自閉症息子の「できない」が「やりたい」へ変わった!カードゲームで芽生えた自信
ライター:星あかり

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ASD(自閉スペクトラム症)のスバルはカードゲームやボードゲームやスポーツのルールをすぐに理解するのが苦手です。ババ抜きや神経衰弱のような淡々と同じことを繰り返すゲームはすぐに理解し楽しめたのですが、出たカードによってルールが変則的になったり、臨機応変に判断しないといけないゲームはすぐに理解することが難しいです。
自分でも自覚があり、恥ずかしさやあきらめからカードゲームなどの輪に加わることを避けてきました。
そんなスバルに変化が……。

監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。
現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
ゲームのルール理解へのつまずき
スバルには基本的に教科書通りの年齢相応のおもちゃを買ってきました。そして年齢相応のおもちゃで年齢相応に遊び、スクスクと成長しました。しかしババ抜き、神経衰弱、カルタ、すごろくをクリアしたあたりから少し歩みが遅くなりました。どうやら条件によってルールが変則的になったり、心理戦的要素、戦略、臨機応変な判断など複雑化したルールにつまずいているようでした。
スバルの場合、日常生活でも曖昧なルールに臨機応変に行動することが苦手だったので、それが関係しているのかもしれません。そして言葉の裏や空気感なんて考えず、言葉を言葉の通りに受け取るスバルにとって、相手の狙いを読んだり駆け引きをするなんてことはもちろん苦手です。それを思えば仕方のないことなのかなと思いました。
何度も何度も繰り返し教えたら理解することができますが、DCD(発達性協調運動症)の不器用さもあってすごろくやカルタで遊んでいた時のようには楽しめていないようでした。まあゲームはスバルの成長に合わせてのんびりやっていこうと思いました。
スバルの場合、日常生活でも曖昧なルールに臨機応変に行動することが苦手だったので、それが関係しているのかもしれません。そして言葉の裏や空気感なんて考えず、言葉を言葉の通りに受け取るスバルにとって、相手の狙いを読んだり駆け引きをするなんてことはもちろん苦手です。それを思えば仕方のないことなのかなと思いました。
何度も何度も繰り返し教えたら理解することができますが、DCD(発達性協調運動症)の不器用さもあってすごろくやカルタで遊んでいた時のようには楽しめていないようでした。まあゲームはスバルの成長に合わせてのんびりやっていこうと思いました。
自分だけゲームなどのルールが分からない
しかし家庭の中だけでなく幼稚園でも新しい遊びが登場します。
もともと先生が全体に対して話した指示が通りにくい特性があるスバルにとって、「先生がクラスのみんなに向かってルールを説明した初めてするゲーム」の理解は難しく、みんなが初見で遊ぶ中スバルはいつも右往左往していました。そんなことを積み重ね、スバルは「自分だけゲームなどのルールが分からない」と自覚するようになりました。そしていつしかスバルは大勢でするゲームを避けるようになりました。
小学生になってもそれは変わらず、すでにルールを理解しているすごろくや神経衰弱の輪には加わりましたが初見のゲームが始まると「ちょっと休憩」と言ってふらりと離れて行きました。そんな中、小学3年生の時にモンスターをゲットするテレビゲームにどハマりし、なんとモンスターをコンプリートするという偉業を成し遂げました。
攻略本や攻略サイトを参考にしながらモンスター同士の相性や戦略を考えてバトルし、さまざまな条件を満たしながら仲間を進化させ、世界中を旅しながら自らも成長するゲームです。それって初見でオセロするよりも絶対に難しくない?と思いました。ルールの理解自体は人より時間がかかるのかもしれませんが、本当はもう、私やスバル本人が思っているよりも楽しくゲームに参加できるようになっているのではないかと思いました。
そこで夫が「今なら絶対に食いつくはず」と、そのモンスターゲームのカードゲームを買ってきました。60枚のカードを使ってモンスターを戦わせ、1対1でバトルします。カードの中にはそれぞれ効果が違うサポートカードやアイテムカードがあり戦略や臨機応変な判断が必要なゲームです。しかし大好きなキャラクターのカードには興味を示したものの、夫からの「お父さんとバトルしようぜ」の誘い虚しくカードゲームをしようとはしませんでした。
スバル本人がカードゲームやボードゲームの輪に加わることをトラウマのように感じていて「ぼくにはできない」と思っているようでした。
もともと先生が全体に対して話した指示が通りにくい特性があるスバルにとって、「先生がクラスのみんなに向かってルールを説明した初めてするゲーム」の理解は難しく、みんなが初見で遊ぶ中スバルはいつも右往左往していました。そんなことを積み重ね、スバルは「自分だけゲームなどのルールが分からない」と自覚するようになりました。そしていつしかスバルは大勢でするゲームを避けるようになりました。
小学生になってもそれは変わらず、すでにルールを理解しているすごろくや神経衰弱の輪には加わりましたが初見のゲームが始まると「ちょっと休憩」と言ってふらりと離れて行きました。そんな中、小学3年生の時にモンスターをゲットするテレビゲームにどハマりし、なんとモンスターをコンプリートするという偉業を成し遂げました。
攻略本や攻略サイトを参考にしながらモンスター同士の相性や戦略を考えてバトルし、さまざまな条件を満たしながら仲間を進化させ、世界中を旅しながら自らも成長するゲームです。それって初見でオセロするよりも絶対に難しくない?と思いました。ルールの理解自体は人より時間がかかるのかもしれませんが、本当はもう、私やスバル本人が思っているよりも楽しくゲームに参加できるようになっているのではないかと思いました。
そこで夫が「今なら絶対に食いつくはず」と、そのモンスターゲームのカードゲームを買ってきました。60枚のカードを使ってモンスターを戦わせ、1対1でバトルします。カードの中にはそれぞれ効果が違うサポートカードやアイテムカードがあり戦略や臨機応変な判断が必要なゲームです。しかし大好きなキャラクターのカードには興味を示したものの、夫からの「お父さんとバトルしようぜ」の誘い虚しくカードゲームをしようとはしませんでした。
スバル本人がカードゲームやボードゲームの輪に加わることをトラウマのように感じていて「ぼくにはできない」と思っているようでした。
カードゲームで友だちと遊びたい!スバルの変化
それから特にカードゲームを強要することもなく3年が経ち、6年生になったある時。放課後等デイサービス(放デイ)でそのカードゲームが流行しました。もちろんスバルは見ているだけでしたが、どうしても人数が足りなくてバトルの席に座ることになりました。その時は言われるがままカードを動かし、勝ったのか負けたのかも分からないまま終わったそうです。
そして家に帰って来てから「ルールが分からないと面白くないから、ルールを覚えたい」と言いました。まかせて!すでにカードは家にあるからいつでもバトルできるよ!今すぐ始めよう!スバルの気が変わらないうちにものすごいスピードでカードを広げバトルを開始しました。
私や夫も初心者なので3人で動画を見ながらルールを確認し、2回、3回とバトルを繰り返すうちにだいたいのルールを把握し、さらに何度もバトルを繰り返すことで細かいルールも覚えていきました。私も初めてするゲームでしたが、これがなかなか面白く、おとなげなく本気で勝負するので毎回私が勝っていました。そして1週間毎日バトルを繰り返し、スバルが私と夫に1勝ずつしたあと、自信に満ちあふれた顔で「明日、放デイでバトルに参加してくる」と言いました。
行ってこい!免許皆伝じゃ!
そして家に帰って来てから「ルールが分からないと面白くないから、ルールを覚えたい」と言いました。まかせて!すでにカードは家にあるからいつでもバトルできるよ!今すぐ始めよう!スバルの気が変わらないうちにものすごいスピードでカードを広げバトルを開始しました。
私や夫も初心者なので3人で動画を見ながらルールを確認し、2回、3回とバトルを繰り返すうちにだいたいのルールを把握し、さらに何度もバトルを繰り返すことで細かいルールも覚えていきました。私も初めてするゲームでしたが、これがなかなか面白く、おとなげなく本気で勝負するので毎回私が勝っていました。そして1週間毎日バトルを繰り返し、スバルが私と夫に1勝ずつしたあと、自信に満ちあふれた顔で「明日、放デイでバトルに参加してくる」と言いました。
行ってこい!免許皆伝じゃ!
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