「叱りたくないけど、叱るしかない…」苦悩した発達障害息子への関わり。児童相談所の介入がわが家の転機に

ライター:もっつん
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こんにちは、もっつんです。息子のタクはASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けています。私自身もアラフォーになってから発達障害の診断を受けました。
今でこそ仲良しな家族ですが、ここに来るまでたくさんの苦労を乗り越えてきました。親子で発達障害があり、ステップファミリー特有の悩みもあります(下の娘は再婚相手との間に授かった子どもです)。今回は今までの失敗や叱り方で気をつけていることや、親のメンタルについて考えてみます。

監修者初川久美子のアイコン
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

道路に飛び出す、物を壊す…強く叱ることで命を守ろうとしていた幼少期

道路に飛び出す、物を壊す……強く叱ることで命を守ろうとしていた幼少期
道路に飛び出す、物を壊す……強く叱ることで命を守ろうとしていた幼少期
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タクが発達障害の診断を受けたのは小学校1年生の終わり頃のことで、それまでは落ち着きがなくてトラブルが多いのはしつけの至らなさが原因だと思っていました。物心がつく頃から、考えるよりも体が先に動いてしまうタクは、周りの同世代のお子さんよりも手がかかることが多くて、発達に違和感をおぼえていました。

ですが、3歳児健診の際に相談しても保健師さんに「考えすぎですよ」と言われ、発達障害の可能性を消してしまいました。幼稚園では集団行動に参加できずに先生に負担をかけることが心苦しくて、常に申し訳ない気持ちでいました。公園に遊びに行った時には、知らない子のおもちゃや三輪車を勝手に使おうとするのでタクを連れて歩くことに負担を感じていた時期もありました。

何度も何度も目を見ながら注意したり語りかけたり、遊びに行く前にお約束をしたりと接し方を試していたけれど、毎回のようにトラブルを起こしてしまう……。そのうち私は、親としての無力感やイライラが募っていきだんだん叱り方がきつくなっていきました。特に急に走り出す癖には困らせられました。気になるものがあると周りが見えなくなって走り出してしまうので、道路を歩く際は気が抜けませんでした。何度言葉で説明してもなかなか変わらないので、命に関わるような危険な行動をした際は強く叱るようになりました。

義母に言われた「ママは怒らないもんね」にショック

私は甘いのかな?と悩むきっかけの一つになりました
私は甘いのかな?と悩むきっかけの一つになりました
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それでも、なかなかタクの行動は変わりませんでした。周りに迷惑をかけているのが親としてとても腹立たしかったです。このままだとタクは皆から嫌われてしまうかもしれない……!という心配がどんどん大きくなっていきました。根気強く注意していた私でしたが、周りから見たらタクは「問題がある」と思われるようになっていました。

パパも積極的にタクの育児に関わってくれていましたが、どうしてもパパが叱ると「私が」ストレスを感じてしまっていました。私の連れ子であるタクをパパが叱ることに、何故か嫌悪感が湧いてくるのです。叱ってくれてありがたい気持ちと同時に、私の子を叱らないで!という理不尽な怒りが湧いてきていました。とても身勝手な考えではありましたが、可愛いわが子を自分以外の人に叱られたくない!という気持ちから、私一人で背負う!という考えになっていきました。でも、現実には問題行動を減らすことができずに無力感を感じていました。

そしてある日、同居していた義母に言われました。「タクには困っちゃうね、ママは全然怒らないもんね」と。義母の目の前で孫を強く叱るのを見ると気分も悪くするかもしれないと思い、気を遣ってきつく叱らなかった私でしたが、まさかそんな風に思われていただなんて……!とてもショックだったし、もっと叱らなきゃいけないのかと暗闇の崖に突き落とされたような気分になりました。

児童相談所への通報から一時保護されることに…

タクの問題行動を減らしたい一心でした
タクの問題行動を減らしたい一心でした
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それから学校や学童でトラブルを起こすたびに、以前よりも強く叱るようになりました。タクが発達障害があると診断されてからは、「タクの行動は特性から来るもの」と分かってはいましたが、少しでもタクに伝わればいいなと思っていたのです。それはパパも同じで、いつの間にかタクが問題行動を起こす度に夫婦そろって強く叱るようになっていきました。丁寧に話をすると、タクはこちらの意図をやっと理解してくれます。しかし、また翌日に同じ間違いを起こすこともしばしばありました。

当時の私は「特性だから悪気はないと分かっている……叱りたくないけど、叱るしかない」と思い込み、その考えを抑えられずに苦しんでいました。パパは「特性だからすぐに変わることは難しいかもしれないけど、少しでも親の考えを伝えたい」と感じていたようです。しかし……タクが4年生になったある日。私たちの様子を見た方が児童相談所に通報し、タクが一時保護されるというつらい体験をしました。
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