13トリソミー(パトウ症候群)の症状、特徴は?出生前診断で分かる?原因や遺伝、治療法、21トリソミーや18トリソミーとの違いも解説【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン
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13トリソミー症候群(パトウ症候群)は13番目の染色体が本来2本のところ3本の状態で生まれてくる先天異常症候群で、染色体異常症の一つです。トリソミーとは何番目かの染色体が1本多い状態です。

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監修: 大橋博文
埼玉県立小児医療センター遺伝科 部長
先天異常症候群の診療において、遺伝学的精密診断と健康管理プログラムの運用ならびに種々の先天異常症候群の集団外来の開催を連携した包括的支援に取り組んでいる。

13トリソミー(パトウ症候群)とは――どのような特徴・症状がある?

13トリソミー症候群(本症候群を報告した人物の名にちなみ、パトウ症候群とも呼ばれる)は染色体異常症のひとつです。13トリソミーの赤ちゃんは体格が小さく生まれる傾向にあり、さまざまな症状や合併症をもって生まれてきます。5,000~12,000人に1人の割合で出生するといわれています。

トリソミー症候群(トリソミーと呼称されることも多い)とは染色体異常の一種であり、23対46本ある染色体のどれか1本が多く、47本になったものをいいます。またトリソミーはいくつかの種類があり、それぞれに異なる症状や合併症があらわれます。

13トリソミーの主な特徴や症状

13トリソミーの主な特徴、症状として

頭部…頭が小さく脳形成異常(脳の発達の遅れ)がある小頭症、皮膚の一部が限局的に欠損する頭皮欠損など

…形成異常(眼球が小さい)、虹彩コロボーマ(部分欠損)、網膜異形成など

顔面…口唇口蓋裂・高口蓋など

…耳介形態異常、難聴など

生殖器…そけいヘルニア、小陰茎、停留精巣など

手・指…単一手掌横線、手指の屈曲拘縮・重なり、軸後性多指趾症、踵の突出、幅の狭い凸型の爪など

身体および顔面などに、上記のような多くの特徴があらわれます。
13トリソミーに現れやすい単一手掌屈曲線(猿線)のイラスト
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13トリソミーのその他の合併症

・成長障害や重度の発達の遅れ、けいれん

・無呼吸発作や喉頭・気管軟化症などの呼吸器合併症

・心室中隔欠損症、心房中隔欠損症などの先天性心疾患

・胃食道逆流症、臍帯ヘルニア、腸回転異常などの消化器合併症

・水腎症や腎嚢胞などの腎疾患

などの合併症がある場合もあります。
参考:13トリソミー|MSDマニュアル
https://msdmnls.co/3CY89OU
小児慢性特定疾病情報センター
https://www.shouman.jp/disease/details/13_01_013/

13トリソミー(パトウ症候群)の原因とは

トリソミーとは何番目かの染色体が1本多い状態です。すなわち、13トリソミーは、13番目の染色体が本来2本のところ3本の状態で生まれてくる先天異常症候群で、遺伝子の量的不均衡が生じることにより症状があらわれるとされています。

考えられる原因、遺伝の可能性は?

親の細胞から精子や卵子の細胞がつくられるときに、46本の染色体が23本ずつに分かれます。その過程で、13番染色体が2本一緒に卵子もしくは精子に入ってしまう場合(染色体不分離)があり、このような卵子もしくは精子が受精すると、13トリソミーとなります。この1本多い染色体は、通常母親から受け継がれると考えられています。特に35歳以上の女性では、13トリソミーの子どもができるリスクが高くなることが分かっています。

13トリソミーの中には、13番染色体の一部だけがトリソミーになっている「部分トリソミー」や、トリソミーの細胞と正常な細胞が混在している「モザイク型」もあります。

18トリソミー(エドワーズ症候群)、21トリソミー(ダウン症候群)との違いは?

通常、常染色体のトリソミー(1本全体が増えてるいる場合)がある場合は胎内で亡くなることがほとんどといわれています。生まれてこれる可能性を持つほかのトリソミーの代表的な例としては、18、21トリソミーが挙げられます。13トミソリーとはどのような違いがあるのでしょうか。

18トリソミー(エドワーズ症候群)
エドワーズ症候群ともいわれ、18番染色体が3本存在するトリソミーという染色体異常です。3,500人~8,500人に1人の確率で生まれ、性別比は女児の方が多く、男:女=1:3であることが分かっています。寿命は一般的に数ヶ月とされますが、数年を超えて長期の生存者もいます。

21トリソミー(ダウン症候群)
ダウン症候群(ダウン症)ともいわれ、21番染色体が3本存在するトリソミーという染色体異常です。600〜800人に1人という確率で生まれます。平均寿命は約60年です。合併症などの治療によりこの20~30年で飛躍的に平均寿命が延びました。

18、21トリソミーともに、13トリソミーと同様さまざまな身体的症状や特徴、合併症などがあります。先天性心疾患や成長障害など重複する症状も多くみられますが、疾患ごとに症状の違いもあります。
参考:染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群の疾患一覧| 小児慢性特定疾病情報センター
https://bit.ly/3Wr8tfT
参考:MSDマニュアル家庭版|13トリソミー
https://msdmnls.co/3kf3KAt

13トリソミー(パトウ症候群)は出生前、出生後に調べられるの?タイミングは?

子どもが13トリソミーであるのか診断を確定するための検査は、出生前出生後共に可能です。どのタイミングで、どのような検査を受けることができるのか解説します。

出生前に検査を行う場合

妊娠中の超音波検査で胎児の発育不全が見られた、あるいはNIPT(母親の血液で行う新型出生前診断)の結果などで13トリソミーが疑われた場合、羊水穿刺もしくは絨毛採取を行い、より精密な検査を行います(両方行う場合もある)。

・羊水穿刺…細い穿刺針を用いて羊水を吸引し、検体(羊水中の胎児細胞)を採取。妊娠15週以降で実施可能な検査(羊水検査)。

・絨毛採取…絨毛は妊娠早期の胎盤の一部で、それを採取して行う検査(絨毛検査)。羊水検査に比べてより早く、妊娠11から14週で実施可能。

採取した検体で、「蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)」による迅速診断や「G分染法」と呼ばれる標準的(正式)な染色体検査で確定診断されます。

出生後に検査を行う場合

赤ちゃんの身体的外見や特徴から13トリソミー症候群が疑われた場合、血液を用いた染色体検査を行なって診断を確定させます。13トリソミーの診断確定後には病状や合併症の可能性を考慮し、心臓・腹部超音波検査、頭部超音波・MRI・CT検査、X線検査、眼科・耳鼻科(聴覚)評価など、必要な検査を行います。
KOMPAS慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/medical_info/presentation/201705.html
参考:出生前診断|MSD家庭版
https://msdmnls.co/3XBrNYI
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