2歳から始めた療育、「子どものため」だけでは続かない?6ヶ所の発達支援施設に通い思う、療育先選びで無視できない大切なこと
ライター:べっこうあめアマミ
私はこれまで、引越しなどもあり、息子と3つの地域で6ヶ所の児童発達支援(療育)に通ってきました。
その経験の中で感じた、「子どもに療育を受けさせたい」と考えている親御さんにぜひ伝えたいことがあります。
それは、療育先選びで忘れてはならないのは「親が無理せず通わせられること」だということです。
私がそう思うきっかけとなった出来事を、お伝えしたいと思います。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
息子2歳、初めて足を踏み入れた療育の世界
私の息子には、知的障害を伴う自閉スペクトラム症があります。息子に障害の診断がついたのは4歳のときでしたが、1歳半で発達の遅れに気づいたことをきっかけに、2歳から療育に通いはじめました。
息子が最初に通った療育は、地域の児童発達支援センターに月に1回程度の頻度で通う、親子通園の集団療育でした。
息子が最初に通った療育は、地域の児童発達支援センターに月に1回程度の頻度で通う、親子通園の集団療育でした。
児童発達支援センターは、発達に不安がある子どもと家族のための総合的な支援をしている、地域の中核的な発達支援施設です。そこで受ける初めての療育は、親子ともに学びが多い内容でした。
療育では、大きな遊具で身体をいっぱい動かしたり、名前呼びをしたり、手遊びや体操をしたり、紙芝居をしたりと、遊びながら発達を促していきました。息子はあまり活動に興味を示さなかったり、身体を動かすのを嫌がったりもしましたが、そういったときの先生からの声掛けの仕方なども、参考になりました。
療育では、大きな遊具で身体をいっぱい動かしたり、名前呼びをしたり、手遊びや体操をしたり、紙芝居をしたりと、遊びながら発達を促していきました。息子はあまり活動に興味を示さなかったり、身体を動かすのを嫌がったりもしましたが、そういったときの先生からの声掛けの仕方なども、参考になりました。
ただ、親子通園なので、私は療育の時間中ずっと息子にぴったりくっついていなければなりません。息子のあとを追い、怒ったらなだめ、精神的にも体力的にもすごく疲れました。
そして、児童発達支援センターが家から非常に遠かったことも大変でした。息子を連れて15分歩いて駅まで行き、電車に乗り、電車を乗り換えて、センターの最寄駅からまた15分くらい歩くという道のり……。バスで行くこともできましたが、時間がかかり、通うだけでへとへとでした。
そして、児童発達支援センターが家から非常に遠かったことも大変でした。息子を連れて15分歩いて駅まで行き、電車に乗り、電車を乗り換えて、センターの最寄駅からまた15分くらい歩くという道のり……。バスで行くこともできましたが、時間がかかり、通うだけでへとへとでした。
きょうだいがいると療育に通えない⁈まさかのルールに愕然
息子が3歳のとき、週3日で通える高頻度で時間も長い療育のクラスに、次年度からの空きが出たという連絡をもらいました。しかし、そのクラスに通うためにはいくつかの条件があることを知らされたのです。
・幼稚園と並行して通うことはできない
・ひき続き親子通園
・子どもの給食はあるが、親は療育中は飲食できない
・きょうだいを連れてきてはいけない
当時、私は2人目の妊娠が分かったばかりでした。そのため、週3日の頻度で親子通園ということも大変でしたが、幼稚園に通えないということや、きょうだいを連れてきてはいけないという条件に愕然としました。
交渉したところ、抱っこは不可だけれどおんぶなら許可すると言われましたが、両実家ともに県外だった私にとっては、それも難しい条件でした。まだ首が座らない赤ちゃんをどこかに預けて息子と療育に通い、おんぶができる月齢になったら赤ちゃんをおんぶしながら長い道のりを通って3人で一緒に療育を受ける…。
息子の発達のために頑張ろうと思いましたが、自信がありませんでした。そして、そのことを夫に相談すると、こんな答えが返ってきました。
・幼稚園と並行して通うことはできない
・ひき続き親子通園
・子どもの給食はあるが、親は療育中は飲食できない
・きょうだいを連れてきてはいけない
当時、私は2人目の妊娠が分かったばかりでした。そのため、週3日の頻度で親子通園ということも大変でしたが、幼稚園に通えないということや、きょうだいを連れてきてはいけないという条件に愕然としました。
交渉したところ、抱っこは不可だけれどおんぶなら許可すると言われましたが、両実家ともに県外だった私にとっては、それも難しい条件でした。まだ首が座らない赤ちゃんをどこかに預けて息子と療育に通い、おんぶができる月齢になったら赤ちゃんをおんぶしながら長い道のりを通って3人で一緒に療育を受ける…。
息子の発達のために頑張ろうと思いましたが、自信がありませんでした。そして、そのことを夫に相談すると、こんな答えが返ってきました。
私は、2人目が生まれてから通うことはかなり不安でした。でも妊娠中はギリギリまで通おうと思っていたのです。しかし…
いつも温厚な夫から諭されて、私は改めて、妊娠中の自分の身体についてすごく甘い認識でいたことに気がつきました。そして、「息子の発達の遅れへの心配で頭がいっぱいで、お腹の子や自分の体調、家族の生活についてまるで考えていなかった」ということを反省しました。
こうして、空きは出たとはいえ、あまりに家族にかかる負担が大きかったことから、この療育は辞めることになったのです。代わりに、息子は親子分離で通える別の療育に、週5日で通うことになりました。
こうして、空きは出たとはいえ、あまりに家族にかかる負担が大きかったことから、この療育は辞めることになったのです。代わりに、息子は親子分離で通える別の療育に、週5日で通うことになりました。
子どもの療育先を選ぶとき、無視できない「大切なこと」とは
療育は確かに、子どものために行うことです。
ですが、1人で通園できない子どもの場合、親の負担から目を背けることはできません。子どもを思うからこそ、多少無理をしてでも頑張って療育に通わせたいというのが親心。特に、未就学や未就園の小さいお子さんの親御さんほど、「子どものためにできる限りのことを」という思いから無理してしまいがちな気がします。ですが、療育の内容だけでなく、ぜひ次のような条件にも目を向けてみてください。
ですが、1人で通園できない子どもの場合、親の負担から目を背けることはできません。子どもを思うからこそ、多少無理をしてでも頑張って療育に通わせたいというのが親心。特に、未就学や未就園の小さいお子さんの親御さんほど、「子どものためにできる限りのことを」という思いから無理してしまいがちな気がします。ですが、療育の内容だけでなく、ぜひ次のような条件にも目を向けてみてください。
これらの条件は、通う前は「なんとかなる」と思っても、実際に通ってみると予想以上の負担だった、ということにもなりかねません。
見過ごされてしまいがちだけど、実は無視できない、非常に重要なポイントだと感じています。
見過ごされてしまいがちだけど、実は無視できない、非常に重要なポイントだと感じています。