突然激しくなった登園渋り。「一人遊びや常同行動が増えている」と言われ…【発達検査を受けたきっかけ】

ライター:ねこじま いもみ
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わが家の長男は発達検査を2度受けています。ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けたのは2回目の検査で、小学3年生の8月でした。今回は登園渋りのはじまりと発達検査を意識するようになった話を書いていきます。幼い頃は順調に登園していた長男の登園渋りは突然でした。 

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

お気に入りのものもスムーズに手放し、順調に登園していた保育園時代

長男は2歳の頃保育園に入園しました。当時はそれなりに預ける際泣くこともありましたがスムーズに登園しているほうだと見受けられました。実は長男は1歳の頃からお気に入りのタオルケットがありました。家でも外出先でも肌身離さず持っていて、そのタオルケットがあれば添い寝をしなくても1人で眠っていました。
1歳の頃からお気に入りのタオルケット
1歳の頃からお気に入りのタオルケット
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タオルケットは保育園に持っていけないので、手放せるか心配でした。しかし事前に説明すると持ってはいけないことをすぐに理解し、登園初日からぐずったりすることもなく園に行く直前でサッとタオルを置いて登園していました。当時は大変驚きました。園でのお昼寝も「タオルがない」と落ち着かない様子を話してくれることもありましたが先生の寝かしつけでお昼寝できていたようでした。

本当に頑張っているなぁと思いました。家に帰ってくると一目散にタオルケットのところへ行き、安心している様子はとても可愛かったです(ちなみに小学4年生の今も帰るとすぐにタオルケットを持ちます)。 このように保育園の時は登園について問題を感じることは特にありませんでした。
ぐずったりすることもなくスムーズでした
ぐずったりすることもなくスムーズでした
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登園渋りのはじまり

長男は年中になる年に幼稚園へ転園しました。環境の変化に心配もありましたが順調に登園していました。

登園渋りがはじまったのは年中の後半でした。 当時私は働いていたのでなんとかなだめて送っていました。一時的なものかもしれないと思ったのですが、年長になるにつれて激しさは増していきました。着替えさせるのも一苦労で、やっと外に出れたかと思いきや道で座り込んでしまったり、園までついても門の前で逃げてしまったりすることもしょっちゅうでした。

特にお友達と何かあったとかはなさそうな様子でいつも「つまらないから行きたくない」と言っていました。 それでも迎えに行くとお友達と遊んでいたり、先生も「みんなの前でいつも面白いことを言って笑わせてくれるムードメーカーのような存在です」とおっしゃってくれたりしていました。 でも「やっと今日が終わった」「帰りの車は最高だ」とよく言っていたのでとても頑張っていたのだと思います。

出産で仕事をやめた私は産まれたばかりの次男を連れての送迎が大変な時もあり、激しく行き渋る時は休ませることもしばしばありました。長男は休めばまた明日行けるという感じだったので休ませることも時には大事かもしれないと感じました。また、この頃は弟が産まれたことも登園渋りに関係あるのかなぁと思ったりもしました。
年中の後半から始まった登園渋り
年中の後半から始まった登園渋り
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年長がもうすぐ終わり卒園が目前になった2月頃、長男は1人の時間が増えてみんなの輪に入りたがらない様子が目立つようになったと担任の先生に話をされました。

長男は同じ直線を行ったり来たりする常同行動をするのですが、幼稚園でも自由時間になるとそれをしていました。みんなで何か取り組む時は先生の指示に従い集団で動けるのですが、この頃から常同行動の時間が増え、みんなと何かやらなければならない時以外は1人黙々と走っていて、遊ぼうと声をかけられても来ない場面をよく見かけるようになったそうです。

気分もあるだろうし先生も温かく見守ってくださっていましたが、2年間受け持ってくれた先生だったので、なんだか1人の世界に入り込む時間が増えた気がすると少しいつもと違う様子が気になって私に話をしてくれました。 激しくなる登園渋りとも何か関係があるのかなと思いました。

発達検査を受けてみようと思ったきっかけ

発達障害を強く意識し始めて
発達障害を強く意識し始めて
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もともと長男は人への関心が薄いことは私も気づいていましたが、この時をきっかけに漠然と長男の今後が改めて心配になりました。そしてこの常同行動はいつまで続くのだろう……入学を前に、これまでなんとなく気にかけてはいたけど発達障害を強く意識し始めたのはこの頃でした。

また、鉛筆がうまく持てず筆圧も弱く、ヒョロヒョロの線しか書けなかったことなど細かい部分でも気になっていたことはあったので、一度発達検査を受けてみることにしました。 私の勝手な見解だけではなく、専門的な部分から長男を知り、今よりもっと良い関わり方があるなら知りたいし、長男が困った時に私がしてあげられることはなんだろうというヒントが得られるかもしれないと思い、大学病院へ発達検査の予約をしました。

これが、長男と私にとって一つの転機になったのです。
執筆/ねこじま いもみ
(監修:初川先生より)
長男くんの発達検査の予約を取るまでのエピソードをありがとうございます。最初に入った保育園時代から、長男くんに対して「本当に頑張っているなぁ」という眼差しであたたく見守っていてくださったこと、よかったです。子どもは子どもなりに、集団生活を頑張り、特に一人を好む傾向の強いお子さんだと、もっと渋ったり荒れたりしていてもおかしくないのに、本人なりに頑張っている。お子さんなりの頑張りを保護者の方が気づいていてくださること、とても大事だなと感じます。

弟くんの誕生、幼稚園への転園さまざまな変化もご心配されたことと思います。下にきょうだいがうまれることは、多かれ少なかれ影響はあります。家族にとっての大きな転機なので、多かれ少なかれ、良くも悪くも影響があるのが自然です。そうした変化によってお子さんが何かしら不安定さを呈することがあっても、それは想定内であると考えていただくとよいかなと思います。

ねこじまさんは長男くんの小学校入学を前に、発達検査を大学病院で受検することを決断されました。発達検査を受ける、入学前に気になることを相談するために相談機関にかかる。この時期はさまざま決断される方が多いです。お住まいの自治体では、就学相談という小学校入学前に気になることを相談できる相談事業も年長になると申し込みが開始することと思います。医療機関に相談する、相談機関に相談するというのももちろん良いと思いますし、自治体の教育委員会がやっている就学相談に申し込むのも1つです(居住自治体内なので比較的近い、入学までには検査や相談などの一連の流れが終わる、相談無料、ただし医療機関ではないので診断は下りない)。就学相談を受ける際にはその流れの中で発達検査や集団での行動観察などが含まれていることも多いです。これからお子さんが小学校入学だという読者の方はぜひ一度「(お住まいの市区町村名) 就学相談」で検索してみてください。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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