映画鑑賞中、感動シーンに水を差す発達障害息子の言葉にイラッ!馬鹿にしてる?そこにはある思いが…
ライター:ウチノコ

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こんにちは、ADHDと自閉スペクトラム症の診断のある小学3年生、むっくんの母ウチノコです。以前、親子で映画を見ていたところ、むっくんが私にかけた言葉にイラっとして親子喧嘩をしてしまったことがあります。だけど、その言葉には私が思いもしなかった理由が隠れていたのです。

監修: 三木崇弘
はりまこどものこころ診療所 院長
愛媛大学医学部卒。医学博士(東京医科歯科大学)、経営管理学修士(早稲田大学)。2013年より国立成育医療研究センターで児童精神科医として勤務。2019年よりフリーランスとして医療・教育・福祉・行政の現場で働く。2022年より地元兵庫県姫路市にUターンし、2025年4月「はりまこどものこころ診療所」を開設。
映画鑑賞中、親子喧嘩勃発
むっくんと、(鬼を倒す)大人気アニメの映画をテレビで観ていたときのことです。物語はいよいよクライマックス、思わず涙がこぼれるようなシーン。真剣に映画を観ていた私に、突然むっくんがにやっと笑いながら声をかけてきました。
「ねぇ?泣きそう?」
(えっ、今言う?)と、もやっとしましたが私は映画を観たいのだ!と思い直し、一旦無視します。すると再び
「このシーン泣けるって聞いたよ。ねぇ、お母さんも泣きそう?」
(どうして今絡んでくるかな~!)イラっとしてしまった私は我慢できず言い返しました。
「観てるんだから静かにしてよ!そうやって泣く人を馬鹿にするの私は嫌い!」
「馬鹿にしてないよ!」「いーや!馬鹿にした!」
そして言い争ううちに映画は終了…しょうもない親子喧嘩で、せっかくの映画が台無しになってしまいました。
「ねぇ?泣きそう?」
(えっ、今言う?)と、もやっとしましたが私は映画を観たいのだ!と思い直し、一旦無視します。すると再び
「このシーン泣けるって聞いたよ。ねぇ、お母さんも泣きそう?」
(どうして今絡んでくるかな~!)イラっとしてしまった私は我慢できず言い返しました。
「観てるんだから静かにしてよ!そうやって泣く人を馬鹿にするの私は嫌い!」
「馬鹿にしてないよ!」「いーや!馬鹿にした!」
そして言い争ううちに映画は終了…しょうもない親子喧嘩で、せっかくの映画が台無しになってしまいました。
どうふるまうと良いのかわからない
結局ぷんぷん怒って場を離れた私。しばらくして、むっくんがまた話しかけてきました。
「お母さん、映画を観て泣いている人がいるときはオレはどうしたらいいの?」
「え?」
「本当に、馬鹿にしようなんて思っていなかったの。泣くのは悪いことじゃん?だから泣かないように何か言ってあげるほうがいいんじゃないかと思ったんだ・・・」
一生懸命私の誤解を解こうとするむっくん。どうやら本当にからかうつもりはなかった様子。からかうどころか、本人の中では泣いていることはよくない。だから、お母さんが泣かないようにオレが何とかしないといけない、という使命感に駆られていたようなのです。
「お母さん、映画を観て泣いている人がいるときはオレはどうしたらいいの?」
「え?」
「本当に、馬鹿にしようなんて思っていなかったの。泣くのは悪いことじゃん?だから泣かないように何か言ってあげるほうがいいんじゃないかと思ったんだ・・・」
一生懸命私の誤解を解こうとするむっくん。どうやら本当にからかうつもりはなかった様子。からかうどころか、本人の中では泣いていることはよくない。だから、お母さんが泣かないようにオレが何とかしないといけない、という使命感に駆られていたようなのです。
そのあと私は一方的に決めつけて怒ったことを謝りました。さらに、感動して泣いたり物語の世界に入り込んで泣いているとき、私はできるだけそっとしておいてほしいと思っていることを伝えました。「泣いている」にもいろいろあること。今回のように、映画などを観て感動して泣いていることは「悪いこと」ではないのだとも伝えました。
対人スキルの偏り
今回のような場面で必要となる対人スキルは、周囲の人との関わりを通して自然に学ぶことが多いかと思いますが、むっくんはそれがとても難しい人です。専門家からも、「この子は対人スキルが年相応に備わっていない。未体験のことはもちろん、体験していたり、教えてもらっているはずの対人スキルも入りにくい傾向がある」という指摘を受けたことがあります。
私はむっくんには対人スキルの成長に難しさがあると知っています。それなのに、それを忘れてむっくんの行動や言動に悪意があると決めつけて叱ってしまうこともあります。
今回はむっくんがあきらめずに気持ちを伝えてくれたことで私は勘違いに気づくことができ、むっくんに対応を教えることができました。だけど、もし怒られたことでむっくんが委縮して黙ってしまっていたら、私は気づくことができませんでした。そう考えると、ただ一方的に「失礼だ!」と怒り拒絶した私の対応は、対人スキルが伸びにくいむっくんの学ぶチャンスを奪う行動だったのだと反省しました。
今回はむっくんがあきらめずに気持ちを伝えてくれたことで私は勘違いに気づくことができ、むっくんに対応を教えることができました。だけど、もし怒られたことでむっくんが委縮して黙ってしまっていたら、私は気づくことができませんでした。そう考えると、ただ一方的に「失礼だ!」と怒り拒絶した私の対応は、対人スキルが伸びにくいむっくんの学ぶチャンスを奪う行動だったのだと反省しました。