3歳から自閉症は診断される?特徴や健診でのチェックリストなど【小児科医監修】

ライター:発達障害のキホン
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ASD(自閉スペクトラム症)には、言葉の発達が遅い、活動や興味が限られるなどの特徴がみられます。3歳児は他者との関わりが増える時期でもあるため、集団生活の中で特性や症状に気づく保護者も少なくありません。今回は、3歳児の気になる症状や特性、受診や療育を受けるまでの流れなどを紹介します。

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。
目次

ASD(自閉スペクトラム症)とは?

ASD(自閉スペクトラム症)とは
・対人関係や社会的コミュニケーションの困難
・特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ
などの特性が幼少期に現れる発達障害の一つです。知的障害を伴うこともあり、日常生活の中で困難を感じることも多くあります。

遺伝について

ASD(自閉スペクトラム症)は、生まれつき脳内の情報処理の仕方に障害があるために発症すると考えられていますが、その原因はまだよく分かっていません。遺伝的要因をはじめとした、さまざまな要素が複雑に関与していると考えられていますが、発症するまでのメカニズムはいまだに不明とされています。

3歳児にみられることの多いASD(自閉スペクトラム症)の症状とは?

3歳になると、保育園・幼稚園などで他者と過ごす時間も増えてくるため、人との関わりや集団生活の中で困難や問題などに気づくことも多くなってきます。

3歳頃にみられるASD(自閉スペクトラム症)の特性としては
・言葉の遅れ(コミュニケーションが苦手)
・独特な興味や行動パターン
・光や音、触れられることなどへの感覚過敏
・急な予定変更などに対応できない(癇癪を起こすなど)
・集団生活が苦手(じっとしていられない、先生の指示が通らないなど)
などが挙げられます。詳しくは第3章で紹介しますが、3歳児健診において指摘・診断されるケースも増えます。
参考:自閉症Q&A|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/07/dl/s0730-6a1.pdf

3歳児の発達の目安って?

定型発達児における、3歳児の発達の目安としては、

・基本的な運動機能が伸び、それに伴い食事、排泄、衣類の着脱などもほぼ自立できるようになる
・話し言葉の基礎ができて、盛んに質問するなど知的興味や関心が高まる
・自我がよりはっきりしてくるとともに、友達との関わりが多くなる(実際には、同じ遊びをそれぞれが楽しんでいる平行遊びであることが多い)
・大人の行動や日常生活において経験したことを「ごっこ遊び」に取り入れ、象徴機能(見立て)や観察力を発揮して、遊びの内容に発展性がみられるようになる
・予想や意図、期待を持って行動できるようになる

などが挙げられ、情緒面・社会面でぐっと成長する時期ともいえます。
参考:保育所保育指針解説書 |厚生労働省
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12895174/www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/hoiku04/pdf/hoiku04b_0001.pdf

ASD(自閉スペクトラム症)と診断されるのは3歳児から? 言葉が遅い、集団生活が苦手……違和感や気になるサイン

3歳児の気になる発達の遅れ、3歳児に表れやすいASD(自閉スペクトラム症)の特徴とは

園生活がスタートしている子どもも多いため、集団生活の中で
・社会性(集団行動ができない、指示が聞けない、友達と遊べない)
・感覚過敏(大きい音が苦手、砂場、裸足などが苦手)
・常同行動(同じ行動を繰り返す)

などのトラブルが起きやすい傾向にあります。

また、家庭内の困り事として
・こだわりが強く、気持ちの切り替えが苦手
・感覚過敏、鈍麻、こだわりなどでトイレトレーニングが進まない
・園への行き渋り
・言葉の遅さあるいは言葉は出ているが、会話がスムーズにできない。聞かれたことに答えにくい

などといった場面がみられることが多いと言われています。

3歳児健診で行うスクリーニングチェックとは?

3歳児健診では、「PARS-TR」「SDQ」などでASD(自閉スペクトラム症)のスクリーニングチェックを行う場合があります。

「PARS-TR」はASD(自閉スペクトラム症)の傾向を知るための検査で、こだわり行動や遊びや言語の発達など、12項目について保護者から聞き取ります。0点・1点・2点の3段階で評定し、合計得点からASD傾向の強さを導き出し、今後の有効なフォローに繋げていくものです。

「SDQ」は、行為面・多動性・情緒面・仲間関係・向社会性の5項目の質問から、子どもの適応と精神的健康の状態を包括的に把握するためのものです。そこからさらに詳しい検査が必要な場合は、問診や行動観察、「新版K式発達検査」「遠城寺式乳幼児分析的発達診断検査」などの発達検査、知能検査、場合によっては脳波検査などを行い、診断されます。
参考:効果的な巡回相談支援のための基本と実践|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000307929.pdf
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次ページ「3歳児に表れることの多いASD(自閉スペクトラム症)の特性による症状」

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