持病、服薬はないけど、自閉症息子と定期的に病院に通う理由。「かかりつけ医」を持つメリット【小児科医のコメントも】

ライター:べっこうあめアマミ
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みなさんのお子さんには、かかりつけの病院はありますか?
発達障害や知的障害があっても服薬の必要がなく、特に治療が必要な病気がない場合は、かかりつけの病院を持たないお子さんも多いのではないでしょうか。
しかし私の息子は、服薬がなく病気の治療もしていませんが、とある大きな病院の小児神経科に通っています。
息子が通院するきっかけは何だったのか?
かかりつけ医がいるとどんなメリットがあるのか?
知的障害を伴う自閉スペクトラム症の息子を育てる母親目線で思うことを、お伝えします。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。

「頭が大きい?」1歳半健診で指摘されて…

知的障害を伴う自閉症息子は、1歳半健診で水頭症を疑われた
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妊娠中から出産時まで、何の異常もなくこの世に生まれた息子は、1歳までは何の発達の遅れも不安もなく、すくすく成長していきました。「あれ?」と思ったのは1歳を過ぎたころ。1歳半健診のチェック項目のほとんどに〇がつかないという事態に陥りました。

そしてこのころから息子の発達の遅れが目立つようになっていき、私は大きな不安にかられるようになっていきました。

そして迎えた1歳半健診。身体面に異常はなく、分かりやすい困りごともないけれど、明らかな発達の遅れがある息子。そして、頭位(頭の大きさ)が大きいことが気になるという指摘を受けたのです。そこで初めて聞いたのが、「水頭症の可能性」でした。

水頭症は、脳脊髄液が頭の内側に過剰に溜まってしまう病気です。まだ頭蓋骨がやわらかく組み合わさっている状態の幼児期に水頭症があるお子さんは、内側からの圧力で頭蓋骨が押し広げられ、頭が大きくなるそうです。ただ、あくまで可能性というだけで、検査しなければ分からないとのことだったので、1歳児の脳のMRI検査ができる大きな病院に紹介状を書いてもらうことになりました。

発達の遅れの理由は、発達障害や知的障害だけではない

1歳でMRI検査を受けた自閉症息子。睡眠時間を少なめにして連れて行ったため、息子は不機嫌で何度も大泣きしたが、検査のときには眠ってくれた。
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大人ならすぐに済ませられるMRI検査ですが、ずっと動きを止めていられない1歳児が受けるとなるとそうはいきません。親子で日帰り入院し、息子が自然に眠っているときか、眠らなければ薬で眠らせて検査する、少し大がかりな検査になります。当日うまく寝てくれるように睡眠時間を少なめにして連れて行ったため、息子は不機嫌で何度も大泣きしました。

しかし幸い疲れて寝てしまい、無事に検査を受けることができました。
そして検査の結果は異常なし。
ここで、息子の発達の遅れの理由から、「水頭症」の可能性が消えました。

しかし、発達の遅れの理由として考えられるものは、それだけではありません。耳が聞こえていなくてコミュニケーションがとれない可能性もありますし、主治医はほかの病気の可能性も考えてくれていたようです。脳のMRIのほかに、聞こえの検査と、全身の代謝の検査などをしました。

しかしどの検査でも、息子に異常は見つかりませんでした。それでも目の前にいる息子には明らかな発達の遅れがある。そのため、息子の通院は、ここから「様子見」というような形で始まりました。

ショックだけれど納得もできた、障害の診断

さまざまな検査で、ほかの病気や聞こえの問題などあらゆる可能性を否定したことで、息子の発達の遅れの原因は「知的障害を伴う自閉症」と診断された。
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それから2年と少し経った4歳のとき、息子に知的障害を伴う自閉スペクトラム症の診断が出ました。

そのころには私もさすがに、「何もないということはないだろう」とは思っていましたが、いざ診断を告げられると大きなショックを受けました。何度も泣きましたし、すぐに障害を受容できたわけでもありません。

しかし、2年間という長い期間息子を診続けてくれた主治医による診断であること。そして、発達障害や知的障害以外のあらゆる可能性を潰した上での診断ということで、障害名に対しての納得感はありました。

もちろん、診断の直接的な材料となったのは発達検査です。しかし、最初から発達障害、知的障害という方向だけで発達の遅れを見る前に、それ以外の病気や聞こえの問題などがないか検査するのは大切なことだと思ったのです。

万が一、治療可能な病気などがあったとしたら、早期に手を打たなかったことを後悔したでしょう。ところが息子の場合、身体のどこにも異常はないから治療はできない。それが息子の障害、「知的障害を伴う自閉症」だということに、大きなショックの中でも納得はできました。

病院だけでなく、息子は2歳から療育にも通っていましたし、「診断までにやれることはやった感」が、後の私の心の整理には大事だったと思います。
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