく戻れないことも。仰向けからうつ伏せになっても、下になった腕がうまく抜けずに仰向けに戻ってしまうこともあります。だんだんと筋力がつき、体の動かし方も覚えて、自在に寝返りが打てるようになっていきます。
●支えがあれば座る 生後5~7ヶ月ごろ
赤ちゃんを抱っこして床にお座りの姿勢にさせ、背もたれを支えにしたり、上半身を大人の手で支えたりすれば、座っていられる状態です。また、周りから支えられなくても、前のめりになって自分の腕で床を押さえるようにして、数秒間じっとしていられることもあります。お座りの完成の手前の状態で、背中から腰への神経がしっかりしてきて筋肉が発達することで、だんだんと座っていられる時間が長くなっていきます。このころはまだ、寝ている状態から自力で体を起こして座ることはできません。
●支えなしに座る(座って両手が自由になる) 生後6~8ヶ月ごろ
いわゆる「お座り」の完成形で、腰がすわるとも言います。支えがなくても、安定して数分間座っていられるようになり、さらに両手を床から放して座ることができます。微細運動にも関係しますが、両手を使っておもちゃを持つといったことも可能になります。
●ずりばい~はいはい 6~11ヶ月ごろ(平均して8ヶ月ごろ~/目安としてハイハイの「ハチカ月」と覚えます)
いよいよ自力での移動が始まります。ずりばいは、うつ伏せの姿勢から上半身だけを起こして、腕の力で前後左右に移動することです。さらに手と足の両方の力を使って、四つん這いの姿勢で移動するようになるのがハイハイです。ずりばいとハイハイの違いは、お腹が床についているかどうか。腰から足にかけても動かせるようになってくると、おしりが上がり、お腹が床につかないハイハイになります。さらに、両ひざを床につけないで手のひらと足の裏だけを床につけた「高ばい」というスタイルもあります。ただ、床に物がたくさん置いてあって、つかまるところが多い環境では、ハイハイをしないでいきなりつかまり立ちする場合もあります。
●つかまり立ち~伝い歩き 生後8~11ヶ月ごろ
お座りの姿勢から、おしりを上げられるようになると、少し高いところにあるつかみやすいものに手をかけて腰を上げるようになります。これがつかまり立ちです。つかまり立ちが安定し、そのまま足を交互に動かすと移動ができるようになり、伝い歩きとなります。このころの赤ちゃんは、手の届くところならどこにでもつかまって立ちたがるので、不安定なものを身の周りに置くと危険なので気をつけましょう。
●立つ 生後9ヶ月~1歳1ヶ月ごろ
つかまり立ちがさらに安定して、片方の手で体を支えれば立っていられるようになり、やがて両方の手をどこにもつかまらなくても立てるようになります。はじめのうちは、一瞬立つだけで、すぐにしりもちをついてしまいますが、体のバランスのとり方をだんだんと覚え、足を踏ん張ることができるようになると、しっかり立っていられるようになります。初めはバランスをとるために両脚を広げて立ちます。頭部からスタートした運動神経が、足の裏まで届いたと言うことになります。
●歩く 1歳前後から
いよいよ二足歩行の始まりです。歩くためには片方の足を一瞬浮かせ、左右どちらかに体重移動させなくてはなりません。左右交互に体重を移しながら足を前に出し、倒れないように進むのが「歩く」ということ。はじめのうちは、一歩が出ても、すぐにしりもちをつきますが、すぐに2歩、3歩と歩けるようになるでしょう。歩けるようになってしばらくは、体重のバランスをとるために両腕を上げたバンザイのポーズで歩くことが多いです。1歳前から一人で歩ける子もいれば1歳半でようやく歩ける子もいます。一般に、歩行開始年齢は個人差がかなりあります。
●走る 1歳半前後から
歩くのが、1歩ずつ左右の足に体重を移動させることなら、走るのは、さらに両足が一瞬空中に浮く状態になります。左右どちらか後ろの足で地面を蹴り、前に出た足を着地させるというかなり複雑な一連の動作になります。筋肉や関節の動きも大切ですが、脳からの運動神経の指令が複雑に発達したからこそできる動作です。
首がすわるというのは、縦抱きにしたときに首がグラグラせずにまっすぐ立っている状態で、自分の意思で向きたい方へ首を動かせるようになることです。新生児のころから「引き起こし反射」と言って、仰向けに寝かせた状態から、両腕をもってやさしく引き起こすと、体とともに首も一緒に起こそうとしますが、これはまだ「首がすわった」状態ではありません。両手を引っ張って引き起こしたときに、首が後ろに倒れなくなれば、「首がすわった」ということになります。
●寝返りする 生後5~6ヶ月ごろ
寝返りは、仰向けからうつ伏せに、うつ伏せから仰向けに、腰をひねって体の向きを変えること。うつ伏せから仰向けになるほうが難しい動きになります。寝返りが始まる以前には、足を上げて左右どちらかに腰をひねる様子が見られます。寝返りを始めたころは、うつ伏せから仰向け、どちらか一方向はできるけれど、反対にはうまく戻れないことも。仰向けからうつ伏せになっても、下になった腕がうまく抜けずに仰向けに戻ってしまうこともあります。だんだんと筋力がつき、体の動かし方も覚えて、自在に寝返りが打てるようになっていきます。
●支えがあれば座る 生後5~7ヶ月ごろ
赤ちゃんを抱っこして床にお座りの姿勢にさせ、背もたれを支えにしたり、上半身を大人の手で支えたりすれば、座っていられる状態です。また、周りから支えられなくても、前のめりになって自分の腕で床を押さえるようにして、数秒間じっとしていられることもあります。お座りの完成の手前の状態で、背中から腰への神経がしっかりしてきて筋肉が発達することで、だんだんと座っていられる時間が長くなっていきます。このころはまだ、寝ている状態から自力で体を起こして座ることはできません。
●支えなしに座る(座って両手が自由になる) 生後6~8ヶ月ごろ
いわゆる「お座り」の完成形で、腰がすわるとも言います。支えがなくても、安定して数分間座っていられるようになり、さらに両手を床から放して座ることができます。微細運動にも関係しますが、両手を使っておもちゃを持つといったことも可能になります。
●ずりばい~はいはい 6~11ヶ月ごろ(平均して8ヶ月ごろ~/目安としてハイハイの「ハチカ月」と覚えます)
いよいよ自力での移動が始まります。ずりばいは、うつ伏せの姿勢から上半身だけを起こして、腕の力で前後左右に移動することです。さらに手と足の両方の力を使って、四つん這いの姿勢で移動するようになるのがハイハイです。ずりばいとハイハイの違いは、お腹が床についているかどうか。腰から足にかけても動かせるようになってくると、おしりが上がり、お腹が床につかないハイハイになります。さらに、両ひざを床につけないで手のひらと足の裏だけを床につけた「高ばい」というスタイルもあります。ただ、床に物がたくさん置いてあって、つかまるところが多い環境では、ハイハイをしないでいきなりつかまり立ちする場合もあります。
●つかまり立ち~伝い歩き 生後8~11ヶ月ごろ
お座りの姿勢から、おしりを上げられるようになると、少し高いところにあるつかみやすいものに手をかけて腰を上げるようになります。これがつかまり立ちです。つかまり立ちが安定し、そのまま足を交互に動かすと移動ができるようになり、伝い歩きとなります。このころの赤ちゃんは、手の届くところならどこにでもつかまって立ちたがるので、不安定なものを身の周りに置くと危険なので気をつけましょう。
●立つ 生後9ヶ月~1歳1ヶ月ごろ
つかまり立ちがさらに安定して、片方の手で体を支えれば立っていられるようになり、やがて両方の手をどこにもつかまらなくても立てるようになります。はじめのうちは、一瞬立つだけで、すぐにしりもちをついてしまいますが、体のバランスのとり方をだんだんと覚え、足を踏ん張ることができるようになると、しっかり立っていられるようになります。初めはバランスをとるために両脚を広げて立ちます。頭部からスタートした運動神経が、足の裏まで届いたと言うことになります。
●歩く 1歳前後から
いよいよ二足歩行の始まりです。歩くためには片方の足を一瞬浮かせ、左右どちらかに体重移動させなくてはなりません。左右交互に体重を移しながら足を前に出し、倒れないように進むのが「歩く」ということ。はじめのうちは、一歩が出ても、すぐにしりもちをつきますが、すぐに2歩、3歩と歩けるようになるでしょう。歩けるようになってしばらくは、体重のバランスをとるために両腕を上げたバンザイのポーズで歩くことが多いです。1歳前から一人で歩ける子もいれば1歳半でようやく歩ける子もいます。一般に、歩行開始年齢は個人差がかなりあります。
●走る 1歳半前後から
歩くのが、1歩ずつ左右の足に体重を移動させることなら、走るのは、さらに両足が一瞬空中に浮く状態になります。左右どちらか後ろの足で地面を蹴り、前に出た足を着地させるというかなり複雑な一連の動作になります。筋肉や関節の動きも大切ですが、脳からの運動神経の指令が複雑に発達したからこそできる動作です。
粗大運動の発達が遅れる場合に考えられること
粗大運動は、体と心の両方が成長して発達していきます。発達障害(神経発達症)などがあることで、粗大運動の発達に遅れが見えるのは、どんなケースなのかを見ていきましょう。
※最新のDSM-5では発達障害は「神経発達障害/神経発達症」と表記されていますが、一般的に「発達障害」と呼ばれることが多いため、以下「発達障害(神経発達症)」と記述します。
※最新のDSM-5では発達障害は「神経発達障害/神経発達症」と表記されていますが、一般的に「発達障害」と呼ばれることが多いため、以下「発達障害(神経発達症)」と記述します。
ずりばい、ハイハイをなかなかしないいくつかの理由
赤ちゃんは寝返りでも移動はできますが、本格的に自力で移動できる最初の方法となるのが、ずりばいとハイハイです。生後8ヶ月ごろになっても、ハイハイをしようとする様子が見えない場合、どんな理由が考えられるでしょうか。
まず体の面から考えてみましょう。腰がしっかりすわっていない場合は、ハイハイはまだこれから、ということになります。支えがなくても安定して座れるようになってから、ハイハイは始まります。また、ずりばいし初めのポーズとなるうつ伏せの姿勢が、そもそも苦手ということも考えられます。この場合は背泳ぎのような背ばいとなります。ハイハイするには筋力の成長が追いつかない場合や、股関節脱臼などの股関節に原因がある場合もあり、そのような場合にはハイハイの開始が遅くなることもあります。
次に、心の面を見てみましょう。ハイハイをするのは、今自分がいるところから離れたところへ「動きたい」という意欲があるから。触りたいものや人、「あれはなんだろう」という好奇心があるから、自分が今できる動作で移動しようとするのです。好奇心があまりなければ、ハイハイする意欲は湧きません。あるいは、すぐに誰かが抱っこしてくれるなど、ほかの移動方法で満足していたり、部屋が狭かったり物が溢れていたりして、ハイハイしなくても興味のあるものにすぐ手が届くような環境の場合も、ハイハイをあまりしないことがあります。
まず体の面から考えてみましょう。腰がしっかりすわっていない場合は、ハイハイはまだこれから、ということになります。支えがなくても安定して座れるようになってから、ハイハイは始まります。また、ずりばいし初めのポーズとなるうつ伏せの姿勢が、そもそも苦手ということも考えられます。この場合は背泳ぎのような背ばいとなります。ハイハイするには筋力の成長が追いつかない場合や、股関節脱臼などの股関節に原因がある場合もあり、そのような場合にはハイハイの開始が遅くなることもあります。
次に、心の面を見てみましょう。ハイハイをするのは、今自分がいるところから離れたところへ「動きたい」という意欲があるから。触りたいものや人、「あれはなんだろう」という好奇心があるから、自分が今できる動作で移動しようとするのです。好奇心があまりなければ、ハイハイする意欲は湧きません。あるいは、すぐに誰かが抱っこしてくれるなど、ほかの移動方法で満足していたり、部屋が狭かったり物が溢れていたりして、ハイハイしなくても興味のあるものにすぐ手が届くような環境の場合も、ハイハイをあまりしないことがあります。
シャフリングベビーは一過性のものであれば心配ありません
シャフリングとは、ハイハイをしないかわりに、お座りの姿勢でおしりを床につけたまま、上半身を上に跳ねさせて、その勢いで手を床につけずに前に進むこと。また、四つん這いのハイハイではなく、腰から下を地面につけたままのハイハイが一般的なシャフリングベビーです。
かつては、シャフリングベビーは障害があることが多い、と言われましたが、研究が進み、一時期シャフリングしていても、その後立って歩けるようになれば、特に問題はないとされています。シャフリングしたがるかどうかは、遺伝的な要素が大きく関係するともいわれます。
このように粗大運動の発達が遅かったり、特定の動作をしたがらなかったりする場合にはさまざまな理由があります。ただ、それだけでは何か心配なことが隠れているとは考えにくいものです。基本的には、どんなプロセスをたどっても、歩けるようになるころには問題がなくなっていることが多く、その場合は個人差の範疇と考えられ、脳の大きな障害はないでしょう。
かつては、シャフリングベビーは障害があることが多い、と言われましたが、研究が進み、一時期シャフリングしていても、その後立って歩けるようになれば、特に問題はないとされています。シャフリングしたがるかどうかは、遺伝的な要素が大きく関係するともいわれます。
このように粗大運動の発達が遅かったり、特定の動作をしたがらなかったりする場合にはさまざまな理由があります。ただ、それだけでは何か心配なことが隠れているとは考えにくいものです。基本的には、どんなプロセスをたどっても、歩けるようになるころには問題がなくなっていることが多く、その場合は個人差の範疇と考えられ、脳の大きな障害はないでしょう。
つま先立ちや階段を降りるのが苦手な場合
発達障害(神経発達症)でよく見られるのは、自己刺激としてつま先立ちで歩くこと(つま先歩行)です。体の感覚統合(*)がうまくいっていない場合にあらわれる体の使い方のひとつです。歩行器を使用している子どもの場合にも、つま先歩行は見られるので、いずれにしても自然に体幹が鍛えられるような遊びや働きかけが必要となります。遊びとしてはトランポリン、平均台、縄跳びなどがいいです。また、歩けるようになっても階段を降りるのが苦手な子どもは障害がある可能性があります。
* 感覚統合とは
人間の感覚には、既によく知られている五感(触覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚)に加えて、固有受容覚(手足の状態・筋肉の伸び縮みや関節の動きを感じる感覚)、前庭覚(身体の動きや傾き、スピードを感じる感覚)といった合計7つの感覚があります。
(中略)
次々と身体に入ってこようとするこの7つの感覚を整理したり分類したりするのが感覚統合です。このはたらきによって、その場その時に応じた感覚の調整や注意の向け方ができるようになり、自分の身体を把握する、道具を使いこなす、人とコミュニケーションをとるというような周囲の状況の把握とそれをふまえた行動ができるようになります。リハビリではOT(作業療法士)が感覚統合訓練を担当します。発達障害(神経発達症)がある子どもにとって一番いい療育は、感覚統合訓練が含まれている音楽療法と乗馬療法です。
(「感覚統合」とは? 発達障害との関係、家庭や学校でできる手助けまとめ)
発達障害(神経発達症)がある子どもの粗大運動の発達と、その背景にあるもの
粗大運動の発達には、脳の働き、心の働き、体の働きが、それぞれ関係しています。発達障害がある子どもの場合、粗大運動の成長がなぜ遅れるのか、もう少し詳しく見ていきましょう。なお、ADHDのある子どもはハイハイのときに手指を屈曲している場合があります。この時期の動画を撮っておくと、後に診断の役にも立ちます。
周囲の人や物への好奇心がないため
ハイハイを例にとって説明したように、粗大運動の発達は、運動神経の伝達や、体の発達だけによって起こるものではありません。「そこへ行きたい」「あれに触りたい」という好奇心がなければ、移動せずに座ったままという場合もあります。目標に向かってハイハイさせることが重要なのです。
感覚過敏があるため、手足を動かして周りのものに触れたがらないため
感覚が過敏だと、手足が何かに触れるたびに驚いてしまいます。だから、自分から手足を動かして、わざわざ周りのものに触れようとはしません。床に手をつくこともしないので、ハイハイもしないと言う場合もあります。
予測不能な物事をこわがるため
好奇心によって起こす行動は、知らないことに挑むことです。発達障害(神経発達症)がある子どもにとって、予測ができないことは怖いことに繋がることが多く見られます。新しいことに挑戦したがらず、自分から移動して「見てみよう」「やってみよう」とならない場合があります。
発達障害(神経発達症)ではない原因による筋力や股関節の発達の遅れの例
発達障害(神経発達症)以外にも、運動神経や体の機能の問題で、粗大運動の成長が遅れることがあります。
●筋肉の低緊張
フロッピーインファント(筋力が弱い病気がある子ども)の場合は、首座りの段階から、粗大運動の発達が遅くなります。ダウン症のある子どもの特徴として筋肉の低緊張があり、その場合は関節がやわらかいために粗大運動の発達に遅れが見られますが、それでもいずれは歩けるようになります。ただ、関節が硬くて低緊張の場合は、脳性まひや筋ジストロフィーの可能性があり、歩くことが困難な場合があります。老人のように膝に手をついて立ち上がるようなときは、筋ジストロフィー症のような筋肉疾患の可能性があります。
●股関節の病気
股関節脱臼や、大腿骨の末端の病気であるペルテス病などの場合は、痛みがあるために立ちたがらない、歩きたがらないということもあります。
ほかにも、朝は歩けるけれど夕方になると歩きづらくなるような日内変動がある場合、若年性パーキンソンや遺伝性進行性ジストニア(瀬川病)の可能性もあります。
いずれにしても、粗大運動の遅れだけでは、必ずしも発達障害(神経発達症)やなんらかの疾患があるとは言えません。それぞれ、そのほかの特徴的な傾向が見られるはずです。サインを見逃さずに早めに診断して理学療法・作業療法などのリハビリを始めることは大事ですが、自己判断で思い込んだりせず、必ず医療機関で相談しましょう。
●筋肉の低緊張
フロッピーインファント(筋力が弱い病気がある子ども)の場合は、首座りの段階から、粗大運動の発達が遅くなります。ダウン症のある子どもの特徴として筋肉の低緊張があり、その場合は関節がやわらかいために粗大運動の発達に遅れが見られますが、それでもいずれは歩けるようになります。ただ、関節が硬くて低緊張の場合は、脳性まひや筋ジストロフィーの可能性があり、歩くことが困難な場合があります。老人のように膝に手をついて立ち上がるようなときは、筋ジストロフィー症のような筋肉疾患の可能性があります。
●股関節の病気
股関節脱臼や、大腿骨の末端の病気であるペルテス病などの場合は、痛みがあるために立ちたがらない、歩きたがらないということもあります。
ほかにも、朝は歩けるけれど夕方になると歩きづらくなるような日内変動がある場合、若年性パーキンソンや遺伝性進行性ジストニア(瀬川病)の可能性もあります。
いずれにしても、粗大運動の遅れだけでは、必ずしも発達障害(神経発達症)やなんらかの疾患があるとは言えません。それぞれ、そのほかの特徴的な傾向が見られるはずです。サインを見逃さずに早めに診断して理学療法・作業療法などのリハビリを始めることは大事ですが、自己判断で思い込んだりせず、必ず医療機関で相談しましょう。
粗大運動の発達を促すにはどうしたら?
粗大運動の発達を促すことは、感覚統合にもつながり、心の発達も促すことにつながります。粗大運動の発達が遅れている、とあきらめないで、できることからスタートしてみましょう。それは、難しいトレーニングではありません。楽しい遊びの中にあります。
ボールプール、滑り台、平均台や固定遊具などによる「体を使った遊び」の大切さ
見る、聞く、触る、揺れを感じるといった感覚刺激を楽しく経験することによって、感覚の刺激を適切に処理できるようにしていくことができます。こうしたことから、公園やアスレチックにある固定遊具を使った遊びがおすすめです。
たとえば滑り台。手足を動かして階段を上り、上半身が倒れないようにバランスをとりながら傾斜を滑り降ります。平均台では、足裏で立つ位置を感じながら、全身のバランスをとります。ボールプールは、体じゅうのあちこちにやわらかいボールが当たることで、感覚が刺激されます。ほかには先に述べたようにトランポリンや縄跳びも有効です。
たとえば滑り台。手足を動かして階段を上り、上半身が倒れないようにバランスをとりながら傾斜を滑り降ります。平均台では、足裏で立つ位置を感じながら、全身のバランスをとります。ボールプールは、体じゅうのあちこちにやわらかいボールが当たることで、感覚が刺激されます。ほかには先に述べたようにトランポリンや縄跳びも有効です。
粗大運動を育てるときに必要な、発達段階別にみる環境づくり
●お座りのころ
お座りがまだ不安定な時期は、両脇にクッションを置いたり、C字型の授乳クッションの中に座らせたりして、体を支えてあげましょう。手をつかずに座れるようになったら、積木などのおもちゃを手に持たせて、上半身のバランスをとりながら遊べるようにしてあげましょう。
●ハイハイ
人生で初めて交互のロコモーションができる時期です。左脳右脳の区別をしっかりとするために、できるだけ手足を交互に動かせるようにしてください。思い切りハイハイができるように、床にものを置かないなど、スペースの確保も必要です。
また、赤ちゃんは床に落ちているものは何でも口に入れてしまいます。誤飲や窒息の可能性がある小さいものは、手の届くところに置きっぱなしにしないでください。「小さい」とは赤ちゃんが丸呑みできるサイズということ。目安としてトイレットペーパーの芯の中を通ってしまうものは危険です。そして、なるべく両手両ひざをついた四つん這いのハイハイをさせてあげましょう。ずり這いの姿勢のまま、なかなかおなかが床から離れないときは、丸めたタオルや小さなクッションをおなかの下にあててあげ、四つん這いの姿勢にさせてみることから始めましょう。
●つかまり立ち
赤ちゃんが体重をかけただけですぐに倒れるような軽い不安定なものは置かないようにします。テーブルの上には、誤飲するようなものを置かないように片づけましょう。大人の薬やタバコを誤飲するのもこの時期が多いのです。
また、お風呂場はとても危険です。目を離したすきに浴室に入って浴槽をのぞき込み、頭が重い赤ちゃんはそのままお風呂に落ちて、おぼれてしまうことがあります。子どもが小さいうちは、残り湯は必ず捨ててください。そもそも浴室に入れないように鍵をかけるなどの工夫も必要です。
●立つ・歩く
かかとをつけて立っていれば脳性まひの疑いはないと言えるでしょう。一方で、自閉スペクトラム症のある子どもはつま先歩行をすることが多くあります。歩行器を使用している場合も、つま先歩行をする傾向があります。歩行器を使う場合は動かないタイプがいいでしょう。まずは、きちんとかかとを地面につけて立つ練習をしましょう。つま先歩行や足を交差するなどの歩行の異常が見られる場合、動画を撮って専門医に相談しましょう。膝が内側に入ってしまうX脚になりやすい場合は、なるべくあぐらをかかせてあげましょう。
お座りがまだ不安定な時期は、両脇にクッションを置いたり、C字型の授乳クッションの中に座らせたりして、体を支えてあげましょう。手をつかずに座れるようになったら、積木などのおもちゃを手に持たせて、上半身のバランスをとりながら遊べるようにしてあげましょう。
●ハイハイ
人生で初めて交互のロコモーションができる時期です。左脳右脳の区別をしっかりとするために、できるだけ手足を交互に動かせるようにしてください。思い切りハイハイができるように、床にものを置かないなど、スペースの確保も必要です。
また、赤ちゃんは床に落ちているものは何でも口に入れてしまいます。誤飲や窒息の可能性がある小さいものは、手の届くところに置きっぱなしにしないでください。「小さい」とは赤ちゃんが丸呑みできるサイズということ。目安としてトイレットペーパーの芯の中を通ってしまうものは危険です。そして、なるべく両手両ひざをついた四つん這いのハイハイをさせてあげましょう。ずり這いの姿勢のまま、なかなかおなかが床から離れないときは、丸めたタオルや小さなクッションをおなかの下にあててあげ、四つん這いの姿勢にさせてみることから始めましょう。
●つかまり立ち
赤ちゃんが体重をかけただけですぐに倒れるような軽い不安定なものは置かないようにします。テーブルの上には、誤飲するようなものを置かないように片づけましょう。大人の薬やタバコを誤飲するのもこの時期が多いのです。
また、お風呂場はとても危険です。目を離したすきに浴室に入って浴槽をのぞき込み、頭が重い赤ちゃんはそのままお風呂に落ちて、おぼれてしまうことがあります。子どもが小さいうちは、残り湯は必ず捨ててください。そもそも浴室に入れないように鍵をかけるなどの工夫も必要です。
●立つ・歩く
かかとをつけて立っていれば脳性まひの疑いはないと言えるでしょう。一方で、自閉スペクトラム症のある子どもはつま先歩行をすることが多くあります。歩行器を使用している場合も、つま先歩行をする傾向があります。歩行器を使う場合は動かないタイプがいいでしょう。まずは、きちんとかかとを地面につけて立つ練習をしましょう。つま先歩行や足を交差するなどの歩行の異常が見られる場合、動画を撮って専門医に相談しましょう。膝が内側に入ってしまうX脚になりやすい場合は、なるべくあぐらをかかせてあげましょう。
粗大運動の発達が気になったら、どこに相談する?
もし、自分から移動しようとしない(好奇心があまりない)、体を動かそうとするけれどもうまくいかない様子など、粗大運動の成長で気になることがある場合は、自己判断せずに次のようなところで専門家に相談しましょう。
1歳6ヶ月健診:まずは乳幼児健診で相談します。1歳6ヶ月健診は、粗大運動がひと通り完成して歩けるようになっている時期。心と体、両方をチェックする機会です。母子手帳には子育てに困難を感じるか否かを記入する項目がありますが、「いいえ」以外は発達に何らかの懸念があるととらえ、早めにかかりつけの小児科医に相談することをお勧めします。
かかりつけの小児科医:普段からその子の様子をよく診ている先生は、その日の様子だけでなく、総合的に子どもの体の動きも見ています。遠慮なくかかりつけの小児科で相談してみましょう。
やはり様子が気になるならば、専門医などを紹介してもらう、というプロセスで相談してみるのがいいでしょう。病院の小児科外来では「神経」を専門とした医師が粗大運動の発達を診ています。もし、粗大運動の発達と同時に発達障害(神経発達症)の診断を受ける場合でも、普段の行動についての観察は必要です。
発達障害(神経発達症)の診断としての検査方法は、採血やレントゲンなどといった体への侵襲性のある検査や数値で表せるものではなく、行動についての問診や観察によるものが主だからです。ただ、さまざまな病気で発達障害(神経発達症)と同じような症状が現れることもありますので、病因検索として採血や脳CT/脳波などの検査をして、隠れているほかの病気を否定する必要性もあります。しかし、学会などで推奨されているものの、こうした検査がされていないという現実があります。また、子どもの場合、慣れない環境だと普段通りに動けないということもあります。一足飛びに専門医ということではなく、かかりつけの小児科医に相談しながら、成長の様子を見ていくことも大切です。
1歳6ヶ月健診:まずは乳幼児健診で相談します。1歳6ヶ月健診は、粗大運動がひと通り完成して歩けるようになっている時期。心と体、両方をチェックする機会です。母子手帳には子育てに困難を感じるか否かを記入する項目がありますが、「いいえ」以外は発達に何らかの懸念があるととらえ、早めにかかりつけの小児科医に相談することをお勧めします。
かかりつけの小児科医:普段からその子の様子をよく診ている先生は、その日の様子だけでなく、総合的に子どもの体の動きも見ています。遠慮なくかかりつけの小児科で相談してみましょう。
やはり様子が気になるならば、専門医などを紹介してもらう、というプロセスで相談してみるのがいいでしょう。病院の小児科外来では「神経」を専門とした医師が粗大運動の発達を診ています。もし、粗大運動の発達と同時に発達障害(神経発達症)の診断を受ける場合でも、普段の行動についての観察は必要です。
発達障害(神経発達症)の診断としての検査方法は、採血やレントゲンなどといった体への侵襲性のある検査や数値で表せるものではなく、行動についての問診や観察によるものが主だからです。ただ、さまざまな病気で発達障害(神経発達症)と同じような症状が現れることもありますので、病因検索として採血や脳CT/脳波などの検査をして、隠れているほかの病気を否定する必要性もあります。しかし、学会などで推奨されているものの、こうした検査がされていないという現実があります。また、子どもの場合、慣れない環境だと普段通りに動けないということもあります。一足飛びに専門医ということではなく、かかりつけの小児科医に相談しながら、成長の様子を見ていくことも大切です。
まとめ
粗大運動の発達段階「歩く」でも述べましたが、粗大運動の発達の早さには、個人差が大きく関係します。通常の発達の時期から大きく遅れる場合は、筋力や運動神経の問題だけでなく、好奇心などの心の発達も関係している場合があります。心と体の発達、両方をバランスよく促すためには、近くの公園やアスレチックなどを利用して体に適度な刺激を与える、体を動かす遊びが必要です。その子のペースで成長していけるように、遊びを通して子どもの粗大運動の発達を見守りましょう。
※疾患名は一例です。気になる症状があったら、かかりつけの小児科などに相談をしてください。
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