発達障害息子「ストレスがあふれる」と癇癪に?予兆のつかみ方と、「あふれを予防」するクールダウン法
ライター:ウチノコ
こんにちは、ADHDと自閉スペクトラム症の診断がある小学2年生、むっくんの母ウチノコです。むっくんへのかかわりで悩むことと言えばやはり癇癪!小さいころから癇癪をできる限り落ち着けるべく、あの手この手を駆使してきました。そんなわが家のクールダウンアイテムたちを紹介します。
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
癇癪の予兆をつかむ
むっくんは小さなころから癇癪を起しやすい子でした。最近では以前と比べると自力でコントロールできるようになってきましたが、相変わらずときどき元気いっぱいに癇癪を起しています。パニック状態になり叫んだり暴れたり、周囲の言葉が届かなくなるので勘弁してよと言いたくなるむっくんの癇癪ですが、起こすときは必ず理由があります。
むっくんの場合は周囲からの強い刺激(騒がしい音などの不快な感覚)や疲れに眠気。また、物事が思うようにいかないフラストレーション、他者から怒られるという恐怖、周囲に自分の想いを伝えられない苦しさ、自分を理解してもらえない悲しさなどが多いです。
むっくんの場合は周囲からの強い刺激(騒がしい音などの不快な感覚)や疲れに眠気。また、物事が思うようにいかないフラストレーション、他者から怒られるという恐怖、周囲に自分の想いを伝えられない苦しさ、自分を理解してもらえない悲しさなどが多いです。
こういった経験を重ねるうちに、私はむっくんの中にストレスや不快感をためておくコップがあってそれがあふれるときに癇癪が起こるイメージを持つようになりました。一度コップがあふれはじめると、むっくんはある程度発散し終わるまで落ち着くことが難しくなります。だけど癇癪を起こしたいと思っているわけではありません。それしか発散方法がない所まで追い詰められるから、癇癪で放出するしかなくなるのだろうと感じています。
そのため、わが家の癇癪対応のカギのひとつは【コップの中身をあふれさせない過ごし方】であると考えています。
そのため、わが家の癇癪対応のカギのひとつは【コップの中身をあふれさせない過ごし方】であると考えています。
クールダウンアイテム
むっくんの癇癪の予兆は、イライラしていたり家族の生活音を嫌がるなどがあります。基本的には不快、恐怖、不安などがストレスの成分なので、予兆を感じたら安心安全心地よさを感じられるアイテムを発動します。
ハンモック
むっくんの大好きな揺れや包まれた感覚、浮遊感などの感覚刺激を入れることができます。そこで本を読む時間がとれると、最高に落ち着けるようです。
ビーズクッション
体重を預けて横になると、とてもリラックスできるようで本人も疲れると自分から横になっています。
静かな場所、一人になれる空間
周囲を囲まれた段ボールの中などの狭い空間は落ち着く様子で、イライラしてくると自分からソファーの下に潜り込んだり、静けさを求めて自分の部屋にこもったりすることもあります。そういうときは家族みんなむっくんが落ち着くまで刺激を与えず、そっと見守るように心がけています。
好きな音楽
好きな音楽はむっくんにとってクールダウン効果の高いアイテムです。好きな音楽はむっくんのタブレット端末に入れてあり、自分の判断で聞けるようにしてあります。また、好きな音楽を使った音楽ゲームなども視覚、聴覚から心地よい感覚を入れることができる様子です。
光るもの、回るもの、丸いもの、カラフルなもの
これはむっくんが小さなころから大好きな4原則。この要素を含んでいてぼんやり眺めることのできるおもちゃは8歳の今も相変わらず大好きです。こういった同じ動きを反復するものを静かに眺めることはクールダウンにつながります
好きな番組
むっくんは大人向けの宇宙の番組が小さなころから好きでいくつかお気に入りがあるのですが、疲れを感じるときほど好んで見ている様子です。興奮したりワクワクする番組ではなく、何度も繰り返し見ている静かな宇宙の番組を選ぶのは安心できて落ち着くからなのだろうと感じています。
お風呂・シャワー
全身でお湯の心地よさを感じることができるお風呂やシャワーは小さなころからクールダウン効果の高いアイテムです。癇癪を起こしてからでも水に触れると落ち着きやすいのでよく利用しています。
甘いお菓子
むっくんは空腹感で癇癪を起こしやすくなることがあります。彼には感覚鈍麻な一面があり空腹に気づきにくいことがあるので、イライラしていたらラムネやチョコなどで血糖値を上げることを意識しています。
好きなおもちゃ
むっくんはどこへ行くにも決まったお気に入りのおもちゃ(ぬいぐるみやブロック)を持っていきます。これは遊ぶためではなく、かばんに入っていると思うだけでとても安心できるから持ち歩きたいのだと教えてくれました。年齢にそぐわない行動かもしれませんが、外出時はいつも以上に不安を感じやすいので彼なりのお守りなのかな?とその習慣を尊重するよう心がけています。
自分と折り合いをつけていく
小さなころは癇癪を自制することがとても難しかったむっくんですが、現在は一生懸命自分の中にある激しさと折り合いをつける努力を重ねるようになりました。癇癪は問題行動とレッテルを張られてしまうこともありますが、何より、誰より、本人がそれと折り合いをつけたいと思っているように感じています。
むっくんが7歳になったころから、ストレスにうまく対処する方法【ストレスコーピング】を意識してどんなときに緊張が高まるか、どんな方法をつかうと緊張が和らぐかということを一緒に話し合うようになりました。自分の感覚を共に言語化していくことで、自分を知り少しずつ対処できることも増えてきたむっくん。これからも相談し合いながら心地よい環境を整えていけたらと思っています。
執筆/ウチノコ
むっくんが7歳になったころから、ストレスにうまく対処する方法【ストレスコーピング】を意識してどんなときに緊張が高まるか、どんな方法をつかうと緊張が和らぐかということを一緒に話し合うようになりました。自分の感覚を共に言語化していくことで、自分を知り少しずつ対処できることも増えてきたむっくん。これからも相談し合いながら心地よい環境を整えていけたらと思っています。
執筆/ウチノコ
(監修:初川先生より)
癇癪を起こすことを“コップに注がれるストレスや不快感があふれるイメージ”と捉え、癇癪を起こしたくて起こしているのではなく、そういう方法しかないところまで追いつめられているからそうなっているのだ、という理解。その理解によってどれほどむっくんは救われていることか…!と思います。
癇癪を起こされると、保護者や周りの関わる大人はご自身が困ってしまうため、いかにして癇癪を起こさないようにするか、だって癇癪が起きたら迷惑…そんな風に考えてしまうこともあると思います。しかし、癇癪を起こしたくて起こしているのではなくそうせざるを得なかったから、という理解があるだけで、お子さんへのまなざしはとてもあたたかいものになっているだろうと感じます。
不快感やストレスを減らし解消する具体的な方法も、同じように困っている子や保護者の方にはとても参考になりますね。さまざまなところで言われているように、触覚、聴覚、視覚に働きかけるものが多いですね。お子さんの好みに合うものをぜひ探してみてください。持ち歩けないものは写真で持ち歩き安心感を得る、というのはなるほどそういう方法もあるんだなと勉強になりました。
むっくんはまだ子どもですが、大人になるにつれて、自分自身でどういう場面でどう疲れてしまうのか、そのためにどうしたらよいか、ということを理解していく(自己理解を深めていく)ことが求められていきます。その準備として、親子で試行錯誤してみることはとても大切ですね。親子での理解、自己理解が深まるにつれ、「折り合いをつける」ことがどんどん上手になってゆくことと思います。
癇癪を起こすことを“コップに注がれるストレスや不快感があふれるイメージ”と捉え、癇癪を起こしたくて起こしているのではなく、そういう方法しかないところまで追いつめられているからそうなっているのだ、という理解。その理解によってどれほどむっくんは救われていることか…!と思います。
癇癪を起こされると、保護者や周りの関わる大人はご自身が困ってしまうため、いかにして癇癪を起こさないようにするか、だって癇癪が起きたら迷惑…そんな風に考えてしまうこともあると思います。しかし、癇癪を起こしたくて起こしているのではなくそうせざるを得なかったから、という理解があるだけで、お子さんへのまなざしはとてもあたたかいものになっているだろうと感じます。
不快感やストレスを減らし解消する具体的な方法も、同じように困っている子や保護者の方にはとても参考になりますね。さまざまなところで言われているように、触覚、聴覚、視覚に働きかけるものが多いですね。お子さんの好みに合うものをぜひ探してみてください。持ち歩けないものは写真で持ち歩き安心感を得る、というのはなるほどそういう方法もあるんだなと勉強になりました。
むっくんはまだ子どもですが、大人になるにつれて、自分自身でどういう場面でどう疲れてしまうのか、そのためにどうしたらよいか、ということを理解していく(自己理解を深めていく)ことが求められていきます。その準備として、親子で試行錯誤してみることはとても大切ですね。親子での理解、自己理解が深まるにつれ、「折り合いをつける」ことがどんどん上手になってゆくことと思います。
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