特性隠し限界…入院に。自閉症大学生が学び続けるために支援を申請。認められた合理的配慮は【読者体験談】

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ASD(自閉スペクトラム症)の特性を隠して、6年制の薬学部で必死に頑張ってきた僕。でも限界が来て倒れてしまいました。勇気を出して大学に合理的配慮をお願いしたのですが、思わぬことがあって……。【発達ナビではユーザーさんからのエピソードを募集中!今回は、ご本人の体験談として「大学での合理的配慮」についてのエピソードをご紹介します】

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

この記事で分かること

  • ASD(自閉スペクトラム症)の特性を隠し大学生活を送った結果、心身が限界を迎えた大学生のリアルな実体験
  • 合理的配慮を申請したときの流れと、実際に認められた支援内容
  • 配慮が適切に実施されなかったときに実際に行った対処法
  • 支援を受ける立場として大切だと感じたこと
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診断を隠し続けた果てに……心と体が悲鳴を上げた日

投稿者のプロフィール
  • 年齢:24歳
  • 診断名:ASD(自閉スペクトラム症)
  • 診断時期:16歳
  • エピソード当時の年齢:23歳

ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けている24歳の薬学生です。
中学時代は不登校だったため、出席日数が足りず、公立高校の受験を諦めるように言われました。とても悔しく、自分を否定されたような気がしてつらい思いをしました。

この経験もあって、大学では障害のこと、通院していることを隠し続けていました。でも、特性を隠して周りに合わせる生活は本当に厳しいものでした。マルチタスクが苦手な僕は、課題が多いときや締め切りが迫っているとき、要領よくこなすことが難しいからです。1つの課題にのめり込んでしまって時間がかかる。しかし、そのような状況であることを伝えられないまま、がむしゃらに頑張りすぎる。そんな状態だったので、単位が足りず留年も経験しました。

そして大学4年生のとき、ついに限界が来ました。講義に加えて学内実習が忙しくなり、課題が山積み。連日徹夜して課題をこなすことも多々ありました。そんな中で人間関係もうまくいかず、自傷行為が出るようになりました。そして疲労とストレスで倒れ、精神科に2週間入院することになったのです。
これ以上、自分の特性を隠し続けていては前に進めない。必要な支援を受けて、薬剤師になりたいと強く思いました。自分が変わらないと、目指していた医療従事者になれないと感じた僕は、退院後、思い切って大学の学務課に相談しに行きました。入院していたこと、困難はあるけれど学業を続ける意思があることを伝えました。すると職員の方が申請書類を渡してくれて、「学校にお願いしたいことを書いてください」と言ってくれたのです。

認められた配慮は以下の3つでした。
  • 欠席届に添付する診断書及び医療機関受診の証明書の免除
  • 学内実習で欠席時は後日補講実習
  • 不眠時の保健室利用

「ここまでしてもらえるのか」とありがたい気持ちでいっぱいでした。暗闇の中にいた僕にとって、本当に希望の光でした。
疲労とストレスで倒れ、精神科に2週間入院することに
疲労とストレスで倒れ、精神科に2週間入院することに
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「薬剤師になりたい」差し伸べられた手と、一筋の光

でも、予期せぬトラブルがありました。

体調不良で学内実習を欠席した日のこと。後日補講を受けられるはずだったのですが、友人から「先生、あなたのこと『出席したこととする』って言ってたよ」と聞いたのです。それを聞いて、直接担当の先生に確認をしにいきました。するとやはり、再実習はしないと言われたのです。合理的配慮を受けられることになり、これから頑張っていこうと思っていた矢先のことだったのでショックでした(もちろん、この先生以外で補習をしてくださらない先生はいらっしゃいませんでした)。

それに、欠席した事実があるのに「出席した」となったら、のちのちトラブルになるだろうとも思いました。学則上、不正な履修とみなされた場合は単位の取り消しもあり得ます。必死に、担当の先生教員にお願いしました。先生にも何か理由があったのかもしれません。何度依頼しても聞き入れてもらえなかったので、その上司にあたる教授に相談することにしました。
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