そして小学3年生になった息子は……

小学1年生の3学期、息子はADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断が出て、2年生からは通級指導教室に通うようになりました。また2年生の時の担任の先生は、息子のことをよく見てくれ、さまざまな配慮をしてくださり、息子自身少しずつ自信がついてきたようでした。また、息子も学校という新しい環境に、やっと慣れきたのかもしれません。

おそらく当時の私は、学校にいる時間が一番長い保護者でした。教育相談の際「いろいろな先生に挨拶したほうがいい」とアドバイスをいただいたので、先生たち、図書室の司書さんや事務の先生など皆さんに「見守りをお願いします」「ありがとうございます」と挨拶をしました。それほど息子は学校で目立つ生徒だったとも言えますが、たくさんの先生方から、温かく見守ってもらえたと感じています。

そして息子が小学3年生になった初日のことです。突然「登校班で行く」と本人が言いました。そうは言うも心配だった私は、登校班から少し離れてついて行きました。それから少しずつ、私が班との距離をとるようになり、とうとう本人が「一緒に来ないで」と言うまでになったのです。

こうして1年半を超える母子登校が終わったのです。

やがて小学6年生になった息子は登校班の班長になり、うしろを歩く新1年生に気を配りながらゆっくり歩き、お休みの子の連絡帳を職員室に届けたり、しっかり務めを果たすまでになりました。

現在は中学生。今は今で大変だけれど、あの頃を振り返ると、成長したと思えます

中学校への進学の際は、本人と話し合い特別支援学級を選んだのですが、息子にはフィットしなかったようで中学2年生からは不登校を選んでいます。心の健康が1番と考え、今は無理な登校刺激はしていません。学校に行っていない間は、英検などに挑戦しています。息子は高校進学を希望しているので、次こそ息子に合う場所をと高校探しの真っ最中です。

今は今なりの悩みがありますが、小学校の頃のことを振り返ると、あの頃も大変だったけれどこうして成長したのだ……と思います。
手伝えるうちは私たち親が手伝って、いずれ(できれば近い将来)は、自分で自分に合った環境を見つけて、そこで頑張れるようになってほしいなと思っています。
イラスト/マミヤ
エピソード参考/エマ

(監修:森先生より)
母子登校をされていた期間の体験談をありがとうございます。下のお子さんもいて大変な中、お子さんの学校生活を支えてこられたのですね。実際、お子さんの登校がスムーズにいかずに悩まれる保護者の方は少なくありません。発達障害の傾向があるお子さんは、感覚過敏があって疲れやすかったり、同級生と行き違いが起きてしまったり、見通しが立てにくくて不安になってしまったりといったことで、学校に行くときに気が重くなってしまうことがあります。

行き渋りが出た時、「学校に行きなさい!」と頭ごなしに叱っても、お子さんの不安は解消されません。保護者の方と一緒になら安心して登校できるというケースは多いのです。お仕事や下のお子さんの育児など、保護者の方にもいろいろな事情があるので、大変なことも多いでしょう。でも、母子登校は悪いことばかりではありません。学校のお友達との様子や、近所の方、いろいろな先生方の様子も知ることができます。お子さんがどんなことに不安を感じているか、肌で感じて気持ちに寄り添うことができるようになるというメリットは大きいのではないでしょうか。

今回のケースでは、1年半の母子登校を経て、お子さんは自分で登校したいと思うまでに自立しましたね。また、登校がつらいときにお母さんが寄り添ってくれた経験があったからこそ、お子さん自身が最高学年になったときには、下級生たちにも気を配る優しい班長さんになれたのではないでしょうか。お子さんの登校渋りでは、保護者の方も先が見えない不安で頭がいっぱいになってしまうかもしれませんが、お子さんの不安に寄り添って今できることをしていきましょう。これからも、お子さんが自分に合った環境で頑張れるよう、応援しております。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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