パニック障害(パニック症)とは?突然の発作などの症状や原因、なりやすい人の特徴は?ストレスやめまいとの関係性など医師に聞きました!【医師監修】

ライター:マンガで分かる発達障害のキホン
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パニック障害(パニック症)は、突然の動悸やめまい、発汗などと共に自分ではコントロールできないほどの恐怖を感じる精神疾患です。この記事ではパニック障害の分類、初期症状や原因などをイラストと一緒に分かりやすく紹介します。体験談や小児科医へのQ&Aなども。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。

パニック障害(パニック症)とは?

パニック障害(パニック症)は突然の動悸やめまい、発汗と共に「死んでしまうのではないか」というような恐怖を感じる精神疾患です。また、発作を繰り返すにつれて、「また発作が起こるかもしれない」という不安と、「発作が起こる状況に対する恐怖」とを感じるようになります。

パニック発作を回避するために、今までは問題なく利用していたはずなのに、電車に乗ることができなくなるなど、ある行動ができなくなったり、特定の場所に行けなくなるといった症状も生じることがあります。パニック障害が進行すると、うつ病など、ほかの精神疾患を併存する可能性が高くなるとも考えられています。

また発達障害の併存症としてパニック障害を含む不安障害の症状があらわれる場合があります。
そのほかには自身に発達障害があることに気がつかず生きづらさ抱いたまま大人になり、気づかないうちに発達障害の二次障害としてパニック障害を併発することがあります。
パニック障害(パニック症)は、突然の動悸やめまい、発汗などと共に自分ではコントロールできないほどの恐怖を感じる精神疾患です
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パニック障害になった人の体験談

パニック障害を起こした場合、どのような影響があるのでしょうか。実際に発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられた体験談を紹介します。
小学六年生の男の子…パニック障害と一年前に診断され通院中です。

学校でパニック発作がおこった事により、学校は自分にとって不吉な事が起こり死を連想させる場所だと言い出し、かれこれ2年間、不登校が続いていますが、一時間だけ保健室、体育だけ出るなどは以前は出来てました。
今年から弟が一年生になり、本来なら六年生の兄と通学班で登校するはすが、不登校の兄とは学校に通えず学校に行っても居るはずの兄が居ない状況です。
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/98829
ADHD、パニック障害、鬱で治療中のアラフォーの女です。気分が落ちたまま鬱が酷くて何も出来ずにいます。
爪の間の皮を無理矢理剥がすのが止められません。幼い時にもありましたが、また今更になってやり始めてしまいました。
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/77446
このようにパニック障害は、パニック障害の症状そのものだけでなく、パニック障害をきっかけとした困難があります。

パニック障害の分類、初期症状とパニック発作・予期不安・広場恐怖について

パニック障害は不安障害の一つ

パニック障害は不安症群/不安障害群の一つです。アメリカ精神医学会による診断基準である『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)においてパニック障害は、不安症群/不安障害群(Anxiety Disorders)に含まれています。以下では不安症群/不安障害群(Anxiety Disorders)を「不安障害」と記します。

不安障害とは、生活に支障が出るほどの過剰な不安や恐怖を感じる疾患全般をさします。一般的には不安や恐怖をそこまで感じないことに対しても強い不安や恐怖を感じたり、頻繁にその不安症状が生じます。不安障害には分離性不安障害(分離性不安症)、場面緘黙(選択制緘黙)、限局性恐怖症、社交不安障害(社交不安症/社交恐怖)、パニック障害(パニック症)、広場恐怖症、全般性不安障害(全般性不安症)などがあります。

■パニック障害の特徴
パニック障害は、不安症群/不安障害群の中で理由もなく不意に起こるパニック発作を発端とする疾患をさします。パニック発作がまた起こるのではないかと不安になり、その不安から回避行動を取るということが1ヶ月以上、繰り返し起こっている状況がある場合に診断されます。
パニック発作そのものは、恐怖や緊張などなんらかの引き金があって起こりえますが、パニック障害の発作はきっかけがないのに起こるのが特徴です。繰り返し発作が起こり、検査をしても体の異常は見つからないことも多く、また昼夜問わず起こる可能性があります。

パニック障害の初期症状、パニック発作・予期不安・広場恐怖について

■パニック発作の主な症状をチェック
パニック発作とは繰り返される予期しない発作で、自覚されるきっかけが何もなく突然起こります。パニック障害の症状の中でも最も代表的なもので、これはパニック障害と診断される条件となっています。多くは強い不安や恐怖を感じます。特定の状況で生じることが多いですが、再発にはムラがあることもあります。パニック発作の主な症状として次のようなものがあります。

・動悸や心拍数の増加
・発汗
・身震いまたは震え
・息切れ感または息苦しさ
・窒息感
・胸痛または胸部の不快感
・吐き気、腹痛などのまたは腹部の不快感または下痢
・めまい、ふらつき、気が遠くなる感じ
・寒気またはほてり
・異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
・現実感喪失、外界との遊離感
・離人感(自分が自分でなくなるような感じ)、抑止力を失うことへの恐怖
・死に対する恐怖心
など

■予期不安で感じやすい主な感情をチェック
予期不安とはかつて発症した症状がもう一度起きたらどうしよう、などと次の発作への恐怖を抱くことをいいます。これは一度パニック障害を発症すると、その恐怖心や不安を忘れられないという性質と関係があります。予期不安は一般的に長期間続くことが多く、約1ヶ月続くことがほとんどです。病気の急性期には、パニック発作が起こったときの状況がフラッシュバックとなってよみがえることがありますが、治療が進み発作が起こらなくなると、自然に消えていくこともあります。
予期不安では、主に次のような感情があらわれます。

・病気になってしまうかもしれない
・気絶してしまうしまうかもしれない
・死んでしまうかもしれない
・運転中に起きたら、交通事故を起こしてしまうかもしれない
・誰も助けてくれないかもしれない
・発作が起きた場所から、すぐに逃げられないかもしれない
・取り乱したり錯乱して、恥をかいてしまうかもしれない
・人前で吐いたり倒れたりして、恥ずかしい姿を見せてしまうかもしれない
・他人に迷惑をかけてしまうかもしれない

■広場恐怖になりやすい場所や状況をチェック
広場恐怖とは、一般名詞の「広場」の意味に限った恐怖ではなく、ここでは「パニック障害における場所(例:電車などの公共交通機関、駐車場などの広い場所、映画館などの囲まれた場所、大人数が集まる場所、家の外に一人でいる状況など)に関係する恐怖」を意味する医学用語です。
以前発作を起こした場所、もしくは似ているところに行くと「また発作が起きるのではないか」という恐れを抱くことです。次の特徴を持つ場所が広場恐怖になりえると考えられています。

・発作が起きても、誰も助けに来れないところ
・逃げたくてもすぐ逃げられないところ
・発作が起きたら恥をかく、もしくは恥をかくと思われるところ など

また、広場恐怖が頻繁にあり、その状況を回避する行動が強い場合、併存疾患として「広場恐怖症」と診断されます。
パニック障害の初期症状、パニック発作・予期不安・広場恐怖について
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パニック障害の原因、(パニック障害に)なりやすい人の特徴は?

パニック障害の気質要因やパニック障害になりやすい人の特徴

否定的な感情や不安に対して敏感であることは、パニック障害を発症する要因の一つであると考えられています。それをもとに、パニック障害になりやすい人の特徴がいくつかあります。

・完璧主義・几帳面、こだわりが強い人
・不安や恐怖観念が強い
・責任感が強く、自分の気持ちをがまんしてしまう
・感受性が強い
・過度に緊張してしまう

など

これらの特徴があるからといってかならずしもパニック障害になるわけではありませんが、このような気質が一つの原因になっていることがあります。
パニック障害になりやすい人は
・完璧主義・几帳面、こだわりが強い人
・不安や恐怖観念が強い
・責任感が強く、自分の気持ちをがまんしてしまう
・感受性が強い
・過度に緊張してしまう
などの特徴があります
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家族が原因になることはある?環境要因の例とは?

2013年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)によると、小児期に性的および身体的虐待の経験があると、パニック障害の要因となり発症の可能性が高まると示唆しています。また、喫煙はパニック発作とパニック障害の危険要因です。

また、パニック障害がある人のほとんどが最初のパニック発作の前数ヶ月の間に特定できるストレスの要因(処方薬などでの不快な経験、家族の死などの対人関係によるショック、病気などの身体的健康に関するものなど)があったと報告しています。

パニック症は遺伝する?遺伝子要因・生理学的要因について

遺伝子に関連する機能に関してはまだ詳しく特定されていません。しかし、不安障害、抑うつ、双極性障害をもつ保護者の子どもは、パニック障害になる可能性が高いといわれています。またパニック障害では喘息のような症状があらわれることがありますが、呼吸器系の疾患については、既往歴、併存症、家族歴などをもとに鑑別されます。
次ページ「ストレスが引き金に?めまいとの関連性は?医師にパニック障害について聞いてみました。」

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