自閉症息子の「独特な視点」をユニークだと思えたとき――「普通がいい」から「この子がいい」へ。母の価値観を変えてくれた息子の存在

ライター:立石美津子
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自閉スペクトラム症の息子が幼いころ、私は眉間に皺を寄せ、息子のやることなすこと、受け入れられませんでした。けれども今は「その発想、面白いかも」とまで余裕をもって思えるようになりました。

そんないくつかのお話です。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

自閉スペクトラム症の息子がテレビのニュースを見て「気になるポイント」

テレビから、JR山手線が止まっているというニュースが流れました。

私はそのニュースを見ながら、予定外のことが起こるとパニックになりやすい息子に「もし、電車が止まってもパニックにならないでね」と伝えました。

すると息子は、
「夕飯は何時になるのか?」
「お風呂は何時に入るのか?」
としつこく確認してきます。

電車が止まって閉じ込められること以上に、その後予定していたことがどうなるのかがとても気になるようです。

電車が止まってどうすればよいのか、どうやって帰ったらいいのかといったことが不安になるのではなく、キッチリカッキリ決めていた予定が狂うことを恐れているようです。

「心配するところはそこなのね。予定が崩れるのが不安なのね。」と思いました。

さらに…

電車が遅延する状況になったわけでもく、自分の身に起こったことでもないのに
「夕飯は7時20分」
「風呂は8時11分」
と予定を組み直そうとしています。
いつ電車が止まるかも予測できるものではなく、いつどのくらい止まるか分からないのにです。

私はそんな息子の様子を見て、「視点が違うのね。面白いね」と思いました。

自分に置き換えて言葉を変えられない

自分が泣いたときも、他人を指して言うように「泣いている」と自分を指さして言います。
「いってらっしゃい」「いってきます」のやり取りができないのと同じです。
私はファミリーサポートの仕事で2歳の子どもを預かっているのですが、あるとき、その子が転びました。息子は「自動的に転んだ」と私に言いました。

確かに息子から見たら、ひとりで転んだ様子を見て、自動的に転んだと映ったのでしょう。もしかしたら、自分が突き飛ばしたわけではないと言いたかったのかもしれません。

表札への違和感

3年前、私の父が亡くなった当日のことです。病院から実家に帰ってきたとき、表札を見た息子。その表札が私の父のフルネームであることに気づいて
「(亡くなっていて)いないのに表札外さないのか」と息子から言われました。

「みんなが悲しんでいるときに、そんなこと言わないで」と思いました。と同時に悲しみにくれながら息子の言葉を聞いて「そこか!これも息子らしいね。」とも思いました。
祖父の遺影をもつ自閉スペクトラム症の息子
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