1歳自閉症娘、音楽を通して成長に変化が!児童発達支援に通ったら
ライター:にれ
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親子通所の療育へつながったのとほぼ同時期、私の希望で音楽特化型の療育にも通い始めました。今回はその内容と、長女のまゆみにどんな変化があったかをご紹介します。
監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。
現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
音楽を使った発達支援を始めるまでのまゆみ
長女のまゆみには、ASD(自閉スペクトラム症)と中等度の知的な遅れがあります。
療育へつながるまでの流れは前回の記事にさせていただきましたが、今回は同時期に始めた音楽を使った発達支援のお話です。
療育へつながるまでの流れは前回の記事にさせていただきましたが、今回は同時期に始めた音楽を使った発達支援のお話です。
娘の居場所を見つけたい!児童発達支援に繋がりたかった私が1歳児健診で「これだけは聞こう」と思っていたこと
私は、まゆみがお腹にいた頃から「豊かに生きる一環として、音楽を好きになってくれたらいいなぁ」と思っていました。
「この歌を歌うとこんな表情になった」とか、「親子番組のこの歌で揺れていた」とか、まゆみの変化を読み取りながら歌のレパートリーを増やしていくことは私の楽しみにもなっていて、まゆみの発達の遅れに気付き始めた頃もあちこちのリトミックイベントや体験教室に顔を出していました。
「この歌を歌うとこんな表情になった」とか、「親子番組のこの歌で揺れていた」とか、まゆみの変化を読み取りながら歌のレパートリーを増やしていくことは私の楽しみにもなっていて、まゆみの発達の遅れに気付き始めた頃もあちこちのリトミックイベントや体験教室に顔を出していました。
が、これが親子で泣いて帰ることの連続!
参加するどころかその場にいることもできないまゆみの姿にはショックを受けながらも、「集団になると参加できないだけで、この子は音楽が好きなはず」という直観だけはあり、どうしたらその気持ちに応えられるのか分からず無力な気持ちで過ごしていました。
参加するどころかその場にいることもできないまゆみの姿にはショックを受けながらも、「集団になると参加できないだけで、この子は音楽が好きなはず」という直観だけはあり、どうしたらその気持ちに応えられるのか分からず無力な気持ちで過ごしていました。
音楽を活用した児童発達支援に通い始めて
ひだまり児童園(仮称)に親子通所を始める直前、相談支援の先生から連絡をいただきました。
「音楽特化型発達支援の事業所を設けている楽器店さんがあるんです。まゆみちゃんは音楽が好きだとおっしゃっていたので……こちらもどうですか?」
もちろん二つ返事でお願いしました。一般のリトミック教室には参加できなかったまゆみも、発達支援という枠組みでなら音楽を楽しむことができるかもしれない。そんな期待に胸を膨らませて、まゆみと二人で音楽を活用した児童発達支援事業所「ぴあちぇ~れ」(仮称)の扉を叩きました。
当時1歳8ヶ月のまゆみには同年代の生徒さんがおらず、個別療育でのスタート。先生方はあたたかく迎え入れてくれて、とことんまゆみに合わせたプログラムで対応してくれました。
最初は入室拒否して『大文字泣き』していたまゆみも、次第に「どうやらここは楽しい場所らしい」と気付いたようで、3回目くらいからは自分でドアを押して入ろうとしていたように記憶しています。重いガラスのドアで、しかも引くタイプだったので押しても開かないのですが、進んで入ろうとしてくれる姿が嬉しくて涙が出ました。
「音楽特化型発達支援の事業所を設けている楽器店さんがあるんです。まゆみちゃんは音楽が好きだとおっしゃっていたので……こちらもどうですか?」
もちろん二つ返事でお願いしました。一般のリトミック教室には参加できなかったまゆみも、発達支援という枠組みでなら音楽を楽しむことができるかもしれない。そんな期待に胸を膨らませて、まゆみと二人で音楽を活用した児童発達支援事業所「ぴあちぇ~れ」(仮称)の扉を叩きました。
当時1歳8ヶ月のまゆみには同年代の生徒さんがおらず、個別療育でのスタート。先生方はあたたかく迎え入れてくれて、とことんまゆみに合わせたプログラムで対応してくれました。
最初は入室拒否して『大文字泣き』していたまゆみも、次第に「どうやらここは楽しい場所らしい」と気付いたようで、3回目くらいからは自分でドアを押して入ろうとしていたように記憶しています。重いガラスのドアで、しかも引くタイプだったので押しても開かないのですが、進んで入ろうとしてくれる姿が嬉しくて涙が出ました。
音楽を使った発達支援の内容
1)まずは教室の隅に用意された小さな椅子を親子で運び、着席できたらご挨拶です。
「今日は○月○日○曜日、お天気は○○。よろしくお願いします」という先生の声にはあまり反応しませんが、その後の「はじまりの歌」では、渡されたタンバリンをリズムよく鳴らしたり振ったりしていました。
この歌は毎回同じなので、「これからはじまる」という導入のサインにもなっていたのだと思います。
2)歌・楽器遊びでは、毎回違う歌と楽器が用意されます。
1曲につき数種類の楽器が並べられ、そのうち1つを選んで先生のピアノ・歌に合わせて自由に演奏を楽しみます。カスタネットや鈴といったお馴染みの楽器に加え、ウインドチャイムやスリットドラム、カホン、セミーヤといった珍しい楽器も。鳴らしてみたい楽器が複数あるときは同じ歌でもう一度トライできたり、柔軟に対応していただきました。
3)2~3曲、歌と楽器を楽しんだあとは、形の違う4つの太鼓を用意します。大きな太鼓、平べったい太鼓、細長い太鼓、小さな太鼓……音の違いや感触の違いを楽しみながら、こちらもピアノに合わせて手やマレットで演奏を楽しみます。
4)その次は、細長い太鼓だけを教室に残して体を動かす遊びです。
太鼓の周りを、ピアノの調べに合わせて走ったり歩いたりしながらグルグル回ります。やがてグループ療育にも参加するようになると、年齢や参加人数に合わせて「音が止んだら太鼓を叩く」「名前を呼ばれた人が太鼓を叩く」などバリエーションが増えていきました。
5)太鼓をしまうと、回によって内容は変わりましたがリラックスできるような遊びが多かったと思います。
まゆみを仰向けに寝そべらせた状態で行う手遊びを教えてもらったり、リトミックスカーフを使う遊びなどを教えてもらいました。
6)終わりの挨拶と歌も毎回同じなので、まゆみにとって「これでおしまい」というのが分かりやすかったようです。
教室内をウロウロしていても、終わりの歌が始まると先生の前に戻ってくるようになりました。
「今日は○月○日○曜日、お天気は○○。よろしくお願いします」という先生の声にはあまり反応しませんが、その後の「はじまりの歌」では、渡されたタンバリンをリズムよく鳴らしたり振ったりしていました。
この歌は毎回同じなので、「これからはじまる」という導入のサインにもなっていたのだと思います。
2)歌・楽器遊びでは、毎回違う歌と楽器が用意されます。
1曲につき数種類の楽器が並べられ、そのうち1つを選んで先生のピアノ・歌に合わせて自由に演奏を楽しみます。カスタネットや鈴といったお馴染みの楽器に加え、ウインドチャイムやスリットドラム、カホン、セミーヤといった珍しい楽器も。鳴らしてみたい楽器が複数あるときは同じ歌でもう一度トライできたり、柔軟に対応していただきました。
3)2~3曲、歌と楽器を楽しんだあとは、形の違う4つの太鼓を用意します。大きな太鼓、平べったい太鼓、細長い太鼓、小さな太鼓……音の違いや感触の違いを楽しみながら、こちらもピアノに合わせて手やマレットで演奏を楽しみます。
4)その次は、細長い太鼓だけを教室に残して体を動かす遊びです。
太鼓の周りを、ピアノの調べに合わせて走ったり歩いたりしながらグルグル回ります。やがてグループ療育にも参加するようになると、年齢や参加人数に合わせて「音が止んだら太鼓を叩く」「名前を呼ばれた人が太鼓を叩く」などバリエーションが増えていきました。
5)太鼓をしまうと、回によって内容は変わりましたがリラックスできるような遊びが多かったと思います。
まゆみを仰向けに寝そべらせた状態で行う手遊びを教えてもらったり、リトミックスカーフを使う遊びなどを教えてもらいました。
6)終わりの挨拶と歌も毎回同じなので、まゆみにとって「これでおしまい」というのが分かりやすかったようです。
教室内をウロウロしていても、終わりの歌が始まると先生の前に戻ってくるようになりました。
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まゆみの変化
まず驚いたのは、楽器を選んだことでした。
二択でも「選ぶ」という行為が難しいまゆみにとって、並べられたものから一つを手に取るだけでも珍しいことでした。選んだすぐあとでほかのものが気になって手を伸ばしたりしてしまう姿は今も見られますが、少しずつ「選ぶ」「順番」の概念を学んでいってくれているように思います。
さらに、表情が乏しかったまゆみが、太鼓の周りを走りながら満面の笑みを見せてくれたことも衝撃でした。リラックスタイムで、たくさんの造花の花びらをまき散らしながら嬉しそうに寝そべっていた様子も忘れられません。
二択でも「選ぶ」という行為が難しいまゆみにとって、並べられたものから一つを手に取るだけでも珍しいことでした。選んだすぐあとでほかのものが気になって手を伸ばしたりしてしまう姿は今も見られますが、少しずつ「選ぶ」「順番」の概念を学んでいってくれているように思います。
さらに、表情が乏しかったまゆみが、太鼓の周りを走りながら満面の笑みを見せてくれたことも衝撃でした。リラックスタイムで、たくさんの造花の花びらをまき散らしながら嬉しそうに寝そべっていた様子も忘れられません。
一番の変化は、教わった手遊びを家でも繰り返すうちにまゆみから催促してくれるようになったことです。一緒に遊びたくてもまゆみが受け付けてくれない日々が続いていた中で、初めて「わが子と遊んでいる」という実感が持てました。あまりに嬉しくて、自宅用に買ったリトミックスカーフがボロボロになるほど相手をしました。触れ合いが増えていくにつれてまゆみの表情が柔らかくなっていき、笑顔が増えていきました。
振り返りと、現在
ぴあちぇ~れさんには音楽を通して「楽しい」という感覚を育ててもらえたのではないかと思います。
そうして1年4ヶ月ほど楽しく通わせてもらいましたが、まゆみが3歳になる直前に一旦卒業することになりました。メインとなる療育先を移って単独通所を始めることになり、平日昼間の予定が埋まることになったためです。
それから2年ほど経ったまゆみ5歳3ヶ月のとき、ぴあちぇ~れから「金曜夕方のクラスを開設することになったのでいかがですか?」と連絡がありました。またも二つ返事でお願いし、まゆみは2年4ヶ月ぶりに音楽を使った発達支援を再開しました。
ぴあちぇ~れが楽しい場所だと覚えていたまゆみは、入るなり大興奮!……復帰第1回目はひたすら跳ね回っているうちに終わってしまいました……。
それから数ヶ月通い続けていますが、楽しすぎて動き回ってしまうことが多く、なかなか身を入れて参加とはいかない日が続いています。
けれど、音楽が好きという気持ちはまゆみの中で育っているようで、家では自分からピアノに向かったり、クリスマスプレゼントにハープを欲しがるような女の子に成長しました。コミュニケーションは相変わらず独特で何かを教えることは難しいのですが、いつの間にか一人で覚えた『きらきら星』や『ハッピーバースデー』を演奏してくれます。これも、楽しく楽器に向かう気持ちを音楽を使った発達支援が種まきしてくれたからかもしれません。
まゆみが音を楽しむ様子を、これからもじっくり見守りたいと思います。
そうして1年4ヶ月ほど楽しく通わせてもらいましたが、まゆみが3歳になる直前に一旦卒業することになりました。メインとなる療育先を移って単独通所を始めることになり、平日昼間の予定が埋まることになったためです。
それから2年ほど経ったまゆみ5歳3ヶ月のとき、ぴあちぇ~れから「金曜夕方のクラスを開設することになったのでいかがですか?」と連絡がありました。またも二つ返事でお願いし、まゆみは2年4ヶ月ぶりに音楽を使った発達支援を再開しました。
ぴあちぇ~れが楽しい場所だと覚えていたまゆみは、入るなり大興奮!……復帰第1回目はひたすら跳ね回っているうちに終わってしまいました……。
それから数ヶ月通い続けていますが、楽しすぎて動き回ってしまうことが多く、なかなか身を入れて参加とはいかない日が続いています。
けれど、音楽が好きという気持ちはまゆみの中で育っているようで、家では自分からピアノに向かったり、クリスマスプレゼントにハープを欲しがるような女の子に成長しました。コミュニケーションは相変わらず独特で何かを教えることは難しいのですが、いつの間にか一人で覚えた『きらきら星』や『ハッピーバースデー』を演奏してくれます。これも、楽しく楽器に向かう気持ちを音楽を使った発達支援が種まきしてくれたからかもしれません。
まゆみが音を楽しむ様子を、これからもじっくり見守りたいと思います。
執筆/にれ
(監修:室伏先生より)
にれさん、音楽を使った発達支援の内容や、まゆみちゃんがそれらを楽しむご様子について詳しく共有くださり、ありがとうございました。ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは、周りの方との関わりに興味が向きにくい傾向にありますが、音楽を使った発達支援には、音楽を使った関わり遊びやふれあい遊びを通して、ご家族や支援者との関係性の改善や、コミュニケーションスキルの向上によい影響があることが分かってきています。そのほかにも、聴覚過敏のお子さんがさまざまな楽器の音に楽しく慣れることができたり(感覚過敏のお子さんにとってさまざまな刺激を受け取ることを楽しめるというのは貴重な機会です)、音楽に合わせて体を動かすことで運動能力の向上なども期待できます。
これらは、お子さんがこの活動を楽しめる場合に得られる効果です。好きなもの、好きな遊びはお子さんによって異なりますので、その子の趣向に合わせた療育や活動の場を選ぶことができるといいですね。
(監修:室伏先生より)
にれさん、音楽を使った発達支援の内容や、まゆみちゃんがそれらを楽しむご様子について詳しく共有くださり、ありがとうございました。ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは、周りの方との関わりに興味が向きにくい傾向にありますが、音楽を使った発達支援には、音楽を使った関わり遊びやふれあい遊びを通して、ご家族や支援者との関係性の改善や、コミュニケーションスキルの向上によい影響があることが分かってきています。そのほかにも、聴覚過敏のお子さんがさまざまな楽器の音に楽しく慣れることができたり(感覚過敏のお子さんにとってさまざまな刺激を受け取ることを楽しめるというのは貴重な機会です)、音楽に合わせて体を動かすことで運動能力の向上なども期待できます。
これらは、お子さんがこの活動を楽しめる場合に得られる効果です。好きなもの、好きな遊びはお子さんによって異なりますので、その子の趣向に合わせた療育や活動の場を選ぶことができるといいですね。
このコラムを書いた人の著書
今日もまゆみは飛び跳ねる ~自閉症のわが子とともに~
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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