社会人4年目の発達障害娘と同級生の現実。「就職率ほぼ100%」の高等特別支援学校卒業後、定着率は…?

ライター:荒木まち子
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2018年に高等特別支援学校を卒業し特例子会社に就職した発達障害のある娘。卒業後も同級生たちとの交流は続いています。社会人となった彼らはどうしているのでしょうか?

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監修: 渡部伸
行政書士
親なきあと相談室主宰
社会保険労務士
慶應義塾大学法学部卒後、出版社勤務を経て、行政書士、社会保険労務士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。現在、渡部行政書士社労士事務所代表。自身も知的障害の子どもを持ち、知的障害の子どもをもつ親に向けて「親なきあと」相談室を主宰。著作、講演など幅広く活動中。

娘が通っていた『高等特別支援学校』

2015年、娘は高等特別支援学校に入学しました。

そこは卒業後、進学ではなく就労を目指す学校だったので、国語、数学、英語、理科、社会などの授業はありましたが、定期テストの内容は大学や専門学校の受験に向けたものではなく“社会に出たときに必要なこと”が出題されていました。

入学希望者対象の学校説明会でも「この学校が『就労を目指す学校』ということを、本人が理解していることがとても重要です」と説明がありました。たとえ学力が高くても、本人が就労を希望していなければ学生生活はつらいものになってしまうからです。実際、娘の同級生の中には入学してほどなく学校を辞めた生徒もいました。

逆に本人に“卒業後は就労したい”という確たる気持ちがあれば、多少苦手な教科があっても高等特別支援学校の入試にはそれほど影響はないように感じました。

入学後コースを選ぶ

娘の学校では、2年生になると生徒が
1.オフィス系
2.清掃系
3.食品生産系

の中から希望のコースを選びます。

そして2年生の間は自分の適性を知るための実習を受け、3年生になると企業での就労体験実習や就労試験実習を受けます。

娘はオフィスコースを選択したので、事務系の職場実習をいくつか受けました。

本人の適性や求人の兼ね合いもあり、オフィスコースを選んだ生徒の全員が事務系の職種に就いたわけではありませんが、卒業式までには全員の就職先が決まりました。
不登校も経験した娘、涙の卒業式…。辞めたがっていた高校の「学習発表会」で見た成長とはのタイトル画像

不登校も経験した娘、涙の卒業式…。辞めたがっていた高校の「学習発表会」で見た成長とは

卒業して4年後、クラスメイトはどうしているのか

卒業後、娘は同じコースの同級生たちと定期的に集まり、近況報告を兼ねた食事会をしていました。

食事会はコロナ禍でしばらく中止になっていましたが、感染状況が落ち着きはじめた2022年後半に再開されました。そのとき、同じ会社で働き続けていた同級生は1/3ほどになっていたそうです。
特別支援学校の卒業生の集まりから帰ってきた自閉症のある娘が「○○ちゃん会社辞めたんだって!」と母に伝える。母は「え!そうなの!?」と驚く。
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仕事を続けている人の中には契約社員から正社員になった人もいたそうです。一方で退職後、新たな職場を自ら探して再就職した人、退職して学び直しをした人、作業所に通っている人、家で過ごしている人などなど、皆それぞれの道を歩んでいるとのことでした。

ほかのコースの生徒さんのことは分からないので一概には言えませんが、それでも娘から話を聞いて、私は職場の定着率は決して高くはないと感じました。

娘の学校の卒業生の就職率はほぼ100%に近いです。でも就職率と継続率(定着率)は別物です。娘の通っていた学校の場合、卒業後に学校から支援を受けられるのが「3年間」となっていることも、この結果に影響しているのかもしれません。
次ページ「障害のある人が安心・安定して働いていくための課題」

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