固有感覚

筋肉に対する刺激を過剰に求める

固有感覚とは、筋肉の張り具合や関節の曲げ伸ばしを感じとる感覚です。自分の体の位置や動きを把握する役割があります。固有感覚につまずきがあると、筋肉に対する刺激を過剰に求める「感覚探求」が生じると言われています。

固有感覚が直接の原因ではないこともありますが、以下のような行動があげられています。
・強く足踏みをする
・体の一部を動かし続ける(常同行動)
・他人に思いっきりぶつかる、激しく関わる

平衡感覚

動きの刺激を過剰に好んだり、過剰に怖がったりする

平衡感覚とは体のバランスをとるときに働く感覚で、主に姿勢のコントロールや体のバランスを保つことに関わっています。

平衡感覚が鈍い場合には、体の揺れや傾きを自身で調節することが難しく、例えば、頭を振りながら走ったり、ぐるぐる回ったり、回る遊具やブランコなどが大好きで離れようとしなかったりすることもあります。

逆に、平衡感覚が敏感な場合には、動きの刺激に対して恐怖心や不安を持ってしまうこともあります。例えば、ブランコや高い場所に行くことを嫌がったり、頭を傾けたり体が傾いたりするのを嫌がったりします。

感覚の偏りの原因は? 発達障害と関係があるの?

感覚に偏りが見られる原因はあいまいではっきりとは分かっていませんが、中枢神経系(辺縁系や視床下部など)における感覚情報処理の問題によるのではないかと考えられています。感覚の過度な偏りと発達障害には密接な関係があります。その中でも、自閉スペクトラム症(ASD)では、幼いころから感覚の偏りが見られることが多いと言われています。

発達障害のある子どもは、刺激に対して適切な感情を生じさせる機能に特性があると考えられています。そのため本来は有害でない刺激に対して過度な恐怖、不安の感情を持つことがあります。また、適切に外部の刺激を取捨選択し、注意を向けたり調整することが難しいために、定型発達の子どもに比べて、過剰に反応をしてしまうことがあります。その結果、新しい活動を避けるようになってしまったり、多動傾向になったり、パニックになったり、周囲に対する不安感が強くなったりすることもあります。

それらの行動の背景に感覚の偏りがあるかどうかを見極めることは大切なことです。このような刺激に対して、環境を調節したり、適切にコントロールしたりすることができれば、本人の不安やストレスが軽減できるようになります。

※記事中のような行動があったとしても、感覚の特性だけが原因とは限らないので注意が必要です。専門機関で相談されることをおすすめいたします。

教室で体調悪化、保健室で回復?不快感を表現できなくて…『感覚過敏研究所』を立ち上げた現役高校生が伝えたいこと【連載#01】のタイトル画像

教室で体調悪化、保健室で回復?不快感を表現できなくて…『感覚過敏研究所』を立ち上げた現役高校生が伝えたいこと【連載#01】

感覚過敏な息子、学校生活での対策は?授業中の「困った行動」も実は...のタイトル画像

感覚過敏な息子、学校生活での対策は?授業中の「困った行動」も実は...

聴覚過敏の原因と、具体的な改善方法は?【専門家監修】のタイトル画像

聴覚過敏の原因と、具体的な改善方法は?【専門家監修】

子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪の原因や発達障害との関連は?癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめ【専門家監修】のタイトル画像

子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪の原因や発達障害との関連は?癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめ【専門家監修】


追加する

バナー画像 バナー画像

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。