不器用すぎる自閉症息子、中学入学で制服の壁!ボタンやベルトも「自分でやる」宣言やいかに

ライター:まゆん
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4歳のころに自閉スペクトラム症の診断を受けている太郎。小さいころから作業全般に時間を要す。そんな太郎も中学校の特別支援学級に進学し、制服を着るようになった。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

作業に時間がかかる太郎

自閉スペクトラム症のある太郎。小学校の運動会で、頭にハチマキを巻くことができずに友達に頼み、巻いてもらう様子。
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4歳のころに自閉スペクトラム症の診断を受けている太郎は、小さいころから作業全般に時間を要す。特に、指先で行う細かい作業に苦手さがある。

例えば小学校の体育祭。ハチマキを巻けずに友達にヘルプを出して結んでもらっていた。私はというと、その様子を見て、太郎がヘルプを出せることや手伝ってくれる友達の優しさに涙を流していた。
そのほかにも「エプロンのひもを上手く結べない」と言い、家で繰り返し練習していた。あえてひものある靴を選び、ひもを結ぶ練習をさせたりもした。

いまだに、ひもを結ぶのは時間がかかる。

中学校の制服問題

太郎は今年度から中学校の特別支援学級に進学した。それに伴い制服を着なければならなくなり、太郎にとって2つのつまずきが出てきた。

その1、スクールシャツのボタン。
学ランのボタンはわりと大きいためか、スムーズに間違いなくとめることができた。しかし、下に着るスクールシャツのボタンは時間がかかるし毎日のようにかけ違える。

それを見てばあばは、ニコニコ愛おしそうな顔をする。「太郎?かけ違えないように印をつけとこうか?」そう助けを出そうとするが、太郎は首を縦には振らない。

自分の力でなんとかしたいという思いがあるのだろうか。私たちは、毎日かけ違いがないか見守る毎日をいまだに続けている。
自閉スペクトラム症のある太郎は、中学校の制服のボタンをかけるのが苦手である。
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その2、今まで経験のなかったベルト。
ベルトについては、まずズボンに通すところから練習した。入学前の春休みに何回も練習した。通す技を習得したら、次はベルトをとめたり緩めたりすることを練習した。

そうして、中学校生活が始まった。帰宅すると太郎は、ズボンを脱ぐときにベルトをズボンから外す。

「ズボンに通したままにしておいたら、次に履くときに時間がかからないよ」と伝えたが、そこは太郎のこだわりらしい。ベルトはズボンから綺麗に外してハンガーへかける。
自閉スペクトラム症のある太郎。中学校から帰宅すると、必ずベルトを外す。
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そして余談になるが、よくスクールシャツと学ランの間に着る防寒着を学校へ忘れてくる。何度言っても忘れてくる。

中学校の制服一つで、太郎の特性やこだわりが見えてくる毎日だ。

あとがき

太郎の作業に対する時間のかけ方、かかり方は幼少期からあまり変わりません。時間はかかるけれど、本人はまずまず気ままな性格であるため苛立ちは見えずに、ゆっくりと時間をかけて自分でなんとかできています。

それにしても、シャツのボタンに対してここまでかけ違いが長く続くとは予想外でした。このように毎日予想内、予想外の連続で良い意味で刺激をもらっています。私のかたい頭がほぐされてるように思えます。

執筆/まゆん
(監修:鈴木先生)
作業時間に影響するのは主に処理能力です。同時処理に苦手さがあると、たとえば板書の写しに時間がかかります。継時処理に苦手さがあると、段取りが悪くなります。また、ワーキングメモリの働きが弱いと、作業が覚えにくいので時間がかかります。

今回書いていただいたボタンやベルトについては、ボタンの代わりにマジックテープにする、ベルトの代わりにゴムにする、などの工夫をすることもあります。また、発達性協調運動障害がある場合、リハビリの作業療法(OT)でやる感覚統合訓練が有効と一般的には言われています。

発達が気になる子どもの将来を考えると、就職する前にできるだけ早く特性を知ることが大切です。たとえば、ADHDがあればそれを治療することで集中力をつけて覚えやすくしたり、忘れ物を減らしたりしていくことが重要なのです。小児科の神経外来など早く専門の医療に介入することで自尊心を下げずに済むことが期待されるのです。

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