【自閉症きょうだいの日常】ちょっと独特!?大学院生と通信制高校生、家での過ごし方
ライター:寺島ヒロ
わが家のASD(自閉スペクトラム症)きょうだい、タケルといっちゃんは、とても仲が良いです。お互いに自分の勉強や趣味に集中している時間以外は、二人で何かしら楽しそうに遊んでいます。「ずっと家に子どもがいるけど、普段何してるの?」「年の離れたきょうだいが一緒に遊ぶって珍しいのでは?」と聞かれることもあるので、今回は彼らの日常の一端をご紹介したいと思います。
監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。
現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
大学院生の兄と自宅学習中の妹
わが家のASD(自閉スペクトラム症)きょうだい、お兄ちゃんのタケルは修士課程の2年生です。朝早くフィールドワークに出かけ、昼頃には帰宅します。授業がある日は午後から大学に行くこともありますが、家が近いこともあって授業が終わればすぐに帰宅し、データ入力や分析を繰り返しています。
妹のいっちゃんは通信制高校の3年生。睡眠障害があるため起床時間が不規則ですが、勉強も趣味のゲームも自宅でできるため、外出する機会は少なめです。
ただし、習い事に通ったり私の買い物に同行したりすることもあるので、「外に出たくない」というわけではなく、「暇だから街に出かける」という発想がないだけのようです。
そんな二人は、必然的に家に同時にいることが多くなります。
それは遊びなのか?お兄ちゃんの「カテキョごっこ」
よく見かける二人の「遊び」は、いっちゃんがタケルに何かを教えてもらう場面です。内容は数学や漢字などの勉強に限らず、役に立たないけれど面白い雑学が多いです。こうした雑学こそ、子どもたちにとっては楽しいようです。
タケルの話し方には、ASD特有の早口や長いセンテンスという特徴がありますが、同じASDのいっちゃんはそれを気にせず、身振り手振りを交えて楽しそうに聞いています。
「私は説を言います」きょうだいで検証
タケルが話題を振ることもあります。それはたいてい「私は説を言います」という言葉で始まります。もちろん、取り立てて大きな「説」ではないのですが……。
いっちゃんは兄の考えたネタを手早く画像や音楽に落とし込み、それをタケルが自身のSNSの掲示板に投稿することもあります。その反応やコメントを二人で楽しむのが日常です。