通常学級でトラブル多発、小4で自閉症とADHDの診断。服薬とペアトレを開始して見られた変化とは【息子から校長先生への手紙/マンガ専門家体験】

ライター:専門家体験談
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専門家の先生がみてきた発達が気になる子どものエピソードをもとに、分かりやすくマンガ化してお届けするシリーズ企画。今回は、通常学級に通う小学4年生の子どものエピソードです。忘れ物が多い、指示どおりに行動するのが苦手、先生に暴言も…。困り果てた保護者へのアドバイスとは。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

自閉スペクトラム症(ASD)とADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けた小学4年生

発達障害の専門家が出会った発達が気になる子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。

今回は、通常学級に通う小学4年生の子どものエピソードです。忘れ物が多い、指示どおりに行動するのが苦手、先生に暴言も。自閉スペクトラム症(ASD)とADHD(注意欠如・多動症)の診断後、子どもへの投薬や保護者へのペアトレを始めると…。
通常学級に通う小学4年生の子ども。忘れ物が多く、指示どおりに行動するのが苦手、先生に暴言も…。早退することもありました
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小児科医の診察や、検査を受けて自閉スペクトラム症(ASD)とADHDの診断を受ける。服薬と、ペアレント・トレーニングを開始。少しずつ落ち着いてきたころ、学校にタブレットを持参したいという相談を受ける。
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小児科医のアドバイスを受け、担任の先生だけでなく、校長先生に手紙を書いて相談することに。数日後、使用許可が出た。学校では規則優先になりがちなので、市の教育委員会、県の教育委員会にも順を追って相談することが必要な場合もある。
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マンガ/taeko

解説:子どもの治療と同じように大切なペアレント・トレーニングーー小児科医

今回は、忘れ物が多い、指示どおりに行動するのが苦手、先生への暴言…などの困りがあり、診察や検査を行った結果、自閉スペクトラム症とADHDの診断をした小学4年生の子どものエピソードをもとにお届けしました。

診療のポイントは大きく2つです。

薬物治療
ADHDの主な症状である多動性・衝動性、不注意に対して、薬物治療を開始しました。

ペアトレ(ペアレント・トレーニング)
学校でも家庭でも叱られてばかりという状況が続くと、だんだんと子どもの自尊心が下がってしまいます。保護者が子どもの応援者となる関わりを目指したペアレント・トレーニングによって、「傾聴」と「承認」を学び、子どもに肯定的な声かけができる状態を目指しました。以前は、学校から早退してしまうと「なんで帰ってきたの?」とつい強い口調で声かけをしてしまった保護者の方も、「どうしたの?」と優しく尋ねることができるようになり、子どもも言いたいことを言えるようになりました。

なお、学校に対して要望がある場合、「担任の先生」「校長先生」「市の教育委員会」「県の教育委員会」という流れで、順を追って相談することをおすすめします。合理的配慮を受ける場合は、主治医の意見書を添えると良いでしょう。

(後日談)
タブレット持参にまつわるエピソードを学校の作文に書いてコンテストに応募してみてはどかと提案したところ、保護者の方も大きくうなずかれていました。子どものあきらめない気持ちを、教育の世界に伝えられたら新たな一歩になることでしょう。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

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