ADHD息子がいじめ加害者に!?先生と保護者の言動に追い詰められたわが子は…【読者体験談】
ライター:ユーザー体験談
【発達ナビでは読者からのエピソードを募集中!今回は「不登校・行き渋り」についてのエピソードをご紹介します。】
わが家には男女の双子がおり、息子は9歳のときにADHDと自閉スペクトラム症のグレーゾーンと診断されました。娘は自閉スペクトラム症・ADHDともにグレーゾーンです。息子があるクラスメイトをいじめていると言われたことがきっかけで、学校への行き渋りが出るようになってしまいました。
監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。
多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。
クラスメイトとのトラブルで加害者扱い、追い詰められていった息子
わが家には男女の双子がおり、息子は9歳のときにADHDと自閉スペクトラム症のグレーゾーンと診断されました。娘は自閉スペクトラム症・ADHDともにグレーゾーンです。二人は同じクラスではなく、別のクラスです。
息子は明るい性格で、自然と周りに人が集まってくる人気者タイプですが、多動と不注意の特性が強く、言葉で説明するのが苦手なところも。そんな性格もあってか、息子があるクラスメイトをいじめていると言われたことがきっかけで、学校への行き渋りが出るようになってしまいました。
息子が小4になった1学期から、ある特定のクラスメイト・Aくんとトラブルになりました。
Aくんは、ほんの少しぶつかっただけで「痛い!骨が折れた!」と言い、それに反論すると「あー、イジメだー、強い言葉で言われたー。先生!息子くんに叩かれた!イジメられた!」と大げさに報告されてしまいます。ほかにも息子の私物が勝手に使われてしまうこともあり、息子も困っていたようです。
息子は明るい性格で、自然と周りに人が集まってくる人気者タイプですが、多動と不注意の特性が強く、言葉で説明するのが苦手なところも。そんな性格もあってか、息子があるクラスメイトをいじめていると言われたことがきっかけで、学校への行き渋りが出るようになってしまいました。
息子が小4になった1学期から、ある特定のクラスメイト・Aくんとトラブルになりました。
Aくんは、ほんの少しぶつかっただけで「痛い!骨が折れた!」と言い、それに反論すると「あー、イジメだー、強い言葉で言われたー。先生!息子くんに叩かれた!イジメられた!」と大げさに報告されてしまいます。ほかにも息子の私物が勝手に使われてしまうこともあり、息子も困っていたようです。
Aくんは、誰に対しても息子にしたのと同じように「イジメられた」と担任の先生にだけでなく、家庭でも話していたようです。Aくんのお母さまは「Aはいじめられている!」と学校へクレーム…。通っていた小学校では、遅刻するときは保護者が教室まで付き添わなくてはいけないというルールがありました。Aくんは遅刻しがちだったため、お母さまが教室まで付き添って一緒に登校することが多く、そうしたときにも先生へ詰め寄っていたそうです。
Aくんから「イジメた」と名指しされた子どもは、授業中先生から廊下や別室呼び出されて、説教をされるという状態がほぼ毎日続きました。いろいろなクラスメートが呼び出されていましたが、回数は息子が一番多かったと聞いています。
担任の先生は、Aくんとお母さまの言葉だけを聞いて、息子を責めました。
「Aくんが〇〇と言ってるよ。息子くん、なんでそんなこと言ったの?」
息子が言っていないことでも、息子の言い分は聞いてもらえず、叱られることが続きました。
息子は説明がうまくできず、悔しく、歯がゆい思いをしたようで、基本的には明るく振る舞っていましたが、ふとしたときに弱音をはくようになってきました。
1学期の個人面談では、
「被害者がいじめられていると言えば、息子くんは加害者になるんです」
「加害者(息子のこと)の意見は聞き入れられません。そう法律で決まっています」
とも言われ、私はAくんとAくんのお母さま、そして担任の先生にも不信感を募らせていきました。
Aくんから「イジメた」と名指しされた子どもは、授業中先生から廊下や別室呼び出されて、説教をされるという状態がほぼ毎日続きました。いろいろなクラスメートが呼び出されていましたが、回数は息子が一番多かったと聞いています。
担任の先生は、Aくんとお母さまの言葉だけを聞いて、息子を責めました。
「Aくんが〇〇と言ってるよ。息子くん、なんでそんなこと言ったの?」
息子が言っていないことでも、息子の言い分は聞いてもらえず、叱られることが続きました。
息子は説明がうまくできず、悔しく、歯がゆい思いをしたようで、基本的には明るく振る舞っていましたが、ふとしたときに弱音をはくようになってきました。
1学期の個人面談では、
「被害者がいじめられていると言えば、息子くんは加害者になるんです」
「加害者(息子のこと)の意見は聞き入れられません。そう法律で決まっています」
とも言われ、私はAくんとAくんのお母さま、そして担任の先生にも不信感を募らせていきました。
「なぜ僕は学校に行かなきゃいけないの?」登校渋りが始まり、私は教育委員会へ
2学期になると、周りがAくんに対して距離を取るようになりました。呼び出される子は限られ、あいかわらず息子が一番多く呼び出されるようになったそうです。そしてついに息子は「学校に行きたくない」と言うようになりました。
「学校へ行っても、授業中に先生に呼び出されて授業も受けられない。やってもいないことで怒られるし、こっちの言い分は無視される…。何故僕はこんなつらい思いをしてまで学校に行かなきゃいけないの?」
「学校へ行っても、授業中に先生に呼び出されて授業も受けられない。やってもいないことで怒られるし、こっちの言い分は無視される…。何故僕はこんなつらい思いをしてまで学校に行かなきゃいけないの?」
息子のつらい気持ちもわかるので、一日だけという約束で学校を休ませました。別のクラスの娘もAくんのトラブルは知っていたので「休みたくなるのも仕方ないよね」と同情してくれました。
しかし、いざ休んだ息子は、一日中動画やゲーム三昧。私としては、勉強さえすれば学校に行かなくても…と考えていたのですが、自宅学習を全くやらないという状況にも困ります。でも明るい息子が「学校へ行きたくない」とまで追い詰められているのですから、休ませたほうがいいのかもしれないと迷いました。
ただ私は連日休むことは許可しなかったので、翌日息子はなんとか登校してくれました。
私は担任の先生に、AくんやAくんのお母さまだけでなく、息子や子どもたち当事者にも話を聞いてほしいとお願いしていました。しかし状況は改善どころか悪化する一方だったので、ついに教育委員会へ相談、そこから副校長先生へと話がつながりました。
驚くことに副校長先生はこの件を知らず、担任の先生から、クラスがこのような状況にあることを報告していなかったことが明らかになりました。秋、副校長から謝罪があり、その後はAくんの件でなにかあれば、副校長が同席してくれるようになりました。お母さまから週3~5日くる電話も副校長が対応し、そのときAくんの言い分だけではなく客観的に見た状況についても伝えたそうですが、受け入れてはもらえなかったという報告を受けました。
一方、別のクラスの娘は、校内や校外でAくんのお母さまから「Aを守ってね、味方になってね」、「あなたのお兄さんから無視されたのよ」など直接言われることがありました。妹は「違うクラスだから知らないです!」とかわしていましたが、娘にそのような言葉をかけてくるお母さまの行動に、不安になりました。
しかし、いざ休んだ息子は、一日中動画やゲーム三昧。私としては、勉強さえすれば学校に行かなくても…と考えていたのですが、自宅学習を全くやらないという状況にも困ります。でも明るい息子が「学校へ行きたくない」とまで追い詰められているのですから、休ませたほうがいいのかもしれないと迷いました。
ただ私は連日休むことは許可しなかったので、翌日息子はなんとか登校してくれました。
私は担任の先生に、AくんやAくんのお母さまだけでなく、息子や子どもたち当事者にも話を聞いてほしいとお願いしていました。しかし状況は改善どころか悪化する一方だったので、ついに教育委員会へ相談、そこから副校長先生へと話がつながりました。
驚くことに副校長先生はこの件を知らず、担任の先生から、クラスがこのような状況にあることを報告していなかったことが明らかになりました。秋、副校長から謝罪があり、その後はAくんの件でなにかあれば、副校長が同席してくれるようになりました。お母さまから週3~5日くる電話も副校長が対応し、そのときAくんの言い分だけではなく客観的に見た状況についても伝えたそうですが、受け入れてはもらえなかったという報告を受けました。
一方、別のクラスの娘は、校内や校外でAくんのお母さまから「Aを守ってね、味方になってね」、「あなたのお兄さんから無視されたのよ」など直接言われることがありました。妹は「違うクラスだから知らないです!」とかわしていましたが、娘にそのような言葉をかけてくるお母さまの行動に、不安になりました。
息子の帰りが遅い…。まさかの待ち伏せで息子の心に傷が…
3学期のことです。夕方用事があったため、息子と娘には寄り道せず帰るように伝えていました。しかし先に帰ってきたのは娘一人。息子は?と聞くと、「途中で抜かして来た」と言います。それならばすぐ帰ってくるだろうと待っていたのですが、なかなか帰ってきません。20分ほどしてやっと帰ってきたと思ったら、息子の表情は真っ青!そしておびえながら今あったことを教えてくれました。
娘に抜かされた後、友達と少し遊んで帰路についた息子。もうすぐ家に着くという場所で、Aくんのお母さまが家の近くで立っているのに気がつきました。すっと通り過ぎようとしたところ、お母さまに制止され、「Aをいじめてるでしょ?いじめないで!」と詰め寄られたのだそうです。びっくりした息子が防犯ブザーを鳴らそうとすると、それも制止されてしまい、何度も何度も同じ言葉をかけられたそうです。やっと手を離してくれた瞬間、息子は走って逃げ帰りました。
娘に抜かされた後、友達と少し遊んで帰路についた息子。もうすぐ家に着くという場所で、Aくんのお母さまが家の近くで立っているのに気がつきました。すっと通り過ぎようとしたところ、お母さまに制止され、「Aをいじめてるでしょ?いじめないで!」と詰め寄られたのだそうです。びっくりした息子が防犯ブザーを鳴らそうとすると、それも制止されてしまい、何度も何度も同じ言葉をかけられたそうです。やっと手を離してくれた瞬間、息子は走って逃げ帰りました。
息子はこの一件のあと、よくうなされて夜中に起きることが増えました。本当に怖かったのだと思います。
それからは、私が迎えに行くことを条件に登校はしてくれましたが、Aくんのお母さまはよく学校内にいて、息子だけでなくいろいろな子に「いじめないで!」「Aを守ってあげて!」と声をかける姿があったそうで、それを見かけるたびにわが子たちは不安な気持ちになったといいます。
それからは、私が迎えに行くことを条件に登校はしてくれましたが、Aくんのお母さまはよく学校内にいて、息子だけでなくいろいろな子に「いじめないで!」「Aを守ってあげて!」と声をかける姿があったそうで、それを見かけるたびにわが子たちは不安な気持ちになったといいます。