「床の色が変わると動けない」自閉症息子のこだわり行動に困った!療育の先生が出した「魔法のアイテム」とは?
ライター:べっこうあめアマミ
私の息子には、知的障害を伴う自閉スペクトラム症があります。
自閉スペクトラム症があるお子さんの中には、何らかの強いこだわりがある場合も多いでしょう。
息子も例にもれず、いくつかのこだわり行動が見られます。
今回はその一つである、「床の色」に対するこだわりについてのエピソードを書かせていただきます。
監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
「床の色が変わると歩けない」息子のこだわりが生んだ独自ルール
みなさんは、何らかの施設内を歩いているとき、床の色の切り替わりに注目することはあるでしょうか?おそらく、ほとんどの人はないと思います。しかし、息子はそういった床の色の切り替わりに敏感で、歩く場所の色が変わると急に足を止めて踏み出せなくなってしまうことがよくありました。子どものころ、遊びの延長的に、「同じ色の場所を踏んで歩く」というルールを自分に課して学校などから帰った経験がある人はいませんか?もしかしたら、それを極端に強固にしてしまったものが、息子の床へのこだわりなのかもしれません。
息子の床の色に対するこだわりは強く、「この床は踏みたくない」と思ったら全く動けなくなってしまいます。無理に動かそうとすると癇癪につながることもありますが、動けなくなった場所が人の迷惑になる場所だったり危険な場所だったりすると、非常に困ります。
息子のこだわりは一貫性があるものではなく、あるときはダメだった床があるときは大丈夫になっていたりと、その日のコンディションにも左右されるものでした。息子は言葉が話せないので、こだわる理由の真相を聞き出すことはできません。しかし、おそらく息子は体のほかの部分に比べて足裏の感覚が敏感で、たとえ靴や靴下を履いていたとしても、足裏と近いところにある床が気になってしまうのではないか?と思っています。
息子の床の色に対するこだわりは強く、「この床は踏みたくない」と思ったら全く動けなくなってしまいます。無理に動かそうとすると癇癪につながることもありますが、動けなくなった場所が人の迷惑になる場所だったり危険な場所だったりすると、非常に困ります。
息子のこだわりは一貫性があるものではなく、あるときはダメだった床があるときは大丈夫になっていたりと、その日のコンディションにも左右されるものでした。息子は言葉が話せないので、こだわる理由の真相を聞き出すことはできません。しかし、おそらく息子は体のほかの部分に比べて足裏の感覚が敏感で、たとえ靴や靴下を履いていたとしても、足裏と近いところにある床が気になってしまうのではないか?と思っています。
療育のお部屋が床の張り替え!「一歩」を踏み出せなくなった息子
息子が未就学児のころ、療育で通っていた発達支援施設で、一部の床の張り替えをしたことがありました。息子がいつも使っていた教室の床も張り替えられ、きれいな教室で過ごせてうれしいな…と思っていない人が一人。息子です。
いつもの教室の一部の床の色や素材が変わったことに、息子はすぐに違和感を感じたようでした。変わった場所に踏み入るのをためらい続け、どうにか療育は受けられたものの、療育中もソワソワして、その日はなんとなく落ち着かない様子だったようです。
そして、帰りの時間。息子の「できる限り床を踏みたくない」気持ちが限界を迎え、部屋の隅から一向に動かなくなりました。どんな声がけも通じず、迎えに来た私は困り果てました。
いつもの教室の一部の床の色や素材が変わったことに、息子はすぐに違和感を感じたようでした。変わった場所に踏み入るのをためらい続け、どうにか療育は受けられたものの、療育中もソワソワして、その日はなんとなく落ち着かない様子だったようです。
そして、帰りの時間。息子の「できる限り床を踏みたくない」気持ちが限界を迎え、部屋の隅から一向に動かなくなりました。どんな声がけも通じず、迎えに来た私は困り果てました。
歩く場所は作ってあげればいい、先生が出した魔法のアイテム
そんなとき、救世主が現れました。一人の先生が、息子の両足が乗るくらいの大きさの色のついた丸い紙を、何枚か持ってきてくれたのです。そして、その紙を息子の前に置き、ここに乗るようにと息子を促しました。
目の前に現れた、別の色の床(紙)。息子はそこで気持ちが切り替えられたのか、先生がおいた紙に興味を持ち、その上に乗りました。そして、先生がさらにもう一歩前に紙を置くと、息子は新たに置かれた紙の上に進みました。息子が新たな紙の上に乗ると、後ろには戻らないように、さりげなく先生が後ろの紙を取っていきます。その後は先生の華麗な誘導と紙さばきで、どんどん前に進んでいった息子。
床が気に入らなくて歩きたくないのなら、歩く場所として簡易的な「別の床」を作ってあげよう。この先生のアイデアのおかげで、無事息子は教室を出て、帰路につきました。
床が気に入らなくて歩きたくないのなら、歩く場所として簡易的な「別の床」を作ってあげよう。この先生のアイデアのおかげで、無事息子は教室を出て、帰路につきました。