年長からでは遅い?放課後等デイサービス探しの厳しい現実!自閉症息子の放課後の居場所は家族の死活問題

ライター:べっこうあめアマミ
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5月。多くの地域で就学相談が始まり、就学に向けて忙しく動き出しているご家庭は多いのではないでしょうか。しかし、学校だけでなく放課後の過ごし方は考えていますか?私の息子には重度知的障害を伴う自閉スペクトラム症があり、放課後の時間を1人で過ごすことはできません。そのため、週5日放課後等デイサービス(以下、放課後等デイ)に通っています。しかし、希望の放課後等デイの施設に希望の日数通うことは、思った以上に大変なことでした。今回は、わが家にとってなくてはならない、放課後等デイ探しの実情についてお話します。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。

年中のときに行った放課後等デイの説明会、唖然とした「新年度募集人数」

放課後等デイサービスの合同説明会で配られた資料を見て、どこの施設も新年度募集人数が「若干名」「1、2名」、あるいは「無し」という現実を知り、唖然とする母と、ざわつく説明会会場。
放課後等デイの説明会で、新年度の募集人数の少なさに唖然とする
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息子が年中のとき、通っていた発達支援施設の主催で、地域の放課後等デイを行っている施設の合同説明会がありました。当時の私は「就学先もまだ決まっていないし、まだ年中なのに少し早いかな」と思いましたが、一応情報収集しておこう、くらいの軽い気持ちで参加しました。しかし、そんな軽い気持ちで参加したのも束の間、配られた各施設の紹介と、新年度の募集人数などが記載された冊子を見て、気持ちがガラリと変わったのです。

比較的施設の数が多い地域だったので、「これだけあるならどこかには入れそう」と思っていました。しかし、冊子を見てみると、どの施設も募集人数が「若干名」「1、2名」「なし」という施設もいくつも見られました。
そして会場を見渡すと、広いホールにザッと見て100人以上はいそうな保護者の数。周囲から
「これだけの人たちが放課後等デイに入れたいと思っているのに、こんなに募集が少ないの・・・?」
「みんなが入るって無理じゃない?」
「とにかくひたすら申し込み続けるしかない?」

といった声が聞こえ、明らかにざわついていました。そして私も全く同じ感想を持ち、あまりの放課後等デイの施設探しの激戦ぶりに、唖然としたことをよく覚えています。

もちろん地域差は大きいと思います。しかし、SNSなどでさまざまな地域に住む人の投稿を見ても、そういった厳しい現実に直面している地域が多いのだと知りました。

放課後等デイに空きが出づらい理由、児童発達支援より激戦なのでは?

放課後等デイサービスは、発達に課題があったり障害のある子どもが就学後に通うことができる通所施設。小学生から高校生までの6歳から18歳まで、最大で18年間通うことができる。
放課後等デイに在籍できる年数は、最大で12年!
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では、どうしてそんなに激戦になってしまうのでしょう?放課後等デイは、発達に課題があったり障害があったりする子どもの就学後の通所施設です(※)。施設によって規定はさまざまですが、基本的には小学生から高校生まで、6歳から18歳までのお子さんが通うことができます。

とはいえ、障害の程度が比較的軽度なお子さんや、診断がつかないグレーくらいのお子さんであれば、本人の成長と共に放課後の時間を1人で過ごせるようになるでしょう。もしくは習いごとや塾などに通うようになり、自然と放課後等デイを辞めて、小学生のうちに療育から卒業していくお子さんも多いと思います。

しかし、障害の程度が重度のお子さんだと、なかなかそうはいきません。私の息子もそうですが、1人で楽しみを見つけて遊ぶことが難しく、常に大人の見守りも必要です。そういうお子さんが多い施設だと、9年、もしくは12年、お子さんが辞めることなく通い続けることになります。

児童発達支援もなかなか空きが出ませんが、児童発達支援であれば、長くて5年か、多くの場合3年くらいしか通わないお子さんが多いのではないでしょうか。そう考えると、放課後等デイは在籍する年数が長くなりやすく、さらに児童発達支援から持ち上がりでそのまま通うお子さんがいる場合もあるため、より空きが出づらいのではないかと思います。

(※)児童発達支援や放課後等デイサービスなどの「障害児通所支援」の利用には、「通所受給者証」が必要となります。受給者証の取得申請については、お住まいの自治体の福祉担当窓口などにご相談ください。

就学先選びと並行して放課後等デイ選び、できることから早めに動く

どこの放課後等デイサービスも募集枠が少ない中、最終的に「お母さん、早くから来てくれていたので」と優先的に声をかけていただけた
早めに動いていたことが幸いし、募集枠の少ない中でも放課後等デイに入ることができた
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話は戻りますが、放課後等デイ探しの厳しい現実を知った私は、説明会の後すぐに動き出しました。息子は重度の知的障害があり、何か習い事に通うことは難しく、学童などを利用するのも難しいだろうと思いました。そして私は在宅ですが、仕事もしています。場合によっては打ち合わせや、外に出かけることもありました。どうしても、学校から帰ったあとに息子が行く場所がどこもないという状況は厳しいと感じたのです。

しかし、実際に年中から動き始めても、多くの施設から「見学に来るのはいいけれど、就学先が決まってからでないと待機の順番待ちには入れない」と言われました。それでも、折れずに何ヶ所も問い合わせをしていると、中には見学のあと、気に入ったら待機の順番待ちに入れてくれる施設もありました。このようにいろいろな方針の施設があるので、見学だけでも、さらに踏み込んで申し込みもできるのならそこまでもしていきながら、放課後等デイ探しをしていきました。

放課後等デイとひとことでいっても、さまざまなスタイルの施設があります。預かりメインだったり、療育に力を入れていたり、在籍する子どもの障害の程度にも、施設によってある程度の傾向がありました。そのため、早くから見学しておいたことで、息子にとってどこの施設が一番良いか、比較検討できてよかったです。

さらに、結果として息子は就学後、小学1年生から週5日という高頻度で放課後等デイに通えることになったのですが、早くから動いたことが幸いしたと思っています。どこの施設も募集枠が少ない中、最終的に「お母さん、早くから来てくれていたので」と優先的に声をかけていただけたからです。「早すぎる」と言われることもありますが、私としては、できることから早めに動いていくことが、放課後等デイ探しにおいては有利ではないかと思っています。
次ページ「放課後等デイは放課後だけではない、長期休みこそ助けられている事実」

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