クラス替えで別のクラスに。大人をもう一度信頼してもらうために

5年生になると学校の配慮でAくんとは別のクラスになりました。Aくんとの接点がなくなり、息子もどうにか登校しています。

新しい担任の先生は、友人間でトラブルがあっても双方の意見を聞いてくれ、どちらかを一方的に悪者にすることはしません。ですが、息子の傷は深く、「先生」という存在への不信感を持ったままで、ほんのちょっとした注意を受けただけでも、「やっぱり僕の言うことは誰も聞いてくれない。僕だけが悪者」と悲観的にとらえ心を閉ざしてしまいます。そういうときは、私も担任の先生から話を聞いて、息子が納得できるまで話をしています。
先生や大人の中にもたくさんの味方がいるということを信じてもらいたいと思います
先生や大人の中にもたくさんの味方がいるということを信じてもらいたいと思います
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今後もできる限りフォローをしていき、先生や大人の中にもたくさんの味方がいるということを信じてもらいたいと思います。
息子には人の痛みがわかる優しさと、自分と自分が大切に思う人、自分を大切に思ってくれる人を守れる強さを持って、一歩ずつ成長していって欲しいと思います。
イラスト/星河ばよ
エピソード参考/みゆねこ

(監修:新美先生)
学校での子ども同士のトラブルについては、どちらにも自分視点の言い分があり、客観的なジャッジというものがしにくいことがあります。学校の対応として大切にしていかないといけないことは、どちらも守られるべき子どもであるという視点であり、どちらか一方を悪者にして厳しく指導して解決することはありえないということです。トラブル時はどちらの子どもも守られるべきです。このためには、トラブルが繰り返される場合は、担任の先生ひとりで抱え込まず、複数の先生に関わってもらい、子ども双方をそれぞれに守って育める体制を作ってもらう必要があります。

筆者さんが書いていただいたように、担任だけでなく、学校の校長・副校長・教頭先生などの管理職にも早めに相談し、学校全体で対応してもらうのがよいと思います。

保護者としては、自分の子どもの言い分をまずはしっかり聞きましょう。聞き取りは、強く聞いたり誘導したりすると本音が言えなくなってしまうことも多いです。「何があったの?」「どう思ったの?」と聞いても答えにくい場合、選択肢をあげたり、図に書いて整理したりということで、答えやすくなることもあります。聞き取りした内容は学校に伝えてまずは学校に対応をゆだねましょう。直接相手のお子さんや保護者とやり取りすると、かえってトラブルが大きくなることも少なくありません。

状況によっては、こちらは悪くないのに理不尽だと感じたとしても子どもを守ることを優先して、一時的に避難することも必要になるかもしれません。嫌な記憶の塗り替えがしづらいお子さんもいるので、早めの対処が肝要です。一時的につらい目に遭ったとしても、適切に守ってもらえたと実感できれば、心の傷も徐々には癒されて、人への信頼もとりもどしていけると思います。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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