大げさ?と迷っていた児童精神科に障害者手帳取得を見据えて受診。ところが医師の診断は…【読者体験談】
ライター:ユーザー体験談

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現在小学校2年生の息子がいます。おしゃべり好きで人なつっこいですが、不安感が強く、聴覚過敏・触覚過敏があります。小学校1年生の冬、「この程度で病院にかかるなんて、もしかして大げさ?」と思いながら、児童精神科を初めて受診しました。すると、医師から鋭い分析をされて目から鱗で……。その際の具体的なやりとりをご紹介します。どなたかの参考になれば嬉しいです。
【発達ナビではユーザーさんからの子育てエピソードを募集中!今回は「かかりつけ医」についてのエピソードをご紹介します】

監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
「この程度で病院にかかるなんて、もしかして大げさ?」児童精神科受診への迷い
息子は現在7歳11ヶ月です。おしゃべり好きで人なつっこい性格ですが、不安感が強く、聴覚過敏・触覚過敏があります。6歳で受けた新版K式発達検査では全領域DQ82、7歳2ヶ月で受けたWISC-Vでは全検査IQ95という結果でした。
特別支援学級(私の住んでいる自治体は、特別支援学級に進む際、診断書やWISCの結果の提出は必要ありませんでした)や放課後等デイサービス、学童でも問題なく過ごせており、特に大きなトラブルがあったわけではありませんでした。そのため、通院を始めるまでは「この程度で児童精神科を受診するなんて、もしかして大げさ?」という迷いがありました。
ただ、私自身が育児に疲れを感じることが増えていたこと、そして何か現状を良くする手がかりを見つけられればという思いから、小学校1年生の冬、精神障害者保健福祉手帳取得を見据えて児童精神科を受診することにしました。
「手帳取得を見据えて」と書くとしっかり計画をたてていた……という印象を与えてしまうかもしれませんが、そこまできちんと考えていたわけではありません。「取れれば便利かも?」くらいの感覚でした。また、これまで息子に発達特性があるとは思っていたものの、病院での正式な診断を受けたことがなかったことも、受診を決意する理由の一つでした。
この体験談では、息子の受診の様子と、先生からいただいたコメントなど詳しくお話しさせていただきます。
特別支援学級(私の住んでいる自治体は、特別支援学級に進む際、診断書やWISCの結果の提出は必要ありませんでした)や放課後等デイサービス、学童でも問題なく過ごせており、特に大きなトラブルがあったわけではありませんでした。そのため、通院を始めるまでは「この程度で児童精神科を受診するなんて、もしかして大げさ?」という迷いがありました。
ただ、私自身が育児に疲れを感じることが増えていたこと、そして何か現状を良くする手がかりを見つけられればという思いから、小学校1年生の冬、精神障害者保健福祉手帳取得を見据えて児童精神科を受診することにしました。
「手帳取得を見据えて」と書くとしっかり計画をたてていた……という印象を与えてしまうかもしれませんが、そこまできちんと考えていたわけではありません。「取れれば便利かも?」くらいの感覚でした。また、これまで息子に発達特性があるとは思っていたものの、病院での正式な診断を受けたことがなかったことも、受診を決意する理由の一つでした。
この体験談では、息子の受診の様子と、先生からいただいたコメントなど詳しくお話しさせていただきます。
初受診。想像以上に支離滅裂だった息子の反応にびっくり
現在、通院を始めて約4ヶ月で、その間に5回ほど通いました。親子で受診するパターンと、子どもは別室で待機して保護者と先生の2人で話すパターンが交互にある感じです。
最初は親子での受診でした。先生から「お母さんは口を挟まないでね」と強く言われ、先生と息子だけで話すのを見守りました。
先生は最初「今日はなんで、ここに来たの?」と息子に聞きました。受診は、息子自身が何かに困っていたからというよりは、私側の都合だったので、息子には「学校で困ってることや嫌なことがあるようなら、先生が聞いてくれるから話してみてね」程度しか伝えていませんでした。そのため、息子は先生の問いかけの意味が理解できず、しかも先生からは質問に答えやすくなるような補足説明はなかったため、普段の数倍落ち着きを失いました。椅子からずり落ちそうな姿勢で、隣に座っていた私のカーディガンに顔をうずめたり、私のカバンの中を探って、中に入れていたお菓子を取り出そうとしていました。
最初は親子での受診でした。先生から「お母さんは口を挟まないでね」と強く言われ、先生と息子だけで話すのを見守りました。
先生は最初「今日はなんで、ここに来たの?」と息子に聞きました。受診は、息子自身が何かに困っていたからというよりは、私側の都合だったので、息子には「学校で困ってることや嫌なことがあるようなら、先生が聞いてくれるから話してみてね」程度しか伝えていませんでした。そのため、息子は先生の問いかけの意味が理解できず、しかも先生からは質問に答えやすくなるような補足説明はなかったため、普段の数倍落ち着きを失いました。椅子からずり落ちそうな姿勢で、隣に座っていた私のカーディガンに顔をうずめたり、私のカバンの中を探って、中に入れていたお菓子を取り出そうとしていました。
その日息子はゲームのキャラクター柄のトレーナーを着ていたので、先生が「そのゲーム、好きなの?」と息子が話しやすそうな話題を振ってくれました。普段なら、待ってましたとばかりに自分の好きなゲームについて語り出す場面だったはずですが、このときは「今日は学童休んだ」とか「(私のカバンの中には)ママの飴があるんだよ」とか、先生の声かけとは関係のない話を脈絡なくし、その日の診察は終わりました。
児童発達支援や放課後等デイサービス、特別支援学級の先生とは違って、児童精神科の先生は息子が話しやすいように誘導したりしなかったからなのか、息子の話は普段よりもさらに支離滅裂で、ちょっとびっくりしました。ただ、先生は息子に対して驚いたりいらだったりした様子をまったく見せなかったため、息子はうまく話せなかったことを気にしてはいませんでした。「病院だったけど、注射されなくて良かった!」とむしろ前向きな反応で、病院をあとにしたのでした。
児童発達支援や放課後等デイサービス、特別支援学級の先生とは違って、児童精神科の先生は息子が話しやすいように誘導したりしなかったからなのか、息子の話は普段よりもさらに支離滅裂で、ちょっとびっくりしました。ただ、先生は息子に対して驚いたりいらだったりした様子をまったく見せなかったため、息子はうまく話せなかったことを気にしてはいませんでした。「病院だったけど、注射されなくて良かった!」とむしろ前向きな反応で、病院をあとにしたのでした。
医師が分析した息子の発達課題。そして診断は……
次の回の診察で、先生と私だけでお話した際、初診での息子の様子からどのような発達課題が読み取れるかといった解説を聞くことができ、とても勉強になりました。
まず先生は「前回の診察の様子を見て、どう思いましたか?」とおっしゃいました。私が「ここまで落ち着きがないのは久しぶりだなと思いました。いつもはおしゃべりが上手だと思っていたのですが、初診の日は全然違う様子だったのに驚きました」と答えると、先生が驚くべき解説をしてくれました。
「診察では息子さんの『生』の状態を知りたかったので、あえて質問の補足などをしなかったんです。小1くらいになってくると、こうした情報のない状態でも、相手が何を求めているかを推測しながら、それに合った答えを言ったり、わからない所を尋ねたりできるようになってくるのですが、息子さんは相手の意図の読み取りに苦手さがあるので、不安になって、じっとしていられなかったんだと思います」
さらに、息子が「だめだと分かってるのに、いつもバッグの中のお菓子が気になっちゃって…」と言ったことについて、「息子さんなりに『自分で自分をコントロールできなくて困ってる』『そう感じることがよくある』ということを伝えていたように思えました」と説明されました。私はそんな発言をしたことをすっかり忘れていたのですが、先生はそういうところを見ているのかと驚きました。
事前に詳細な問診票を提出していたこともあり、「本来なら診断名をお伝えするまでに診察に半年くらいかかります。ですが問診票に必要な情報が詳細に入っていることや前回の診察の様子を見ると、息子さんにはASD(自閉スペクトラム症)特性があることはほぼ言えると思います」と言われました。結果、7歳7ヶ月でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けることになりました。
まず先生は「前回の診察の様子を見て、どう思いましたか?」とおっしゃいました。私が「ここまで落ち着きがないのは久しぶりだなと思いました。いつもはおしゃべりが上手だと思っていたのですが、初診の日は全然違う様子だったのに驚きました」と答えると、先生が驚くべき解説をしてくれました。
「診察では息子さんの『生』の状態を知りたかったので、あえて質問の補足などをしなかったんです。小1くらいになってくると、こうした情報のない状態でも、相手が何を求めているかを推測しながら、それに合った答えを言ったり、わからない所を尋ねたりできるようになってくるのですが、息子さんは相手の意図の読み取りに苦手さがあるので、不安になって、じっとしていられなかったんだと思います」
さらに、息子が「だめだと分かってるのに、いつもバッグの中のお菓子が気になっちゃって…」と言ったことについて、「息子さんなりに『自分で自分をコントロールできなくて困ってる』『そう感じることがよくある』ということを伝えていたように思えました」と説明されました。私はそんな発言をしたことをすっかり忘れていたのですが、先生はそういうところを見ているのかと驚きました。
事前に詳細な問診票を提出していたこともあり、「本来なら診断名をお伝えするまでに診察に半年くらいかかります。ですが問診票に必要な情報が詳細に入っていることや前回の診察の様子を見ると、息子さんにはASD(自閉スペクトラム症)特性があることはほぼ言えると思います」と言われました。結果、7歳7ヶ月でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けることになりました。
