飛び降り、リスカ未遂の自閉症娘。金銭トラブル、友達関係で「死にたい!」と叫び…成人した今は――【自傷】発達ナビユーザー体験談

ライター:ユーザー体験談
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【発達ナビではユーザーさんからの子育てエピソードを募集中!今回は「自傷」についてのエピソードをご紹介します。】
現在21歳の娘。12歳のころに自閉スペクトラム症の診断を受けています。その特性から相手の気持ちを考えたり、自分の気持ちを伝えることが苦手で子どものころはいつもイライラとストレスを抱えていました。
そんな娘が、あることをきっかけに「死にたい」と言い出したときのお話です。

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監修: 三木崇弘
社会医療法人恵風会 高岡病院 児童精神科医
兵庫県姫路市出身。愛媛大学医学部卒・東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程修了。早稲田大学大学院経営管理研究科修士課程修了。 愛媛県内の病院で小児科後期研修を終え、国立成育医療研究センターこころの診療部で児童精神科医として6年間勤務。愛媛時代は母親との座談会や研修会などを行う。東京に転勤後は学校教員向けの研修などを通じて教育現場を覗く。子どもの暮らしを医療以外の側面からも見つめる重要性を実感し、病院を退職。 2019年4月よりフリーランスとしてクリニック、公立小中学校スクールカウンセラー、児童相談所、児童養護施設、保健所などでの現場体験を重視し、医療・教育・福祉・行政の各分野で臨床活動を行う。2022年7月より社会医療法人恵風会 高岡病院で児童精神科医として勤務。

自閉スペクトラム症のある娘、嘘をついてお金を得て

12歳のころに自閉スペクトラム症の診断を受けた娘。相手の気持ちを考えたり、自分の気持ちを伝えることが苦手でいつもイライラとストレスを抱えており、私もそんな娘にどのように接したらいいのかを悩んでいました。

娘が中学1年生のある日、私の父(娘にとっての祖父)からある相談を受けました。話を聞いてみると、なんと娘が父から何度もお金をもらっていたことが発覚!

最初はお小遣い程度だったのが、そのうち欲しいものができたら父に言えばお金くれるという認識に…。その都度金額は違いましたが、だんだん額が上がり、1万円以上を要求することもあり、友達にも「おじいちゃんに言えばいつでもお金をくれる」と言っていたようでした。
「おじいちゃんに言えばいつでもお金をくれる」と考え、お金をもらう頻度が高くなっていった発達障害のある娘
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私が娘に注意をしても効果はなく…あまりに頻繁になってきたので、何度も父には「娘がお金が欲しいと言ってきても断ってほしい」とお願いもしました。

しかし、父も可愛い孫には厳しく言えなかったようで、結局いくら娘にお金をあげたのか…私の方でも把握できなくなってしまいました。

一体何のためにそんなにもお金がいるのか…父に聞くと「遊びに行く」「参考書を買う」など言っていたようですが、娘を問い詰めると「アイドルのCDを買うのに使っている」との答えが…。

金銭トラブルを注意すると、目の前で自傷

なんと娘は男性アイドルにのめり込み、そのアイドルと握手をしたりチェキなどを撮るためにCDを大量に購入していたのです!
父を半ば騙す形でお金を要求して、そのようなお金の使い方をするのはよくないことだと何度も話をしました。娘自身も自分が悪いのは重々承知しているのでしょう。

しかし何度も私に責められ、都合が悪くなった娘は「もうじゃあ死ぬ!」、「死ねばいいんだ!」「死にたい!」などと叫び、自分の首を両手で締め始めたり、「飛び降りてやる!」と自宅の2階から飛び降りようとしたりと危ない行動を起こし始めました。
もともと癇癪などを起こしやすい娘。こうなってしまうと暴れて私だけではどうにもすることができません。夫にも協力してもらい馬乗りになって制止することで精一杯でした。言葉でのフォローなども逆効果になってしまうため、娘自身が落ち着くまでそっとしておくことしかできませんでした…。

友達とのトラブル、そして学校でも起きた自傷行為

娘のトラブルは家だけではなく学校でも。
ある日担任の先生から「娘さんが休み時間に手首を切ったのですぐ学校に来てほしい」と電話がありました。

学校から連絡あったときは息ができなくなるほど震え、動揺した気持ちのまま学校へ向かったのを覚えています。トラブルを起こすことはある程度予測できていたものの、予想以上のことが起き、どうしよう、どうしようと混乱をしていました。

学校に着くと、娘は職員室の隅の方に座っていました。バツの悪そうな顔をしていたものの、少し時間も経っていたので落ち着いている様子でした。学年主任の先生と担任の先生が慌てることもなく、丁寧に娘に寄り添ってくださってくれました。手首の傷も収納式の簡易バサミだったので、軽く傷がついた程度でした。一体原因は何なのか…。話を聞いてみると友達とのトラブルのようでした。

トラブルの相手は当時娘が一番仲の良かった友達。何かのきっかけで友達とトラブルになり、同じく「死ぬ!」と叫んだ所を、友達から「死ぬ気もないくせに」などと言われ、パニックになり、ハサミで自分の手首を切りつけてしまったとのことでした。
当時の娘は、友達のことが好きなのに、わざと悪口をSNSのグループに書き込むなど、トラブルの素を自分でつくり、相手の気持ちを試すような行動が多く見られました。
トラブルを起こしても、落ち着いたあとは何事もなかったような様子になる娘。毎回トラブルを起こしては友達に謝らず、時間の経過とともに元に戻っている様子を見て私はため息がでました。

担任の先生には娘の特性は伝えていましたが、「学校では特性以前にダメなものはダメ、生徒同士のトラブルは生徒同士で解決する、保護者は傍観者」という体制を取っていただきました。これ以外にも娘は幾度となくトラブルを起こしましたが、このスタンスは親の心労も減り、とてもありがたく、そんな学校の対応のおかげで幾多のトラブルも乗り越えられたのではないかと思っています。
次ページ「トラブルを乗り越えて…21歳になった娘の想い」

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