お弁当箱の中身が腐る、「歯磨きしたよ」はウソ?発達障害息子の衛生観念が心配!わが家の改善策は
ライター:もっつん
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息子のタクにはASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)があり、現在は全日制の普通科高校に通っています。
タクは幼少期から衛生観念がうまく身についていないな……と思うことが度々あって親としては頭を抱えてきました。お弁当箱や水筒は、何度も中身を腐らせてしまいいくつダメにしたか分かりません。そんな衛生観念のゆるさは発達障害の特性が関わっている部分があると知り、わが家が行った対策などを振り返りたいと思います。
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
弁当箱の中身が…布団は食べかすでダニの温床!衝撃の衛生観念
清潔を保つことや身の回りを整えることに苦手さがあるのは、発達障害のある子どもによく見られる困りごとだと言われています。うちのタクも、日々さまざまな「衛生トラブル」を巻き起こしてくれました。
たとえば何度言っても直らなかったのが「弁当箱を出すのを忘れる」問題。タクが通った小学校では白ご飯をお弁当箱に入れて持参する日が週に3日ほどありました。その弁当箱を何度言っても出さない、持ち帰り忘れることが頻発しました。カバンの中から数日後に中身が腐った弁当箱が出てくることはもう珍しくなく……連休明けに出てきた、カビだらけの弁当箱を見て、家族で絶句したこともありました。水筒も同じで、使って洗わずにどこかに置き忘れたり、知らぬ間にバックの中でジュースがこぼれていたり……。
さらに衝撃的だったのが、食べかけのお菓子をベッドの下や引き出しの奥に隠すクセ。おそらく「あとで食べよう」という気持ちだったんだと思いますが、完全に忘れてしまうので、気づいた時にはカビたりダニが湧いたり……。「なんでこんなところに!?」と問い詰めても、タク自身は全く悪びれた様子もなく「え?そんなのあったっけ?」と他人事のような反応をするばかり。本人は“隠したこと”自体を記憶していないことが多くて、悪意やずるさだけではなく、ただただ注意や記憶が飛びやすい特性ゆえの行動なのだと感じました。
たとえば何度言っても直らなかったのが「弁当箱を出すのを忘れる」問題。タクが通った小学校では白ご飯をお弁当箱に入れて持参する日が週に3日ほどありました。その弁当箱を何度言っても出さない、持ち帰り忘れることが頻発しました。カバンの中から数日後に中身が腐った弁当箱が出てくることはもう珍しくなく……連休明けに出てきた、カビだらけの弁当箱を見て、家族で絶句したこともありました。水筒も同じで、使って洗わずにどこかに置き忘れたり、知らぬ間にバックの中でジュースがこぼれていたり……。
さらに衝撃的だったのが、食べかけのお菓子をベッドの下や引き出しの奥に隠すクセ。おそらく「あとで食べよう」という気持ちだったんだと思いますが、完全に忘れてしまうので、気づいた時にはカビたりダニが湧いたり……。「なんでこんなところに!?」と問い詰めても、タク自身は全く悪びれた様子もなく「え?そんなのあったっけ?」と他人事のような反応をするばかり。本人は“隠したこと”自体を記憶していないことが多くて、悪意やずるさだけではなく、ただただ注意や記憶が飛びやすい特性ゆえの行動なのだと感じました。
「歯磨きしたよ」が信じられない!そんなタクの変化は思春期に
わが家で最も頭を悩ませた衛生習慣の一つが、歯磨きでした。毎日「ちゃんと歯磨きしたよ!」と元気に言っていたタクでしたが、明らかに磨けていない見た目や口臭から「本当に!?」と確認することが何度もありました。私が「あれ?ほんとに磨いた?」と追及すると、タクは「うん!……たぶん……いや、どうだったっけ……」としどろもどろ。
その様子を見てると「ウソをついてる」というより、「磨いたって言ったから、きっと自分は磨いたんだろう」と自分の発言を現実の記憶だとすり替えようとしてるように見えるときもありました。歯磨きに限らず「やってないことをやったつもりで済ませてしまう」ということが度重なり、親としてはイライラしてしまうことも多かったです。
実は、幸か不幸か……タクはこれまで虫歯になったことが一度もなく、学校の歯科検診でも指摘されたことがありませんでした。そのため「自分は歯磨きをしなくても大丈夫なタイプ」と思い込んでいた部分があったように感じます。ですが実際には発達障害のある子どもは、特性などにより口腔トラブルが起きやすいとも言われていて油断できません。
歯ブラシを持つこと自体を面倒がっていた時期があったタクも、中学生になる頃から少しずつ変化が見られるようになりました。やはり、思春期になって周囲の目(特に異性)を気にするようになったことがかなり大きかったように思います。同級生が急にオシャレを始めたり、周りでお付き合いを始める子も出てきて、そんな周りに影響されたのだと思います。
最近では、ホワイトニング用の歯磨き粉を欲しがったり、身だしなみにも少しずつ気を配るようになってきました。「口が臭いのはヤバい!」と、本人が笑いながら話す場面もあり、私としてもようやくここまで来たんだな……と感慨深く感じています。
その様子を見てると「ウソをついてる」というより、「磨いたって言ったから、きっと自分は磨いたんだろう」と自分の発言を現実の記憶だとすり替えようとしてるように見えるときもありました。歯磨きに限らず「やってないことをやったつもりで済ませてしまう」ということが度重なり、親としてはイライラしてしまうことも多かったです。
実は、幸か不幸か……タクはこれまで虫歯になったことが一度もなく、学校の歯科検診でも指摘されたことがありませんでした。そのため「自分は歯磨きをしなくても大丈夫なタイプ」と思い込んでいた部分があったように感じます。ですが実際には発達障害のある子どもは、特性などにより口腔トラブルが起きやすいとも言われていて油断できません。
歯ブラシを持つこと自体を面倒がっていた時期があったタクも、中学生になる頃から少しずつ変化が見られるようになりました。やはり、思春期になって周囲の目(特に異性)を気にするようになったことがかなり大きかったように思います。同級生が急にオシャレを始めたり、周りでお付き合いを始める子も出てきて、そんな周りに影響されたのだと思います。
最近では、ホワイトニング用の歯磨き粉を欲しがったり、身だしなみにも少しずつ気を配るようになってきました。「口が臭いのはヤバい!」と、本人が笑いながら話す場面もあり、私としてもようやくここまで来たんだな……と感慨深く感じています。
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「出し忘れる」ことのデメリットを何度も体感させる、繰り返し作戦
タクの衛生面での困りごとには、家庭内でもいろいろと工夫をしてきました。何度言っても弁当箱や水筒を出し忘れてしまう件については、声かけに加えて高学年になる頃からは「夕飯後までにシンクに出さなかったものは自分で洗う」というルールを家庭内で決めて、徹底しました。
それでもやっぱり忘れてしまう日が多く、数日後にカバンから異臭のする弁当箱が出てくる……ということもありました。そういったときには、出さなかったタク自身がその弁当箱を洗うように促し、腐ったご飯の処理や弁当箱の漂白、ゴミ捨ての手順まで一緒に確認して覚えてもらうようにしました。
すぐに改善されるわけではありませんでしたが、何度も繰り返しながら「出さなかったら大変な思いをする」「出しておいたほうが自分が楽なんだ」という感覚をタク自身に体感してもらうことを意識して続けていきました。そうして完全にゼロにはなっていないものの、水筒の出し忘れなどはかなり減らすことができ、「あ、そうだった!」と自分で思い出して動ける場面も増えてきたように思います。
そして、もう一つの大きな課題だった歯磨きについては、“女子になりきって声かけする”という作戦も試しました。「え〜!?タクくん、歯みがきしてないの!? やだ〜!!」と、同級生の女の子風の言い方で話しかけると、本人はうわっと嫌がりながらも渋々歯磨きに向かうようになりました。思春期の男子にとっては、異性の目というのはやはりかなり大きなモチベーションになるのだなと実感しました。
それでもやっぱり忘れてしまう日が多く、数日後にカバンから異臭のする弁当箱が出てくる……ということもありました。そういったときには、出さなかったタク自身がその弁当箱を洗うように促し、腐ったご飯の処理や弁当箱の漂白、ゴミ捨ての手順まで一緒に確認して覚えてもらうようにしました。
すぐに改善されるわけではありませんでしたが、何度も繰り返しながら「出さなかったら大変な思いをする」「出しておいたほうが自分が楽なんだ」という感覚をタク自身に体感してもらうことを意識して続けていきました。そうして完全にゼロにはなっていないものの、水筒の出し忘れなどはかなり減らすことができ、「あ、そうだった!」と自分で思い出して動ける場面も増えてきたように思います。
そして、もう一つの大きな課題だった歯磨きについては、“女子になりきって声かけする”という作戦も試しました。「え〜!?タクくん、歯みがきしてないの!? やだ〜!!」と、同級生の女の子風の言い方で話しかけると、本人はうわっと嫌がりながらも渋々歯磨きに向かうようになりました。思春期の男子にとっては、異性の目というのはやはりかなり大きなモチベーションになるのだなと実感しました。