放たれた夫のセリフに絶望。癇癪、夜泣き、孤独な自閉症育児のSOSは届かず――バラバラだった家族は、いま

ライター:ぼさ子
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わが子の障害に向き合うことがなかなかできず一番つらかった時期、私は身近であるはずの夫の記憶がほとんどありません。息子ほぺろうの癇癪がひどくなり出してから、そして正式に診断名がついてからその後しばらくの間、障害を受け入れられず私は精神的に暗闇の中。今思い返すと、当時は「私とほぺろうだけ世界から取り残された」という感覚で、夫と対話するということをしていませんでした。

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

ほぺろうの癇癪でつらかった時期、家族はバラバラ

夫とはすれ違いの生活だったころ
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自閉スペクトラム症と知的障害のあるわが家の息子ほぺろう。正式に診断が下りたのは3歳のときでした。

1歳半ごろから発達の遅れは気になってはいましたが、2歳を過ぎたあたりから手のつけられないレベルで癇癪が激しくなり、いよいよ『ほかの子とは違う』という現実を突きつけられていました。

当時の私は障害について検索するのに必死。改善する方法を検索して必死。障害じゃない可能性を検索して必死。…頭がおかしくなるくらい検索漬けの毎日でした。

しかも「私は母親なんだから子どものことをしっかりやらなくてはならない!」という変な意地を張っていたので、仕事のあるペー太(夫)に支障がないようにほぼ毎日別室で寝ていたし、ほぺろうのことはほぼ全て私がやっていました。

ただでさえ大変なほぺろうに私は24時間つきっきり。ほぺろうが何よりも最優先。ペー太とはすれ違い生活で会話は減り、そのころの夫の記憶がほとんどありません。

限界のとき…妻に放たれた夫のセリフ

3歳でほぺろうの診断名が出た当時の私の気持ちは、わが子の将来が見えなくて不安と絶望。

また「育児は母親が背負うもの」という間違った先入観が邪魔して、「癇癪で大暴れ」や「夜の寝つきが悪い」などなど…ほぺろうと二人っきりの閉鎖的な世界で(他人に会うと迷惑をかけるので)全てを私一人で抱え込んでいました。

毎日の癇癪と寝不足で心身はボロボロ。限界でしたが助けの求め方が分かりません。というか、もう正しい判断もできなくなっていたので「母親なんだから助けを求めてはいけない」と思っていました。

あるとき、追い詰められていた私はペー太に心配してほしくて「ほぺろうがいなくなっても後悔しないかも…」と心にもない言葉を出してしまいました。でも そんな屈折したSOSを理解する方が難しいでしょう。
SOSを出して夫に心配してもらえると思ったけれど
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遠回しなSOSは夫に伝わらなくて
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「ぼさ子がそんなに卑屈じゃ、ほぺろうがかわいそうだ」と言われてしまう
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そう言い残し、戸を閉めて行ってしまいました。

そのときは、「夫は私やほぺろうに無関心なんだと」思ったし、寄り添ってもらえないと感じました。そして、さらに夫に頼るということができなくなりました。

転機!全てのきっかけは私自身にあった

その後もずいぶん一人でもがき苦しんでいました。

でもやがて、地域のサポートや保育園にお世話になれるようになってから私の気持ちに少しずつ余裕が出てきました。そして就職も私にとって大きな転機だったと思います。決して自慢できませんが、家事がどんどん下手クソになっていったのです!

あまりにも上手く家事ができな過ぎて、逆に「ま、いっか!」と開き直るようになったせいか、助けの求め方が分からなかった私が自然にペー太を頼れるようになっていきました。

すると不思議なことに、なぜか家族仲が良くなってきました。ほぺろうがお父さんに懐くようになっていきました。
家族仲が良くなってきた理由を考えてみると
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変わったのは(周りではなく)私だ。と気づいて
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壁をつくっていたのは私自身だったんだと気づきました。
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次ページ「実は誰よりも息子を想っていたペー太」

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