「もう登園させたくない」こども園での息子の他害に思いつめる母。その時ママ友と先生は…【読者体験談】

ライター:ユーザー体験談
「もう登園させたくない」こども園での息子の他害に思いつめる母。その時ママ友と先生は…【読者体験談】のタイトル画像
Upload By ユーザー体験談

【発達ナビでは読者からのエピソードを募集中!今回は「他害行為」「ママ友」についてのエピソードをご紹介します。】現在9歳の息子は、2歳でASD(自閉スペクトラム症)、3歳で知的障害(知的発達症) と診断されました。息子の他害行為が出始めたのは2歳の頃。周りの先生方、ママ友達に助けられながら、息子と向き合ってきました。

監修者鈴木直光のアイコン
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)がある息子

現在9歳の息子は、2歳でASD(自閉スペクトラム症)、3歳で知的障害(知的発達症) と診断され、療育手帳を持っています。2歳から児童発達支援、そして年中からは子ども園へも通い始めました。

息子は人の顔や名前を覚えるのが得意で、こだわりが強いタイプです。また言葉の発達が遅く、言いたいことを伝えられずもどかしいためか、児童発達支援に通い始めた2歳の時からときどき他害行為が出るようになりました。

2歳から始まった他害行為。年中では頻度も増えてしまい……

2歳から始まった息子の他害行為は、お友達の持っているおもちゃを使いたいときに相手の髪を引っ張る……というものでした。そして年中から児童発達支援だけでなくこども園にも通うようになると、新しい環境に慣れるのが大変だったせいか、他害行為の頻度が増えていきました。特にこども園ではたくさんの言葉が行き交う環境でしたので、ようやく2語文が話せるようになった息子は、おそらく言いたいことが言えなかったのだと思います。

お友達が使っているおもちゃを欲しがり「貸して」とお願いしたのに貸してもらえないとき、貸してとお願いすらしていないがほしいとき、自分のお気に入りのおもちゃ(自分の物ではないのに)をお友達が使っていたとき……さまざまな理由から他害につながりました。
さまざまな理由が他害につながってしまっていた息子
さまざまな理由が他害につながってしまっていた息子
Upload By ユーザー体験談

支えてくれた優しい先生方、なるべく話すようにしたママ友

他害行為が増えた年中の時、周りにも申し訳なく、どうすればいいのか分からず、つらくて私は登園させたくないとまで思い詰めていました。児童発達支援へ電話をし「どこも具合悪くないのですが、今日は休みます」と伝えたところ、先生は「どうしたの?」ととても心配してくれました。まずその電話で話を聞いてくれ、後日面談も行い、アドバイスをしてくれました。
思い詰めていた私に「どうしたの?」と優しい言葉をかけてくれた先生
思い詰めていた私に「どうしたの?」と優しい言葉をかけてくれた先生
Upload By ユーザー体験談
こども園の先生も親身に接してくれました。先生は息子をいつも気にかけてくれ、息子が手が出そうなときは近くにいってさりげなく防いでくれたり、お友達を押す、髪を引っ張る、叩くなど他害行為をしたときは、必ず先生も一緒に相手のお親御さんへ謝ってくれました。一人ではない、先生が一緒に息子の他害に向き合ってくれている、そんな支えがいつも私を励ましてくれました。

また私は時間さえあれば他の保護者の方たちとなるべく話したり、交流するように心がけました。トラブルがあったときは、直接顔を合わせて謝るようにしました。みなさん普段から私が息子の他害行為に悩んでいるのを知っているせいか、息子が他害しても不快な表情も出さず優しく対応くれました。

こども園では、お友達が「息子くんに髪を引っ張られたんだよ」と教えてくれることがありました。そういうときは、お友達に「痛かったね、ごめんね」と伝えるようにしました。子どもたちは私の言葉を聞くと、いつも「いいよ」と許してくれました。優しい子どもたちに恵まれたと思います。こども園へは誰よりも遅く登園し、誰よりも早く帰宅していたので他のママに会う機会があまりありませんでしたが、みなさん「お互い様ですよ」という雰囲気で接してくれたのがうれしかったです。
保護者のみんなが「お互い様ですよ」という雰囲気で接してくれたのがうれしかった
保護者のみんなが「お互い様ですよ」という雰囲気で接してくれたのがうれしかった
Upload By ユーザー体験談
ライフバナー

息子の他害行為に変化が?

息子が年中になった時、児童発達支援に年少のお友達が入ってきました。そのお友達はよく走るお子さんで、その子のあとを追いかけるのが楽しい息子は、お友達と会えるのを楽しみにしていました。

その日も息子は、お友達と一緒に走るのを楽しみに登園しました。ただ、いつもそのお友達のママが「一緒に走ろう」と誘ってくれるのですが、その日はママはおらずそのお友達だけでした。息子は一緒に走りたいのに、お友達は誘っても走ってくれません。すると息子は、泣きべそをかきながら、そのお友達の髪を引っ張ってしまいました。私は慌てて止めましたが、その一方で「あること」にびっくりしました。

それまでの息子は人ではなく物に関心があり、それまでの他害行為は欲しい物が手に入らないから、相手の髪を引っ張ることばかりでした。ですが、この時初めて物ではなく人に関心を持ち、一緒に遊んでほしくて怒ったのです……。

他害行為は決して許されることではないのですが、物ではなく人に関心をもつようになった息子の変化に驚きました。

年長で他害行為は減り、小学生になった今は友達とのトラブルはなくなりました

年長に入ってからは児童発達支援でもこども園でも他害行為はほとんどなくなりました。少し言葉も増え、気持ちを伝えられるようになったというのもありますし、環境に慣れたというのもあったからだと思います。

就学前は、子ども園には通わず児童発達支援だけ通わせればよかったのかと何回も思いましたが、小学校に入学して間もないまだ慣れていない時にこども園のお友達と昼休み遊んでいた話を担任の先生から聞き、こども園にも通わせていてよかったと思いました。

9歳になった息子は、お友達のことが大好きです。今はお友達とのトラブルはありません。ただ先生の言うことを聞けないとき、特に好きなことをしている場面で切り替えられないとき、先生や支援員さんに対してひっかいたり、髪を引っ張るなどの他害行為が出てしまうことがあるようです。
他害行為が完全になくなったわけではないので、もっと気持ちを伝えられるようになれるといいなと思っています。他害という形ではなく、気持ちがきちんと伝えられたり、切り替えができたり、気持ちのコントロールができるように成長していってくれたらと願っています。
9歳になった息子は、お友達のことが大好きです。今はお友達とのトラブルはありません。
9歳になった息子は、お友達のことが大好きです。今はお友達とのトラブルはありません。
Upload By ユーザー体験談
イラスト/カタバミ
エピソード参考/ゆきこ

(監修:鈴木先生より)
自閉スペクトラム症の他害行為は一種の縄張り意識の現れとも考えられています。相手が自分の縄張り範囲内に入り近づくと攻撃する場合がみられます。ただ、環境に慣れたり、言葉が増えてきたりするとこうした縄張り意識は軽減していくこともあります。知的発達症を伴っていると言葉での説明が難しいことも多く、気持ちがうまく伝えられない場合にはどうしても手が先に出てしまいがちです。他害行為をしない環境に配慮するような工夫が大事です。
0歳から他害、激しい癇癪…なのに療育へ通えない!?母がおうち療育を始めた結果【専門家アドバイスも】のタイトル画像

0歳から他害、激しい癇癪…なのに療育へ通えない!?母がおうち療育を始めた結果【専門家アドバイスも】

活動を中断させようとすると、暴言や暴力が見られるのタイトル画像

「あと3分」と約束したのに、切り上げられない!そんな時は…

あわや失明…知的障害のある息子が学校で他害!?親の注意にも逆切れ・癇癪の嵐で、ついに夫がブチ切れて…?【小児科医アドバイスも】のタイトル画像

あわや失明…知的障害のある息子が学校で他害!?親の注意にも逆切れ・癇癪の嵐で、ついに夫がブチ切れて…?【小児科医アドバイスも】

「息子は障害児なの?」集団行動ができない、他害…トラブルだらけの年中時代。ADHD診断後落ち込む私を救ってくれたのはーー読者体験談のタイトル画像

「息子は障害児なの?」集団行動ができない、他害…トラブルだらけの年中時代。ADHD診断後落ち込む私を救ってくれたのはーー読者体験談

「娘が叩かれた」ADHD息子が他害!?保育園の下級生宅から怒りの連絡。服薬、環境調整、小学生になった今も続く試行錯誤--発達ナビ読者体験談のタイトル画像

「娘が叩かれた」ADHD息子が他害!?保育園の下級生宅から怒りの連絡。服薬、環境調整、小学生になった今も続く試行錯誤--発達ナビ読者体験談

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。


ライフバナー


年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。