【年末年始に読みたい!】本田秀夫先生の新シリーズや中学受験実録エッセイ、学校臨床、睡眠の悩みなど注目書籍4選

ライター:【FOCUS】発達ナビ書籍ガイド
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今月は、学校臨床という「深い森」の実態を3人の視点から紐解く一冊、発達障害のある子と家族の中学受験“実録”コミックエッセイ、児童精神科医・本田秀夫先生監修による支援の新フェーズを説く新シリーズ、科学的に睡眠課題を解決へと導く小・中学生向けのハンドブックをご紹介します。

目次

「飛ばない教室」をどう生きるか?白黒つけない学校臨床という森の歩き方

「飛ばない教室」を生きる スクールカウンセラーは何ができるか
「飛ばない教室」を生きる スクールカウンセラーは何ができるか
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子どもたちが伸びやかに成長する姿を描いた名作『飛ぶ教室』。しかし現代の学校は、不登校や発達障害の顕在化、教師の多忙さなどが複雑に絡み合う「飛ばない教室」かもしれない――ベテランカウンセラーでもある著者・上田琢哉さんの新刊『「飛ばない教室」を生きる スクールカウンセラーは何ができるか』は、学校現場を「深い森」に例え、中学1年生の少年、若手教師、スクールカウンセラー、3人の物語を通して「解決」だけではない人と人との関わり方の可能性を描いています。

言葉にできないモヤモヤを抱えた少年。業務に追われ、子どもと向き合う時間のなさに苦悩する先生。そして、彼らの間に立つスクールカウンセラー。本書は、スクールカウンセラーの役割を「問題をすぐに解決する人」ではなく、事態が自然に収まっていくのを見守る、いわば学校という森に外部から新しい風を入れる「異人」として位置づけています。象徴的なのが、他者の顔色をうかがう周囲の姿に違和感を抱き、人を信じられなくなった少年のエピソード。子どもの悩みが見えにくいものへと変化した現代、学校組織は原因を探して早期解決を求めがちですが、彼のような言葉にならない苦しさには、白黒つけず事態が収まることを待つ時間が必要だと指摘します。その時、学校の論理から少し離れた「異人」として立ち、変化しようとする子どもを安全に受け止める「器」となること。本書では、そんなスクールカウンセラーという存在の意義が、丁寧に紐解かれています。

教育に携わる人だけでなく、対人関係に悩む人にとっても、他者との柔らかな関わり方を考えるヒントとなるような一冊です。

※著者:上田琢哉(琢は点付きの旧字です)
「飛ばない教室」を生きる スクールカウンセラーは何ができるか
上田琢哉(著)
教育評論社
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マンガで読む「わが家の正解」を見つける旅。発達障害×中学受験という選択肢

発達障害っ子の中学受験
発達障害っ子の中学受験
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「公立中学校の環境がわが子に合うだろうか」「内申点や人間関係でつまずかないか」。子どもの進学を前に、そんな漠然とした不安を感じたことはありませんか。中学受験は難関校を目指す子だけのものではなく、特性のある子が「自分らしく過ごせる居場所」を見つけるための選択肢でもある。そう教えてくれるのが、『生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした』の著者・モンズースーさんが、発達障害のある4人の子どもとその家族の挑戦を描いた実録コミックエッセイ『発達障害っ子の中学受験』です。

ADHD(注意欠陥多動性)やASD(自閉スペクトラム症)などの特性がある子どもたちが、なぜ受験を決めたのか、どのように塾や志望校を選んだのか。本書には、一般的な偏差値やマニュアルだけでは測れない「わが家の正解」を見つけるまでのリアルな葛藤と成長が描かれています。服薬療法の検討や合否へのプレッシャーなど、揺れ動く親子の本音、さらに専門家による解説コラムも充実。受験ノウハウを超えた「できないことを減らすより、困らない環境を探す」という視点は、子育てにおいても大切なヒントを与えてくれます。

保護者の方はもちろん、これからの学校生活に不安を感じているご本人にも、ぜひ手にとってほしい一冊。自分と同じように迷いながらも進んでいく同世代の姿は、きっと心強いエールとなるはずです。
発達障害っ子の中学受験
モンズースー(著)、小川大介(監修)、橋本圭司(監修)
KADOKAWA
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行動管理から「こころ」の理解へ。本田秀夫先生が説く、自立を支える新しい支援論

神経発達症の理解と支援 基礎から学び、実践に活かす
神経発達症の理解と支援 基礎から学び、実践に活かす
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児童精神科医・本田秀夫先生が監修する新シリーズ『こころの発達インサイト』の第1弾となる『神経発達症の支援と理解』が刊行されました。本書が提示するのは、神経発達症(発達障害)支援の大きな転換点です。従来の行動管理的なアプローチから、当事者特有の「こころの動き」や感じ方を主観的に理解する、ニューロダイバーシティの視点へ。支援のあり方を根本から問い直す、現代に必要な指針が示されています。

本書は、総論にとどまらず、アセスメント、そしてASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)といった各特性への具体的な理解にまで深く踏み込んでいるのが特徴です。例えば、知的障害(知的発達症)においては、IQ(知能指数)だけで判断することの危うさを指摘。実際に生活を営む力である「適応機能」が重要視されていることを解説し、知的障害(知的発達症)や境界知能の領域にいる人々が抱えやすい社会生活での困難さに光を当てています。さらに、当事者によるエッセイも収録。実際に感覚過敏やパニックを経験した方の生の声に触れることで、支援の理論がより立体的に浮かび上がるはずです。

全体を通して貫かれているのは、社会に適応しようと無理を重ねてしまう「過剰適応」への警鐘です。思春期以降は大人が先回りせず、本人の試行錯誤を支える黒衣(くろご)のような役割へシフトすることなど、対人支援の原点を見つめ直すきっかけを与えてくれます。「何ができるか」という特定のスキルの獲得や特性の軽減よりも、まずは安心して過ごせる精神保健(メンタルヘルス)的なアプローチが最優先であると、本書は力強く断言します。

社会に適応しようと自分に厳しいノルマを課している苦しさに気づき、「しんどくない?」と言葉をかけること。そして、失敗しても大丈夫と思える範囲で、本人が選んでやってみる「支援つき試行錯誤」を支えること。それこそが、本当の意味での本人の自立と信頼を育む道だと教えてくれます。
神経発達症の理解と支援 基礎から学び、実践に活かす
本田秀夫(監修、編集、著)
金子書房
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イライラや行き渋りが変わるきっかけに。子どもの脳と心を守るハンドブック

新版「みんいく」ハンドブック 小学校 ~睡眠について知ろう~
新版「みんいく」ハンドブック 中学校 ~よい睡眠を実践しよう~
新版「みんいく」ハンドブック 小学校 ~睡眠について知ろう~ 新版「みんいく」ハンドブック 中学校 ~よい睡眠を実践しよう~
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お子さんがなかなか寝てくれない、朝起きられない、こうした状況に頭を抱える保護者の方は多いのではないでしょうか。特に感覚過敏やこだわりがあるお子さんにとって、睡眠リズムの調整は気持ちの問題では解決できない切実な課題といえます。些細なイライラや行き渋りといった困りごとも、本人の性格ではなく睡眠の質が深く関わっているケースが少なくありません。

そんな睡眠の悩みを、科学と環境調整で解決へと導くのが『新版「みんいく」ハンドブック』の小学校版と中学校版です。本書の特長は、睡眠を子ども自身が納得して身につけるスキルとして扱っている点にあります。
小学校版では、寝る意味を「脳のゴミ掃除」という分かりやすいイラストで図解。目に見えない時間を塗りつぶす「睡眠票」などの視覚支援を使えば、自分のリズムを客観視しやすくなります。視覚優位や文字が苦手なお子さんでも、なぜ寝る必要があるのかを直感的に理解できる工夫が満載です。

中学校版では、思春期のメンタルヘルスに寄り添います。頑張るために睡眠を削るのがいかに非効率か、休日の寝だめによる「社会的時差ボケ」がどう心身に影響を及ぼすのかをデータで提示。家庭での火種となりがちなスマホとの距離感も、禁止するのではなく脳科学の視点から論理的に解説されています。

部屋の明るさや音など、感覚面への具体的なアドバイスも充実。親子で生活習慣を見直す第一歩として、ぜひ活用してみてください。
新版「みんいく」ハンドブック 小学校 ~睡眠について知ろう~
内村直尚 (監修)、木田哲生(編集・著)「みんいく」地域づくり推進委員会 (編集)
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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