「特別支援学校一択」年長5月から始めた就学準備。喜び、モヤモヤ、わずかな寂しさも

ライター:かさはらあやこ
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お久しぶりです!前回の記事から3年が経ちました。
息子は2025年4月で特別支援学校の2年生に進級しました。今回は、息子の就学について当時の気持ちを振り返りたいと思います。

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

特別支援学校一択だった わが家の進路選択

特別支援学校一択のため、悩むことはありませんでした
特別支援学校一択のため、悩むことはありませんでした
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発達障害と一口に言っても、子どもによって特性や困りごとはさまざまです。そのため、通常学級・特別支援学級・特別支援学校のどれを選ぶか悩む方も多いでしょう。しかし、わが家の場合は、悩む余地はなく特別支援学校一択でした。

息子は1歳半から療育に通い、知的障害(知的発達症)を伴う典型的なASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。地方の田舎に住んでいることもあり、療育園などもなく、福祉サービスは最低限。専門的な知識を得るのも難しく、育児は手探り状態。

幼少期は本当に大変で、「この子が安心して通える場所はどこか?」と考えたとき、特別支援学校以外の選択肢は思い浮かびませんでした。そのため、周囲が〝ラン活〟を始める頃も、「ランドセルは必要ない」と、特に動くこともなく過ごしていました。

ぼーっとしすぎていた就学準備

特別支援学校へ見学に行ってみると
特別支援学校へ見学に行ってみると
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年長になった2023年5月。「特別支援学校に入学するにはどうしたらいいんだろう?」と、ふと疑問に思い、児童発達支援の先生に相談しました。

「一度、特別支援学校を見学してみては?」と言われ、すぐに連絡。5月末、息子と二人で特別支援学校を訪れました。就学相談も行ってくれるということで、これまでの生育歴を簡単にまとめたものを用意していきました。

特別支援学校に到着し、玄関に入り、先生の表情を見た瞬間に安心感を覚えました。息子もそれを感じたのか、警戒心が強いはずなのにすんなり校舎へ。私がコーディネーターの先生と話している間も、ほかの先生と落ち着いて過ごせていました。

校内を歩いているときに、走り出した息子が校長室に入ってしまったとき、笑いながら校長先生が、「もう明日からおいで!」と声をかけてくれました。息子のことで毎日のように「すみません、すみません」と頭を下げてばかりだった私にはまるで天国のようで、「ここしかない」と確信しました。

就学相談で感じたモヤモヤ

モヤモヤした就学相談
モヤモヤした就学相談
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10月、教育委員会との第1回目の就学相談がありました。「お住まいの学区の小学校は見学しましたか?」と聞かれ、「していません」と答えながら、頭の中では特別支援学校以外の選択肢がないのに、なぜそんな質問を?と疑問に思いました。

どうやら町立小学校と都道府県立特別支援学校で教育委員会が異なるため、慎重に審議する必要があるとのこと。わが子のような重度の場合は、町(園や役所、町の教育委員会の間)で事前に情報共有が行われる仕組みがあると効率的だし、お互いにとって良いのではないか?と少し腑に落ちない気持ちが残りました。

さらに、就学時健診についても尋ねると、「特に配慮はないが、皆受けるので行ってほしい」とのこと。そして迎えた10月中旬の就学時健診当日。息子は案の定、検査など受けられずに逃げ回り、会場内を走り回って、ほかの人の検査を中断させる場面も。謝り続けた私に、係の人が冷たく「あの、別に受けなくても大丈夫なので。気になることがあれば個人で受診してください」と一言。

「あ、……はい、ソウデスネ」と答え、「いっちゃん、ごめんね!最初から来なきゃよかったね!」と息子に声をかけ、周囲がシーンとなるなか、会場を後にしました。毎年、こんなことが全国で行われているとしたら、大問題だと思いました(ちなみに、その後は少しずつ配慮されるようになったそうです)。
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