小学生の忘れものどうしたらいい?教科書、宿題、プール道具…効果的なサポート方法は?【公認心理師・井上雅彦先生にきく】
ライター:発達障害のキホン
持ち物の管理が苦手で、学校への持ち物を忘れてしまうことがしばしば。忘れたことを先生に言えず困ってしまうことも。そんなとき保護者はどのようにサポートするとよいのでしょうか。今回はそのような忘れもののお悩みについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。(取材/LITALICO発達ナビ編集部)
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
実は難しい、毎日の学校の準備
学校への持ち物は、毎日の教科書やノートだけでなく、給食用マスクや宿題プリント、保護者から先生に渡す書類、時には水泳道具、習字道具など、その日によってさまざまです。
これらを子どもが自分で把握し毎日忘れずに準備していくことは、決して簡単なことではありません。持ち物管理が苦手で、学校の準備に時間がかかることや、そもそも準備の仕方自体が分からない場合もあるでしょう。
今回はそのような持ち物管理や忘れもののお悩みについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。
これらを子どもが自分で把握し毎日忘れずに準備していくことは、決して簡単なことではありません。持ち物管理が苦手で、学校の準備に時間がかかることや、そもそも準備の仕方自体が分からない場合もあるでしょう。
今回はそのような持ち物管理や忘れもののお悩みについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。
学校への持ち物を忘れてしまう……物の管理はどうサポートすればいい?
Q:小学3年生の息子。学校への持ち物をよく忘れてしまいます。持ち物管理ができず、部屋も散らかっています。視覚的な補助を活用したりその都度声かけしたり、いろいろ工夫してみてはいるのですが、あまり効果がないようです。
A:よくあるのは、登校時間ぎりぎりになってお子さんが「〇〇がない」と気付いて慌ててしまうパターンかと思います。探し回っていると遅刻しそうになって、お子さん本人も保護者もイライラしてしまう、なんてこともあるかもしれませんね。朝一番に叱られてから登校というのは、なるべく避けたいところですよね。
忘れものを防ぐためには、やはり学校の準備を前倒して行うことがポイントです。理想は、前日の寝る前に次の日の持ち物を揃えて点検することです。これを習慣化させていくためには、初めは保護者が少し丁寧に関わっていくことが必要でしょう。まだ習慣化できていない段階では、お子さんに「やっておいてね」と声かけをするだけでは難しいものです。
習慣化するまでは、保護者が一緒に取り組みながら「準備できたね」という体験を重ねていくことが大切です。そのために「準備の時間」を親子で確保することも大事だと思います。あらかじめ時間を決めるなどして準備の時間を確保しておかないと、どうしても忙しい毎日の中で行動を起こすことは難しいのではないでしょうか。
毎日の夕方や夜に「準備の時間」を決めておくとよいと思います。持ち物管理や準備が苦手という場合には、この時間を少し長めに確保しておくとよいでしょう。
視覚支援として、持ち物チェック表を作って貼りだすなどもよいと思いますが、それだけではなくて、やはり初めは「一緒にチェックする」ということも必要だと思います。
また、持ち物がどこにあるか分からない、探すことに時間がかかる場合もあるかもしれません。そういう場合は、大まかに「毎日持っていくもの」「曜日によって持っていくもの」「基本は持っていかないもの」の置き場所を分けてしまうのもひとつかと思います。そうすることで、「きっとここにあるだろう」という予測を立てやすくなります。
「必要なものを探し出す」というのも練習が必要なときもあります。「どこにありそうか?」を予測することが苦手な場合は、例えば保護者が選択肢を出してお子さんに探してもらうという方法もひとつです。保護者がすべて探してしまうと、本人が見つける練習にならないので、『自分で探す練習』としてヒントを出しながら探してもらうとよいと思います。
忘れものを防ぐためには、やはり学校の準備を前倒して行うことがポイントです。理想は、前日の寝る前に次の日の持ち物を揃えて点検することです。これを習慣化させていくためには、初めは保護者が少し丁寧に関わっていくことが必要でしょう。まだ習慣化できていない段階では、お子さんに「やっておいてね」と声かけをするだけでは難しいものです。
習慣化するまでは、保護者が一緒に取り組みながら「準備できたね」という体験を重ねていくことが大切です。そのために「準備の時間」を親子で確保することも大事だと思います。あらかじめ時間を決めるなどして準備の時間を確保しておかないと、どうしても忙しい毎日の中で行動を起こすことは難しいのではないでしょうか。
毎日の夕方や夜に「準備の時間」を決めておくとよいと思います。持ち物管理や準備が苦手という場合には、この時間を少し長めに確保しておくとよいでしょう。
視覚支援として、持ち物チェック表を作って貼りだすなどもよいと思いますが、それだけではなくて、やはり初めは「一緒にチェックする」ということも必要だと思います。
また、持ち物がどこにあるか分からない、探すことに時間がかかる場合もあるかもしれません。そういう場合は、大まかに「毎日持っていくもの」「曜日によって持っていくもの」「基本は持っていかないもの」の置き場所を分けてしまうのもひとつかと思います。そうすることで、「きっとここにあるだろう」という予測を立てやすくなります。
「必要なものを探し出す」というのも練習が必要なときもあります。「どこにありそうか?」を予測することが苦手な場合は、例えば保護者が選択肢を出してお子さんに探してもらうという方法もひとつです。保護者がすべて探してしまうと、本人が見つける練習にならないので、『自分で探す練習』としてヒントを出しながら探してもらうとよいと思います。
イレギュラーな持ち物を忘れてしまうとき、どうする?
Q:小学5年生の娘は、習字道具や図工の道具など、イレギュラーな持ち物を忘れがちです。必要な道具がないために、学校でその活動ができないこともあります。
A:イレギュラーな持ち物についても、基本的には前日の確認や、保護者が少し丁寧に関わっていくことは有効だと思います。
忘れものをしてしまうことで、学校の活動ができないというのは、本人もつらいですよね。忘れものを先生に言えずに一人で困ってしまっている、という場合もあるかもしれません。
しかし、忘れものをしたときにも、先生に言う、先生にどうすればよいか聞いてみる、友達に言って貸してもらうなど、いくつかリカバリーする方法があるかと思います。学校に予備を置いておく、親しい友達の方から声をかけてもらうなどの工夫をされている方もいらっしゃいます。「忘れないための工夫」とあわせて「忘れたときに対応できる」という点もポイントです。
忘れたことを黙っていたり、思わずごまかそうとしたりするのではなく、「先生に言う」「友達に助けを求める」など行動できることは大切なスキルです。「忘れたときに誰に言いに行けばよいか」など、忘れたときの対応についても折に触れて伝えていくとよいでしょう。
忘れものをしてしまうことで、学校の活動ができないというのは、本人もつらいですよね。忘れものを先生に言えずに一人で困ってしまっている、という場合もあるかもしれません。
しかし、忘れものをしたときにも、先生に言う、先生にどうすればよいか聞いてみる、友達に言って貸してもらうなど、いくつかリカバリーする方法があるかと思います。学校に予備を置いておく、親しい友達の方から声をかけてもらうなどの工夫をされている方もいらっしゃいます。「忘れないための工夫」とあわせて「忘れたときに対応できる」という点もポイントです。
忘れたことを黙っていたり、思わずごまかそうとしたりするのではなく、「先生に言う」「友達に助けを求める」など行動できることは大切なスキルです。「忘れたときに誰に言いに行けばよいか」など、忘れたときの対応についても折に触れて伝えていくとよいでしょう。