「安全」と「人目」の板挟みに……踏み切れなかったハーネス購入
何か対策をしなければとインターネットで検索し、子ども用のハーネスがあることを知りました。しかし、周りで使っている人をまったく見たことがなく、さらにインターネット上での批判の声を目にした私は、なかなか購入には踏み切れませんでした。当時の私は、トールの癇癪や衝動的な行動ですでに周囲からの冷たい視線を感じており、ハーネスを使うことでまたどんな目を向けられるかと、とても悩んだのを覚えています。また、ハーネスをしていたとしても前提として手を繋ぐことは必須だという話も聞き、それなら私の根本的な悩みは解決しないのではないかとも思いました。
手を離したらいけないという気持ちと、また肘が抜けてはいけないという気持ちの両方があって、どうするべきなのかとても悩んだのです。
今なら笑って許せる、必死だったあの頃の自分
トールは成長とともに急に走り出すなどの衝動的な行動も少なくなったので、いつのまにかこの悩みはなくなりました。小学校低学年の頃には、もう手を繋がなくても安心して歩くことができるようになっていました。
今振り返ると、人目を気にするよりもトールの安全を最優先に考えれば良かったのだと思えます。今回お話しした件に限らず、当時は深く悩んでいたことが今となっては笑い話のようになっているものも多いと感じています。必死に子育てしていたあの頃の自分を、今は笑って許してあげたい気持ちです。
今振り返ると、人目を気にするよりもトールの安全を最優先に考えれば良かったのだと思えます。今回お話しした件に限らず、当時は深く悩んでいたことが今となっては笑い話のようになっているものも多いと感じています。必死に子育てしていたあの頃の自分を、今は笑って許してあげたい気持ちです。
執筆/メイ
(監修:室伏先生より)
トールくんがまだ小さかった頃の出来事を、丁寧に振り返ってくださり、ありがとうございます。衝動的に走り出したり、店内でふっと姿が見えなくなる瞬間など、「もしものこと」を考えると本当に恐怖で、常に緊張感の強い毎日でしたよね。そんな状況で起きた肘内障(ちゅうないしょう)は、とてもショッキングな出来事であったと思います。
肘内障は、肘の橈骨頭(とうこつとう)という骨が輪状靱帯から外れかけた「亜脱臼」の状態です。肘内障は1〜6歳頃に起こるありふれた疾患で、1〜3歳頃が特に多いです。典型的には、手を引っ張った後に肘を痛がり、その後動かさなくなった(痛みで泣き続けるというより、動かさないことで痛みを避けている状態)ということが多いです。整復(医療者が肘をある方向に回す処置)で多くはすぐ治り、ギプス固定や手術などは必要になることは少ないです。一度肘内障になると靱帯や軟部組織が緩くなり、その後しばらくは再発しやすくなるという特徴もあります。「自分が引っ張ってしまったから」と罪悪感を抱かれる保護者の方はとても多いのですが、これは気をつけていても日常の中のささいな力で起こることがあるものですので、このような経験をされた方もどうかご自身を責めずにいてくださいね。
ハーネスの使用について迷われたこともご記載いただきました。そして、メイさんと同じように「周囲の視線が気になる」と感じられる保護者の方のご相談も多いですので、その悩みはメイさんだけではありません。一方で、専門職の立場ではハーネスは「子どもの安全を守るための合理的で実用的なサポート」と認識されており、お子さんの安全確保として正当な選択肢のひとつです。実際に、衝動的な行動が多く突然走り出してしまうことがある場合や、感覚過敏などで手を繋ぐことが苦手な場合など、ハーネスをご利用されているご家庭も少なくありません。もちろん、ハーネスを使っていても、手を繋ぐことは大切なことなのですが、子どもの安全を守るための“二重の安心策”となります。お子さんの不快感が強い場合など利用が難しいこともありますが、安全面でご不安がある場合には一度試してみていただけたらと思います。
子育て中は、本当に大変なことが積み重なりますよね。だからこそ、悩んでいる方には、どうか一人で抱え込まずに周囲を頼り、ご自身のことも大切にしてほしいと心から思います。
(監修:室伏先生より)
トールくんがまだ小さかった頃の出来事を、丁寧に振り返ってくださり、ありがとうございます。衝動的に走り出したり、店内でふっと姿が見えなくなる瞬間など、「もしものこと」を考えると本当に恐怖で、常に緊張感の強い毎日でしたよね。そんな状況で起きた肘内障(ちゅうないしょう)は、とてもショッキングな出来事であったと思います。
肘内障は、肘の橈骨頭(とうこつとう)という骨が輪状靱帯から外れかけた「亜脱臼」の状態です。肘内障は1〜6歳頃に起こるありふれた疾患で、1〜3歳頃が特に多いです。典型的には、手を引っ張った後に肘を痛がり、その後動かさなくなった(痛みで泣き続けるというより、動かさないことで痛みを避けている状態)ということが多いです。整復(医療者が肘をある方向に回す処置)で多くはすぐ治り、ギプス固定や手術などは必要になることは少ないです。一度肘内障になると靱帯や軟部組織が緩くなり、その後しばらくは再発しやすくなるという特徴もあります。「自分が引っ張ってしまったから」と罪悪感を抱かれる保護者の方はとても多いのですが、これは気をつけていても日常の中のささいな力で起こることがあるものですので、このような経験をされた方もどうかご自身を責めずにいてくださいね。
ハーネスの使用について迷われたこともご記載いただきました。そして、メイさんと同じように「周囲の視線が気になる」と感じられる保護者の方のご相談も多いですので、その悩みはメイさんだけではありません。一方で、専門職の立場ではハーネスは「子どもの安全を守るための合理的で実用的なサポート」と認識されており、お子さんの安全確保として正当な選択肢のひとつです。実際に、衝動的な行動が多く突然走り出してしまうことがある場合や、感覚過敏などで手を繋ぐことが苦手な場合など、ハーネスをご利用されているご家庭も少なくありません。もちろん、ハーネスを使っていても、手を繋ぐことは大切なことなのですが、子どもの安全を守るための“二重の安心策”となります。お子さんの不快感が強い場合など利用が難しいこともありますが、安全面でご不安がある場合には一度試してみていただけたらと思います。
子育て中は、本当に大変なことが積み重なりますよね。だからこそ、悩んでいる方には、どうか一人で抱え込まずに周囲を頼り、ご自身のことも大切にしてほしいと心から思います。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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