自閉症1歳息子の大癇癪に「親なら泣き止ませろ」の声。親子で引きこもるほうが楽?でも外へ出てみたら…
ライター:メイ
ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けている息子。小さい頃はとにかく声が大きく癇癪を起こすことも多かったので、外で騒いでしまうこともありました。大声で泣いているところを、通りすがりの人に怒られたということも何度かありました。今回は息子が外で泣いてしまったときのエピソードをいくつかご紹介します。
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
外出先での癇癪、大泣き。通りすがりの人に怒られてしまい……
息子が1歳くらいの頃、ショッピングモールに連れて行った時のことです。息子が泣き出してしまい、なかなか泣き止まず困ったことがありました。その時はとりあえず、人のいない奥まった場所に連れて行ってなだめていたのですが、近くを通った男性に「うるさい!」と怒られてしまったことがあります。
また別の日に、いつものスーパーに行った帰り道で泣き始めてしまい、なかなか帰れなかったことがありました。困って立ち往生していたら、通りすがりの方に「親なら泣き止ませろ」と怒られたことがありました。
また別の日に、いつものスーパーに行った帰り道で泣き始めてしまい、なかなか帰れなかったことがありました。困って立ち往生していたら、通りすがりの方に「親なら泣き止ませろ」と怒られたことがありました。
こんなふうに外で怒られることは何度かありました。泣き始めたらいろいろと対処してもうまくいかないことも多く、どちらかと言うと切り替えが上手くなかった息子なので、時間がかかることがほとんどでした。
親として対応に手を抜いているつもりはありませんでした。ただ、大声で怒ったり怒鳴ったりしても息子には無意味だと分かっていたので、穏やかな声かけだったり、タイミングを見ようと様子を伺って観察していたりすることも多く、周りの人から見ると、迷惑をかけているのにちゃんと対応していないように見えたのかもしれません。厳しくしているほうがちゃんとしているように見えるものなのかもしれません。
親として対応に手を抜いているつもりはありませんでした。ただ、大声で怒ったり怒鳴ったりしても息子には無意味だと分かっていたので、穏やかな声かけだったり、タイミングを見ようと様子を伺って観察していたりすることも多く、周りの人から見ると、迷惑をかけているのにちゃんと対応していないように見えたのかもしれません。厳しくしているほうがちゃんとしているように見えるものなのかもしれません。
息子と外出するのが怖くなり、家にこもりがちに……
外で人から怒られてしまうと、私も外出するのがだんだん怖くなっていきました。買い物など家にいながらインターネットでいくらでもできる状況でしたし、外に出ず、家で息子と2人で引きこもって過ごしていたほうが、私にとっても周りの人にとっても良いのではないかと考えました。
でも、肝心の息子にとって、それが良いことなのかどうか考えるようになり、やっぱり私はちゃんと息子と外に出て、買い物をしたり遊んだりしたいと思いました。周りの人に迷惑をかけてしまうこともあるかもしれない。それでも私は、息子の成長のために行動していきたいと思ったのです。
困ったときには、助けてくれる人もたくさんいる
こんなふうに怒られる経験ばかりではなく、反対に周りの人から助けられたケースもありました。
息子は消防車が好きで、消防車を見かけると立ち止まってじっと見ていることがよくありました。ある日、消防署の前で立ち止まって動かなくなってしまったことがあります。帰らなければいけない時間になってもなかなか動くことができず困っていたのですが、その時に消防士さんが出てきてくれて、息子に「消防車好き?また見に来てね」と言って、消防車の形の消しゴムをくれたのです。消防車の消しゴムをもらって、息子はすんなりと帰宅することができました。
息子は消防車が好きで、消防車を見かけると立ち止まってじっと見ていることがよくありました。ある日、消防署の前で立ち止まって動かなくなってしまったことがあります。帰らなければいけない時間になってもなかなか動くことができず困っていたのですが、その時に消防士さんが出てきてくれて、息子に「消防車好き?また見に来てね」と言って、消防車の形の消しゴムをくれたのです。消防車の消しゴムをもらって、息子はすんなりと帰宅することができました。
また、息子が幼稚園の年少の頃、私は生まれたばかりの娘を抱っこ紐で抱いて、息子の幼稚園のお迎えに行きました。帰り道で息子が私に抱っこしてほしいと泣いてしまい、私は娘を抱っこして息子をおんぶして何とか歩いていました。
その様子を見た通りすがりの方が息子に声をかけてくれて、「今買ってきたばかりだから」と言って、お菓子を息子に渡してくれました。その方は、「お母さんを助けてあげてね」と、息子に言ってくれました。
外で注意されたり怒られたりして、人の目が怖くなって、人とできるだけかかわらずに生活したほうが良いのではないかと考えてしまったこともありました。でも、困ったり落ち込んだりした気持ちを救ってくれるのもやっぱり人との関わりの中で生まれるものだなぁと、今では思っています。
その様子を見た通りすがりの方が息子に声をかけてくれて、「今買ってきたばかりだから」と言って、お菓子を息子に渡してくれました。その方は、「お母さんを助けてあげてね」と、息子に言ってくれました。
外で注意されたり怒られたりして、人の目が怖くなって、人とできるだけかかわらずに生活したほうが良いのではないかと考えてしまったこともありました。でも、困ったり落ち込んだりした気持ちを救ってくれるのもやっぱり人との関わりの中で生まれるものだなぁと、今では思っています。