癇癪で大暴れ!?自閉症息子の「困りのサイン」とどう向き合う?家庭と小学校で実践した3つの工夫【読者体験談】

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現在12歳の息子は、4歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。これまでの子育ての中で、癇癪のピークを2回経験しました。今振り返ると、幼少期に私が息子の特性を十分に理解できていなかったことが、癇癪をエスカレートさせてしまった一因だったように思います。そんなわが家がどのようにして息子の癇癪や不登校という困りごとを乗り越え、息子の成長を支えてきたのか、その記録をお話しします。
【発達ナビではユーザーさんからの子育てエピソードを募集中!今回は「癇癪」についてのエピソードをご紹介します】

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

小学1年生、帰宅後の「大暴れ」が始まった

現在12歳の息子は、4歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。几帳面で真面目、時に怒りっぽいけれど優しい心の持ち主です。これまでの子育てで癇癪のピークを2回経験しました。今振り返ると、幼少期に私が息子の特性を十分に理解できていなかったことが、癇癪をエスカレートさせてしまった一因だったように思います。

最初の癇癪のピークは、息子が小学1年生の時でした。学校から帰ってくるなり奇声をあげて大暴れし、宿題をビリビリに破ることもありました。パニックになると部屋の物をひっくり返したり、椅子を投げつけたり、なかには頭を壁にぶつけるような行為も。癇癪の後は全身が筋肉痛になるようで、体の痛みを不安げに訴えていました。

ほんの些細なきっかけが火種となり、感情が爆発していくような状態でした。例えば、宿題をしているとき、書き間違えたところ消しゴムで消した拍子に別の部分まで消えてしまうと、それにイラッとした瞬間、これまで溜め込んできた我慢や不満、苛立ちが一気に噴き出すのです。そしてその後は、自分の怒りの世界に閉じこもってしまい、息子の目を見ても私が目に入らないかのように振る舞うのです。

そんな時、息子の癇癪を止めるには、同じくらいの大きな感情をぶつけるしかありませんでした。「わあっ」と大きな声で驚かせ、一瞬止まった隙に暴れている息子の動きを封じます。そして、「ごめんね、大丈夫だよ、息を吐いてフーッ」と声をかけ、落ち着かせてから、息子が私と目を合わせられるようになったところで、じっくり話し合う、というのがいつもの流れでした。

この状況を打開するため、発達支援の先生に相談をしました。

癇癪の原因を一つずつ紐解く。学校への配慮申し込み、家では「感情のラベリング」を開始

息子の強い癇癪の原因はなんなのか……。一つずつ見つけては対応を進めていきました。学校での配慮については、発達支援の先生が直接学校と話してくださいました。先生方には、息子にとって机の下が「安全基地」となることや、感覚過敏があり集団生活での音に疲れやすいことなどを理解していただきました。

これらの配慮によって、癇癪が完全になくなるわけではありませんでしたが、少し落ち着いたり、ほかの子とは違う行動であっても先生が対応してくれるようになりました。この「対応してくれた」という経験が、息子が先生を信頼できる人だと感じるきっかけになったと思います。

家庭では、「感情のラベリング」を意識し始めました。空腹時に癇癪を起こしやすいタイミングがあると分かったので、お腹がすいていそうだと気付いた時には「お腹がすいてるのかな?」と声をかけます。最初は「違う!」とさらに暴れることもありましたが、癇癪が落ち着いてから食事を摂ると落ち着くので、次第に「お腹が空いたからイライラしていたんだ」と自分で理解できるようになっていきました。
「お腹が空いたからイライラしていたんだ」と自分で理解できるように
「お腹が空いたからイライラしていたんだ」と自分で理解できるように
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小学3年生、担任の理解不足で不登校に

2回目の癇癪のピークは小学3年生の時でした。この時は、担任の先生の理解不足が原因で、息子は不登校気味になりました。

小学1、2年生では段階的に学校に慣れ、2年生の3学期には毎日学校で過ごせるようになっていました。しかし、3年生で担任になった先生へは、何度も息子の状況を伝えても「できているんだから大丈夫」という態度で、なかなか配慮してもらえなかったのです。私も泣きながら訴えたり、スクールカウンセラーに相談したりしましたが、状況は一向に改善されませんでした。

自分のしんどさが伝わらないことで、息子は学校に行くことが怖くなり、しばらく学校へ行けなくなってしまいました。人と会わない「負のループ」に陥ってしまい、日中の外出も嫌がるようになった息子。そんな時、思い切って夜に星空観察に出かけた際、たまたま別の学校の子どもたちと鬼ごっこをしました。息子の表情や言葉からは、本当に幸せな気持ちが溢れ出ていました。息子に友だちと一緒に遊べる場所をあげたい……と強く思いました。
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