ゆっくりでも少しずつ身についた衛生観念

できるように気をつけることは大切なスモールステップ
できるように気をつけることは大切なスモールステップ
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タクの衛生観念に関しては、今でもちゃんと身についたとは言えません。部屋は散らかっていることが普通だし、鞄の中は常にゴミが入っていたり……。それでも声かけやルールの工夫を通して、「できない」から「できるように気をつける」に変わってきたのは、大きな一歩でした。

周りの子ではなくて過去のタクと比べると、成長したなと思う場面も増えてきました。発達障害がある子どもにとって、衛生管理や身の回りの清潔は単なるマナーや努力では済まない難しさがあります。だからこそ環境を整えたり、親が一緒に振り返ったり、ちょっとユニークな関わり方をしたり……時間をかけて少しずつ身についていく力も、きっとあると私は思っています。
執筆/もっつん

(監修:初川先生より)
高校生になったタクくんの衛生に関する歴史をありがとうございます。発達的な課題を持つお子さんに、衛生面での課題を持つ場合も多くありますね。そのあたりの知恵や工夫のシェアはあまり多くないように感じるので、今回のコラムがとても参考になる読者の方も多いだろうと思います。
「衛生観念のゆるさ」と書かれていましたが、そのあたりでいうと、弁当箱や水筒などの持ち物の管理、部屋の衛生、歯磨き、そしてもう少し幼いお子さんだと、鼻をほじることや指を舐めるなども課題となりやすい行動です。保護者が注意してもなかなか改善しなかったり、すべき行動が定着しなかったり。他意なく不注意ゆえにそうしたことが起きる場合も多いので、難しいところです。よくあるのは、できたらご褒美シールなどで強化かつ視覚的に確認しながらやっていく方法ですが、実際にはいつのまにかやらなくなってしまうこともあります。そういう意味で、本人が成長する中で、思春期を迎え、周りの目・異性の目を気にするようになって初めてできるようになること。また、自分で弁当箱を洗うということが(弁当箱出し忘れの代償だとしても)できるようになること。そうした成長を経て、ようやく改善してくる面もあるかと思います。「できるように気をつける」という本人の意識の変化を裏付けとした目標が出てくるのも、成長に感じました。一筋縄ではいかないからこそ、こうしてさまざまな知恵や工夫を皆さんでシェアしながら試行錯誤できるといいですね。
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https://h-navi.jp/column/article/35030650
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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