孤独な公園遊びでのチャージ
心身ともに疲れ果てたとき、私は1人で、近所の木がうっそうと繁った大きな公園に行きました。それで、遊具にもたれてひたすら木漏れ日を見つめたり、モグラの巣の数を数えたり、アリの行列を1時間でも2時間でも見つめたりしていました。
木や土の香り、ひんやりと湿った空気、静かな木陰、虫の声、時折飛んできて、肩や指先に止まるトンボ。そういったものたちが私の疲れた心身を癒やしました。
いま思えば私にとって、自然は「言葉が必要なく、排除もコントロールもしてこず、静かで快適な環境を提供してくれ、無条件でそこにいていい」という、唯一の安心できる居場所でした。
こうして束の間の息抜きを楽しんでいるとき、何度か不審者に声をかけられたりしたこともあります。私がいま無事でいるのは単に幸運なだけなのかもしれません。
木や土の香り、ひんやりと湿った空気、静かな木陰、虫の声、時折飛んできて、肩や指先に止まるトンボ。そういったものたちが私の疲れた心身を癒やしました。
いま思えば私にとって、自然は「言葉が必要なく、排除もコントロールもしてこず、静かで快適な環境を提供してくれ、無条件でそこにいていい」という、唯一の安心できる居場所でした。
こうして束の間の息抜きを楽しんでいるとき、何度か不審者に声をかけられたりしたこともあります。私がいま無事でいるのは単に幸運なだけなのかもしれません。
2学期の絶不調
8月も20日を過ぎると、9月からの新学期を思ってだんだんと憂鬱になってきます。
2学期初日は無理やり起きてもまったく頭が動かないし、ちょっと歩いただけで足がだるくなり、息が上がるのでびっくり。
踵を返して家に帰りたくなる気持ちを必死に押し殺し、重い足を1歩ずつ運んで学校へ近づき、ついに教室のドアをくぐる、というプロセスには恐怖に近いものを感じました。
同学年の子たちと比べて身体が小さくひょろひょろで、成長も遅かった私。夏の間にいちだんと成長して大人び、健康そうに日に灼けて、生き生きとした表情で夏の思い出を自慢しあう同級生の姿を目の当たりにするのが恐ろしかった。彼らから嘲笑の混じったような視線を向けられるのも怖かったです。
たいてい、1〜2週間はお腹の具合も悪かったし、登校しただけで疲労困憊で、授業中にまっすぐ座っていられずに机に突っ伏しては先生に怒られていたような記憶があります。
2学期初日は無理やり起きてもまったく頭が動かないし、ちょっと歩いただけで足がだるくなり、息が上がるのでびっくり。
踵を返して家に帰りたくなる気持ちを必死に押し殺し、重い足を1歩ずつ運んで学校へ近づき、ついに教室のドアをくぐる、というプロセスには恐怖に近いものを感じました。
同学年の子たちと比べて身体が小さくひょろひょろで、成長も遅かった私。夏の間にいちだんと成長して大人び、健康そうに日に灼けて、生き生きとした表情で夏の思い出を自慢しあう同級生の姿を目の当たりにするのが恐ろしかった。彼らから嘲笑の混じったような視線を向けられるのも怖かったです。
たいてい、1〜2週間はお腹の具合も悪かったし、登校しただけで疲労困憊で、授業中にまっすぐ座っていられずに机に突っ伏しては先生に怒られていたような記憶があります。
大人になった今思う、不調の理由とできる対策
私は、今なら自分の特性を理解していますし、環境も自分で調整することができます。でも30年以上前だった当時は私を含め誰も発達障害やトラウマのことなんて知りませんし、子どもの教育をめぐる環境も今のように充実してはいませんでした。
だから、漫然と家族の状況や選択に巻き込まれ、自分の心身の健康にとってより良い生活習慣を心がけることもできなかった。それが残念でなりません。
「良かれ」で動くのではなく、本人の障害特性や性格、向き不向きを改めて確認して、できるだけ環境調整をする。夏休み中もできるだけ、将来の学校生活や社会生活に適応できるような生活リズムと活動内容を保つ。もしこうした対処に家族だけでは限界があるなら、専門医や各種支援者による指導や支援を受けることや、服薬といった選択肢を検討する……。
もしこうした対策ができたら、私のような子どももかなり元気に夏休みを過ごすことができるようになるのではと思います。
宇樹義子/文
だから、漫然と家族の状況や選択に巻き込まれ、自分の心身の健康にとってより良い生活習慣を心がけることもできなかった。それが残念でなりません。
「良かれ」で動くのではなく、本人の障害特性や性格、向き不向きを改めて確認して、できるだけ環境調整をする。夏休み中もできるだけ、将来の学校生活や社会生活に適応できるような生活リズムと活動内容を保つ。もしこうした対処に家族だけでは限界があるなら、専門医や各種支援者による指導や支援を受けることや、服薬といった選択肢を検討する……。
もしこうした対策ができたら、私のような子どももかなり元気に夏休みを過ごすことができるようになるのではと思います。
宇樹義子/文
(監修:鈴木先生より)
車酔いがあり、朝起きが苦手で昼まで寝てしまい、出かけると疲れて体調を崩し、夜更かしで生活リズムが乱れることなどから、恐らく起立性調節障害の併存もあったのではないかと思います。頭痛や立ち眩みもあったかもしれません。
起立性調節障害の併存があると昼夜逆転の生活になりがちです。そのため8月下旬から憂鬱になり、休み明けは不登校になることが多くみられます。また、夏休みはお子さんが家にいることで、親御さんにも負担がかかる期間です。
最近では放課後等デイサービスなどの利用でその負担を減らす傾向にあります。さらに放課後等デイサービスに行くことで起立性調節障害のお子さんは生活リズムを保つことができ、不登校を予防できるのです。トラウマや絶不調は単にASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)のせいだけではなかったのかもしれませんね。
車酔いがあり、朝起きが苦手で昼まで寝てしまい、出かけると疲れて体調を崩し、夜更かしで生活リズムが乱れることなどから、恐らく起立性調節障害の併存もあったのではないかと思います。頭痛や立ち眩みもあったかもしれません。
起立性調節障害の併存があると昼夜逆転の生活になりがちです。そのため8月下旬から憂鬱になり、休み明けは不登校になることが多くみられます。また、夏休みはお子さんが家にいることで、親御さんにも負担がかかる期間です。
最近では放課後等デイサービスなどの利用でその負担を減らす傾向にあります。さらに放課後等デイサービスに行くことで起立性調節障害のお子さんは生活リズムを保つことができ、不登校を予防できるのです。トラウマや絶不調は単にASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)のせいだけではなかったのかもしれませんね。

忘れ物問題は高校生の今も継続中!?発達障害親子、ルーティン崩れでバタバタの毎日でも

ADHDも?45歳目前で診断、服薬開始。ASD・双極性障害治療との両立で見えた新たな光

青春は勉強漬け、難関大合格もバーンアウト…ASDの私が40代の今も学び続ける理由

「自閉症息子の癇癪を防ぎたい」環境が変わる新学期、配慮を依頼した母がハッとした先生の言葉
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。


-
- 2