感覚過敏の症状とは?偏りの原因、発達障害との関係は?7つの感覚それぞれの症状も解説ーーマンガで学ぶ感覚過敏【専門家監修】
ライター:マンガで分かる発達障害のキホン
マンガで学ぶ感覚過敏。感覚過敏のある人に起こる、それぞれの感覚ごとの症状や発達障害との関係について説明します。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
感覚過敏のある人に起こる、それぞれの感覚ごとの症状
感覚過敏の症状は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、固有感覚、平衡感覚など多岐にわたっています。感覚の偏りと発達障害には密接な関係があり、特に自閉スペクトラム症(ASD)では、感覚の偏りが見られることが多いといわれています。
刺激の感じ方は個々によりさまざまで、症状も多岐にわたります。感覚の偏りが引き起こす具体的な症状とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、五感と呼ばれる視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚と、体の動きをつかさどる固有感覚、体のバランスをつかさどる平衡感覚について、それぞれに分けてお伝えします。
視覚
情報の刺激がいっぺんに目に飛び込んできてしまう
人は多くの刺激がある環境でも、注意を向けたい刺激を無意識的に選ぶことができます。しかし、視覚過敏がある場合には、全ての刺激情報を均等な濃さで受け取ってしまいます。ビビッドでカラフルな色のものや、たくさんのものがある場所は苦手なことが多くあります。
白いものや光をまぶしく感じる
視覚過敏でない人にとっては気にならないような光や白いものが、視覚過敏のある人にとっては目に突き刺さるほどまぶしいことがあります。蛍光灯の光や、テレビやパソコンの液晶画面、白い紙など苦手なことが多いです。授業中に席を離れてしまうなどの子どもの行動の背景には、感覚の偏りがある可能性があります。
聴覚
音がやけに大きく聞こえる、響く
賑やかな場所にいると疲れやすいなどが聴覚過敏の症状です。聴覚過敏の症状が強い場合、耳をふさぎたくなるほど耳の奥が痛くなったり、頭痛が起きたりするような身体的な痛みを伴うことがあります。人によって気になる音は異なりますが、例として、女性の甲高い声や、休み時間のチャイム、合奏の音、掃除機などの機械音などが挙げられます。
周囲の全ての音が等しく同じように聞こえてくる
選択的に音を拾い集めるのが困難になってしまい、音の刺激に対して適切に注意を向ける処理ができないために起こります。一生懸命聞こうとしていても、たくさんの音が聞こえてしまうので本人は混乱しています。
音が聞き取りにくい
逆に聴覚への反応性が低い場合には、音を聞き取ることができないために、結果的に授業中に上の空になったり、呼びかけても応じなかったり、またテレビの音を大きくしたりといった様子が見られることがあります。