見守るしかない?働きかけの正解は?

実は私も、小学校の高学年の頃、タケルが暗い顔で部屋をぐるぐるしていたり、手に血がにじんでいたりすることがあるのには気付いていました。
そんなとき、「何かあったのか?」と、すぐ聞いたりもしていましたが、「うぐぐ...。」と呻くだけで、ほとんど何も答えてくれることはありません。
当時のタケルには、「何が」「どうなった」か、を説明することができなかったようなのです。説明させることで余計にプレッシャーをかけていると気付き、次第に問い詰めるようなことはやめました。
何か困ったことがあった?と感じた時も、問いたださず様子を見る
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落ち着いたころ声をかけて、話したいときだけ話してもらう
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私の対応の仕方が正解だったのか、どうなのかは分かりません。
 
一応、鉄扉を殴るようなことは、ここ数年はやっていないようです。

執筆/寺島ヒロ
(監修:初川先生より)
大きくなってから、強い怒りを感じた際の自分自身の気持ちや、その気持ちの対処法としての行動の意味を語ることが出来ていることに、まずはすごいなぁと感心しました。頭や心の中は怒りでいっぱいだけれど、自分の体がそうした行動を取れていないこととの間に不協和があり、そこを一致させようとしていたのかなと感じました。ある程度その怒りを外に表出することができると収まる面もあったのかもしれませんね。

さて、その当時に一体どのように対応していたらよかったかということですが、私は寺島さんの関わりは家庭での対応としてよかったように感じます。うろうろしたり、物に当たっていたりするときは、おそらくやや興奮状態にあると思うので、そこでそのきっかけとなる出来事や気持ちを言語化させても、場合によっては火に油を注ぐような関わりになったり、強制的にその火を鎮火させてしまったり(よくある対応でいうと「怒るんじゃないの!」とたしなめてしまう場合もありますね)ということが考えられます。いったん自室でドタバタしたとしても、落ち着いてリビングに出てきたときにこそ、話をしようとすること、とても理に適っています。

そして、無理に語らせないことも大事です。自室でそれなりに自分の中で怒りを収めたと思っていても、もし火がくすぶっていたら、再炎上してしまい、本人がまたも不快な気持ちに見舞われることになります。話せるときに話してもらう、話したいと思ったときに話してもらうのはとても良いです。話してくれた際には、何であれ、話してくれたことを褒めたり、自分で頑張ってその怒りを収めようとしたことを労ったりすることが大切です。

とても落ち着いている場合には、「どうしてたらよかったかな?」「今度似たようなことあったら、どうする?」も一緒に考えておけるといいかもしれません(が、お子さんの年齢や状態にもよります)。話すことが上手にできない場合には、5W1Hのように、説明の仕方のコツを事前に紙に書いておき、そのコツに従って話してもらうなど工夫をしておくのもよいかもしれません。また、怒りのような「気持ちについての語り」が出てきたときには、気持ちを1つに単純化しすぎない(例えば怒りと同時に、悲しみや恥ずかしさ、悔しさもある場合などがあります)というのもポイントですね。…など、細かいことを言い始めればさまざま工夫ができる、「不快な出来事の振り返り」場面ですが、一番大事なことは、寺島さんがやられていたように、落ち着いたときに話を(できるなら)する、です。
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