「ぼくには障害があるの?」特別支援学級に通う小5息子突然の問い。悩み続けた障害告知、息子の反応は?
ライター:星河ばよ
子どもへの障害告知について、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
私も早めに伝えた方がいいのではと思いつつ、なかなか言えなくて何年も何年も経ってしまいました。
とうとう長男が小学5年生になったとき、たまたま話の流れで伝えることができましたが、それがなければいまだに言えていなかったかもと思います。
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
「うちの子にはまだ分からないかも」と先延ばし
療育センターでの発達検査により、「発達障害の傾向がある」と医師から診断されたのは長男が3歳のとき。
このころはまず自分が受け止めきれていなくて、毎日泣いてばかりでした。
長男が5歳後半になってようやく私の気持ちに一区切りつき、「本人にも伝えた方がいいよね」と思うようになりました。
理由は、あとになって言うより早いうちに言った方がショックが少なくてすむかもと思ったから。
もっと言うと、成長してから伝えたときに「なぜもっと早く言ってくれなかったの」と責められるかもしれないと思ったからです(私ならきっと親を責めてしまう)。
このころはまず自分が受け止めきれていなくて、毎日泣いてばかりでした。
長男が5歳後半になってようやく私の気持ちに一区切りつき、「本人にも伝えた方がいいよね」と思うようになりました。
理由は、あとになって言うより早いうちに言った方がショックが少なくてすむかもと思ったから。
もっと言うと、成長してから伝えたときに「なぜもっと早く言ってくれなかったの」と責められるかもしれないと思ったからです(私ならきっと親を責めてしまう)。
「よし、長男が年長さんになるまでに言うぞ!」
ところがいざ伝えようとすると、発達障害について5歳の長男が理解できるように伝えるには、どんな言葉で説明すればいいのか分からず、口がモゴモゴしてしまいました。
「よし、小学生になるまでに言うぞ!」
小学生になったらなったで、
「まだ長男には理解できないかもしれないなぁ…」
などと、どんどん先延ばしにして、気づけば長男は5年生になっていました。
私はもともと先延ばし癖があるのですが、本当にわれながら何をやっているんだろうと思いました。
ところがあきらめかけたそのころ、”そのとき”が訪れたのです。
ところがいざ伝えようとすると、発達障害について5歳の長男が理解できるように伝えるには、どんな言葉で説明すればいいのか分からず、口がモゴモゴしてしまいました。
「よし、小学生になるまでに言うぞ!」
小学生になったらなったで、
「まだ長男には理解できないかもしれないなぁ…」
などと、どんどん先延ばしにして、気づけば長男は5年生になっていました。
私はもともと先延ばし癖があるのですが、本当にわれながら何をやっているんだろうと思いました。
ところがあきらめかけたそのころ、”そのとき”が訪れたのです。
ぼく、障害があるの?
長男は3年生ごろから登校渋りを始め、学年が上がるごとに徐々に欠席する日も増えていきました。多いときは毎週のように休んでいた月も。
長男が5年生になった7月のある日、学校を休んだ長男を誘って、気晴らしに2人でドライブに出かけました。
「どこ行くの?ママー♪」すっかりご機嫌な長男を乗せ、車を走らせました(長男は登校前はショボンとして元気がないが、欠席することが確定したとたんご機嫌になる)。
「ところで最近学校を休みがちだけど、何か心配事でもあるの?」と私が尋ねると、長男はスンと押し黙ってしまいました。
「人間関係…お友達関係のことで悩んでたりする?」学校に行きたがらないのは人間関係のせいでは?とすぐに思ってしまう私です。と言うか自分がそうです(以前、人間関係が理由でパート先を変えました)。
私はもう一歩踏み込んで聞いてみました。「前から気になっていたんだけど、特別支援学級と通常学級の行き来について、クラスのお友達から何か言われたりする?」
※長男の小学校では、おもに国語と算数を特別支援学級で受け、それ以外の科目を通常学級で受けるスタイルです。
すると長男はキョトンとした顔で「え? 何も言われないよ」と返してきました。長男のその様子から、本当に言われていないんだと思いました。私はお友達のみんなに感謝したい気持ちでした。
ところが長男は何かを察したようです。「ママ、もしかしてぼく…障害があるの?」
長男が5年生になった7月のある日、学校を休んだ長男を誘って、気晴らしに2人でドライブに出かけました。
「どこ行くの?ママー♪」すっかりご機嫌な長男を乗せ、車を走らせました(長男は登校前はショボンとして元気がないが、欠席することが確定したとたんご機嫌になる)。
「ところで最近学校を休みがちだけど、何か心配事でもあるの?」と私が尋ねると、長男はスンと押し黙ってしまいました。
「人間関係…お友達関係のことで悩んでたりする?」学校に行きたがらないのは人間関係のせいでは?とすぐに思ってしまう私です。と言うか自分がそうです(以前、人間関係が理由でパート先を変えました)。
私はもう一歩踏み込んで聞いてみました。「前から気になっていたんだけど、特別支援学級と通常学級の行き来について、クラスのお友達から何か言われたりする?」
※長男の小学校では、おもに国語と算数を特別支援学級で受け、それ以外の科目を通常学級で受けるスタイルです。
すると長男はキョトンとした顔で「え? 何も言われないよ」と返してきました。長男のその様子から、本当に言われていないんだと思いました。私はお友達のみんなに感謝したい気持ちでした。
ところが長男は何かを察したようです。「ママ、もしかしてぼく…障害があるの?」
新たな発見
長男にこう尋ねられたとき、私は胸がズキンとしました。
同時に、何て答えればいいのか、なるべく長男を傷つけずに、真実を告げるにはどうしたらいいのか、頭をフル回転させたのですが、次の瞬間出てきた言葉はたった一言「うん」でした。
私は長男が自分に障害があるとわかってショックを受けてしまうのではと思いましたが、笑顔で「そっかぁー」とだけ言っていました。
その様子に私が驚きながら、「なんで驚かないの?」と聞くと、
「特別支援学級には障害のある子が何人かいるんだ。それでなんでぼくはここにいるんだろうと思ってた。ぼくにも障害があるんだね」
とスッキリした笑顔で返してきました。
私は今までずっと言えなかったことを謝りました。それから発達障害のことをできる限り分かりやすく説明しました。
長男は「教えてくれてありがとう」とニッコリ笑顔で言いました。
少し驚いた様子ではあったけれど、悲観する様子はまったくなく、新たな発見をした、と言う感じでした。
私は正直、すごいなと思いました。
同時に、何て答えればいいのか、なるべく長男を傷つけずに、真実を告げるにはどうしたらいいのか、頭をフル回転させたのですが、次の瞬間出てきた言葉はたった一言「うん」でした。
私は長男が自分に障害があるとわかってショックを受けてしまうのではと思いましたが、笑顔で「そっかぁー」とだけ言っていました。
その様子に私が驚きながら、「なんで驚かないの?」と聞くと、
「特別支援学級には障害のある子が何人かいるんだ。それでなんでぼくはここにいるんだろうと思ってた。ぼくにも障害があるんだね」
とスッキリした笑顔で返してきました。
私は今までずっと言えなかったことを謝りました。それから発達障害のことをできる限り分かりやすく説明しました。
長男は「教えてくれてありがとう」とニッコリ笑顔で言いました。
少し驚いた様子ではあったけれど、悲観する様子はまったくなく、新たな発見をした、と言う感じでした。
私は正直、すごいなと思いました。
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