「衝動に勝てない」「ルールを守れない」発達障害息子のスマホ管理。主治医にも相談して決めたわが家のルール
ライター:もっつん

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息子のタクにはASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)があり、現在は全日制の工業系高校に通っています。
今回は、そんなタクの「スマホとの付き合い方」について。デジタル機器が日常の一部となっている今、どう使いどう管理するかはとても大きな課題ですよね。スマホを持たせた経緯や、失敗と対策を振り返ってみたいと思います。

監修: 森 しほ
ゆうメンタル・スキンクリニック理事
ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックにて勤務。産業医として一般企業のケアも行っている。
・ゆうメンタルクリニック(上野/池袋/新宿/渋谷/秋葉原/品川/横浜/大宮/大阪/千葉/神戸三宮/京都/名古屋):https://yuik.net/
・ゆうスキンクリニック(上野/池袋/新宿/横浜):https://yubt.net/
・横浜ゆう訪問看護ステーション(不登校、引きこもり、子育て中の保護者のカウンセリング等お気軽に):https://yokohama.yuik.net/shinyoko-houkan/
ついにスマホ購入!やっと手に入れることを決めたきっかけ
タクがスマホを持ったのは中学3年生の卒業間近のお正月でした。周りの子がどんどんスマホを持ち始める中で、うちはかなり遅めのスタート。
理由はシンプルで「依存が怖かったから」です。発達障害のあるタクはのめりこみやすい特性があり、今までのゲームとの付き合い方を思うと「スマホに依存して生活や勉強に悪影響がありそう」だと夫婦で意見が一致していて、与えるのを先延ばししていました。
でも、中3の冬にはついにクラスでスマホを持っていないのがタクだけになってしまって……。このままずっと親が管理し続けるわけにもいかない。いずれ自分でスマホを手に入れて自由に使う日が来るのなら、今のうちに「スマホとの付き合い方」を教えるべきなんじゃないか―そんな気持ちが芽生えてきました。
「持たせない」ことに限界を感じ「どうしたら共存できるか」を意識しました。
理由はシンプルで「依存が怖かったから」です。発達障害のあるタクはのめりこみやすい特性があり、今までのゲームとの付き合い方を思うと「スマホに依存して生活や勉強に悪影響がありそう」だと夫婦で意見が一致していて、与えるのを先延ばししていました。
でも、中3の冬にはついにクラスでスマホを持っていないのがタクだけになってしまって……。このままずっと親が管理し続けるわけにもいかない。いずれ自分でスマホを手に入れて自由に使う日が来るのなら、今のうちに「スマホとの付き合い方」を教えるべきなんじゃないか―そんな気持ちが芽生えてきました。
「持たせない」ことに限界を感じ「どうしたら共存できるか」を意識しました。
好奇心が爆発‼︎執念のセキュリティ突破事件
スマホを持たせると、タクは大喜び!友だちと連絡先を交換して、怒涛のメッセージ交換が始まりました。利用時間は21時までと決めていたのですが「友だちと通話の途中だった!最後におやすみって言いたいからあと5分伸ばして〜!」と毎日のように催促するようになりました。楽しいのは分かるけど、時計を見ながら会話を調整してスマホを使いこなすのはやっぱり子どもには難しいんだなと思いました。
そして細かいアプリの利用時間などを制限する「見守りアプリ」を使おうとしたのですが、これが想像以上にややこしくて……。夫は設定画面とにらめっこしながら何度も失敗し、私は「もう面倒くさいなぁ」と思ってしまうほど。一応、親として最低限のルールは決めていたし、もう高校生になるんだから自律していってほしいという気持ちもあって、細かい制限などはわりと緩めにしていました。
ところが後日スマホを確認すると、タクはセキュリティを自分で解除して、友だちと深夜まで連絡を取り合っていたりゲームアプリをいくつもダウンロードしていたんです。
「どうせ、あとからバレるのに、なんで我慢できないの!?」目の前にある興味や好奇心を前にすると、リスクやルールがすっぽ抜けてしまう、その場の「やってみたい!」という衝動に抗うことは、本人にとっては本当に難しい……これが特性なのだと分かっていましたが、親として頭が痛いことでした。
幸い、夫と私で別々のセキュリティアプリを入れていたため、早めに対処できて大きなトラブルにはならずに済みました。ただそのとき「やっぱり本人任せでは危ないな」と痛感したのは確かです。
そして細かいアプリの利用時間などを制限する「見守りアプリ」を使おうとしたのですが、これが想像以上にややこしくて……。夫は設定画面とにらめっこしながら何度も失敗し、私は「もう面倒くさいなぁ」と思ってしまうほど。一応、親として最低限のルールは決めていたし、もう高校生になるんだから自律していってほしいという気持ちもあって、細かい制限などはわりと緩めにしていました。
ところが後日スマホを確認すると、タクはセキュリティを自分で解除して、友だちと深夜まで連絡を取り合っていたりゲームアプリをいくつもダウンロードしていたんです。
「どうせ、あとからバレるのに、なんで我慢できないの!?」目の前にある興味や好奇心を前にすると、リスクやルールがすっぽ抜けてしまう、その場の「やってみたい!」という衝動に抗うことは、本人にとっては本当に難しい……これが特性なのだと分かっていましたが、親として頭が痛いことでした。
幸い、夫と私で別々のセキュリティアプリを入れていたため、早めに対処できて大きなトラブルにはならずに済みました。ただそのとき「やっぱり本人任せでは危ないな」と痛感したのは確かです。
“自制心に期待しすぎない”という学び
そんなことがあってから、改めて家庭でのスマホルールを見直すことにしました。そして、小児神経科の主治医の先生にも相談したところ、こんなアドバイスをいただきました。
「特性のある子の場合、自制心に期待するよりも、環境を整えてあげることのほうがずっと大事。親の管理は必須ですよ」この言葉には、本当にハッとさせられました。
正直、それまでは「もうすぐ高校生なんだし、ある程度は自分で責任を持ってほしい」「親がいつまでも管理するのって過保護すぎ?」と迷っていた部分もあったんです。でもタクにとってスマホという刺激の強いツールは、自分だけの力で適切に使いこなすには、まだハードルが高い。大人でも、寝る前にちょっと見るつもりだったSNSを気づけば1時間見てた……なんてこと、ありますよね。それがタクの場合は、さらに「衝動の強さ」や「時間感覚のズレ」も重なってくるので、なおさら難しい。
先生の言葉に背中を押されるような気持ちになって、「親が先回りして失敗を減らすことは、甘やかしじゃない」と安心できました。それからはルールも見直して、
・21時以降はリビングで充電して、使えないようにする
・不必要なアプリはそもそも利用制限をかける
・ルールを破ったらスマホ没収、場合によって解約
など、タクも交えて家庭内のルールを決め、大きな紙に書いてリビングに貼り出しました。
「特性のある子の場合、自制心に期待するよりも、環境を整えてあげることのほうがずっと大事。親の管理は必須ですよ」この言葉には、本当にハッとさせられました。
正直、それまでは「もうすぐ高校生なんだし、ある程度は自分で責任を持ってほしい」「親がいつまでも管理するのって過保護すぎ?」と迷っていた部分もあったんです。でもタクにとってスマホという刺激の強いツールは、自分だけの力で適切に使いこなすには、まだハードルが高い。大人でも、寝る前にちょっと見るつもりだったSNSを気づけば1時間見てた……なんてこと、ありますよね。それがタクの場合は、さらに「衝動の強さ」や「時間感覚のズレ」も重なってくるので、なおさら難しい。
先生の言葉に背中を押されるような気持ちになって、「親が先回りして失敗を減らすことは、甘やかしじゃない」と安心できました。それからはルールも見直して、
・21時以降はリビングで充電して、使えないようにする
・不必要なアプリはそもそも利用制限をかける
・ルールを破ったらスマホ没収、場合によって解約
など、タクも交えて家庭内のルールを決め、大きな紙に書いてリビングに貼り出しました。
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