スーパー不器用BOY!?就学前に名前も書けない!定規を使えばノートは破れ…自閉症息子、小学校生活はどうなる?

ライター:星あかり
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スバルは1歳半健診時に言葉の遅れを指摘され、それ以来何度か受けた診察や発達検査で「言葉が遅いだけ。様子を見ましょう」と言われました。私自身もスバルとの生活の中で言葉が遅い以外に困り事を感じていませんでした。3歳で言葉が溢れるも、その後受けた診察で自閉スペクトラム症と診断されました。
幼稚園での生活が始まると、言葉の問題だけではなく集団の中での困り事や、とても年相応とは言えない不器用さが目立つようになりました。

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

自閉スペクトラム症の息子、日常生活の中の不器用とは

スバルは幼稚園での生活の中で、明らかに飛び抜けて不器用でした。
特に道具を使うことが苦手で、筆、はさみ、縄跳び、楽器はもちろん、日常生活の中でも服のボタンやファスナー、お弁当包みなど、あらゆることにサポートが必要でした。

この頃インターネットで「発達性協調運動障害(発達性協調運動症/DCD)」という言葉を知り、本を探して読みました。ダンスや縄跳びなどの協調的運動、ボール投げなどの全身運動、ボタンやファスナーなどの微細運動がとても苦手……。読めば読むほどスバルのことが書いてあるようで一人で納得しました。

実際に「発達性協調運動障害」と診断されるのはもう少しあとになりますが、私はこの時からスバルには「発達性協調運動障害」があると思って接し、幼稚園にも配慮をお願いしていました。

微細運動ではボタン、ファスナー、お弁当包みなどの身の回りのことは小学校入学までにどうにかマスターしましたが、道具の上達は非常にゆっくりです。
全身運動ではブランコなどの遊具で遊ぶ姿はそれなりにサマになっていましたが、ダンスや体操は先生の個別指導がつくほど苦手でした。ちなみに両足ジャンプは4歳、片足立ちは7歳、ケンケンは8歳でマスターしたので年齢と比べてかなりゆっくり成長しているように感じています。
※編集部注:発達性協調運動障害は現在、「発達性協調運動症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「発達性協調運動障害」といわれることも多くあります。この記事では、一般的にも使われることが多い「発達性協調運動障害」の名称も合わせて使っています。
参考:発達障害(はったつしょうがい)| e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-049.html

もう一つの困り事

年長になり「小学校」が目前に迫ってくる頃、もう一つ気になることがありました。
それはひらがなが書けないことです。このくらいの年齢だと書けない子もたくさんいるのですが、「い」「こ」「つ」くらいの簡単な文字なら見本を見ながら書けると思います。でも、スバルにはそれができませんでした。

ひらがなに興味がないわけではなく、むしろ文字が好きで1歳半からひらがなを読み始め、2歳の誕生日の頃には十数個、3歳の誕生日の頃にはひらがなの読みはマスターしていました。年長の春にはひらがな、カタカナ、アルファベット、小学1年生程度の漢字は読めるようになっていました。大人向けの自動車雑誌を愛読していたので「輸入車」「燃費」のような車関係の難しい漢字も読めました。

しかし「い」と書かれた見本の真横に「い」を書くことができないのです。
自閉スペクトラム症がある息子は、見本を見てもひらがなが書けない。
ひらがなが書けない……。なんで!?
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この「読み」と「書き」で、できることの大きな開きが私を不安にさせました。

スーパー不器用BOYとして小学校入学。特別支援学級へ

ひらがなに関しては入学直前の春休み中、とあるゲームにどハマりし「登場するキャラクターの名前やアイテムの名前をリスト化したい」という欲求が限界まで高まり、ぼんやりとですが模倣できるようになりました。そして読めるか読めないかギリギリラインではあるものの自分の名前が書けるようになりました。

この時は綺麗な丸や三角はまだ書けないくらいの不器用さだったので、自分の名前もしっちゃかめっちゃかなラインではあったものの、人類が月に降り立ったレベルの感動でした。数日前の入学前の面談では「まだ自分の名前も書けません」と相談したばかりだったので、まさか入学までに自分の名前が書けるようになるとは思いませんでした。
ひらがながまだ書けない息子のスバルに、特別支援学級の先生から「提出物には自分のマークを書こう」と提案される。
提出物に自分のマークを書くことを提案されるが……!
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この時のスバルは、作業療法士さんの検査で「とても不器用」と言われたものの診断は受けていなかったので、学校にどのように配慮をお願いして良いのか少し悩んでいました。

しかしスバルの就学先の特別支援学級では、診断名があろうがなかろうが困り事に向き合った配慮をしてもらえました。例えば、文字を書くのが苦手なスバルなら、マスからはみ出ていてもトメやハネがむちゃくちゃでも、丁寧に書いていれば丸をもらえました。

そしてスバルの成長レベルに合わせて少しずつ正しい字が書けるように導いてくれました。
成長と言っても「読めるか読めないか」から「ギリギリ読める」そして「だいたい読める」レベルのゆっくりとした成長ですが、難しい漢字でも「だいたい読める」字が書けるようになったのは本当にものすごい成長です。

さまざまな教科で不器用による困り事がありましたが、先生がいろいろな方法を試してくださったり、私がインターネットで調べた便利グッズを使ってみたり、ときにはスバルから代替案を提案したり、過ごしやすいように工夫していました。
それがごく普通に行われる環境でした。

さまざまな苦手を抱えたほかのクラスメイトたちも、それぞれが学びやすいように工夫していました。苦手なことに対して配慮してもらえ、自分で提案した工夫が採用されて、クラスメイトもそれぞれ苦手なことを工夫しながら学んでいる環境は、スバルにとってとても過ごしやすそうに感じました。
「小学校に入学するまでにひらがなが書けるように」と、気負う必要はなかったなと安堵しました。
次ページ「得意なはずの算数で、まさかのつまずきが……!」

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