いきいきとした大学生活。「私は私で良い」と思えるようになるまで

現在の大学生活は、週5日フルで授業が詰まっており、非常にハードなものです。それでも娘は、自分で選んだ道だからか、以前とはまったく違い、いきいきと過ごしています。特に60分間英語だけで会話するスピーキングの授業が大好きだと言い、夢中で楽しんでいるようです。

娘自身の変化にも驚いています。時間管理が苦手だった娘が、目覚まし時計を何回もセットして自ら早起きの練習を始めました。友人と電話で起こし合ったり、時には大学近くに住む友人の家に泊めてもらい、家事を分担しながら通学したりと、周囲の助けを借りる工夫もしています。友人のほうが寝坊した時は、娘が起こしてあげることもあるそうです。

以前は「みんなと違う自分が嫌い」と泣いていた娘が、先日こんな言葉を口にしました。
「皆が私のことを可愛いって言ってくれる。私は今の私が好き。私は私で良いんだ」

「個々の個性を尊重し、互いの違いを認め合う」という趣旨の教育目標を掲げ、多様性について深く学ぶこの大学の方針が、娘の特性にうまくマッチしたのだと感じています。高校の修学旅行はパニックなどもありキャンセルしてしまいましたが、今は自分で計画を立て、友人たちと旅行やランチを楽しんでいます。

もちろん、この先の就労や、自立への不安は尽きません。ですが、アルバイトを通してマルチタスク能力も向上してきました。後期の履修登録も自分一人でやり遂げ、「やりたい仕事を探して自分で決める」と言う今の娘なら、自分の力で道を切り開いていける気がしています。

「今の私が好き」と言える未来へ。娘が自ら道を切り開く日を信じて

娘は今、2年生での留学に向けて、ホストファミリーへのお土産について友人と相談するなど、少しずつ準備を進めています。円安の影響で費用面は苦しいですが、「留学費用は自分で貯めること」と伝え、自立に向けた一歩を見守っています。
小学1年生から始まった月1回の通院は今も続いていますが、いつか通わなくていい日が来るのではと感じるほど、娘は成長しました。わが家の進路選びを振り返ると、大切だったのは、親が情報を集めつつも、最終的には本人が「ここなら頑張れる」と納得できる環境に出合うまで、根気強く足を運ぶことだったと感じています。これからも、娘の成長をひたすら見守り、親子で壁を乗り越えていきたいと思っています。
イラスト/マミー・マウス子ビッツ
※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。

(監修:新美先生より)
高校生のお子さんの進路を決める過程について丁寧に聞かせてくださりありがとうございます。迷いながらも情報を集め、現実的な条件を整理しつつ、最終的には娘さん自身の意思を尊重して伴走された保護者さんがすばらしいです。

記事の娘さんの姿からも感じたのは、本人の目標が明確になった時の成長は目を見張るものがあるというところです。娘さんが「先生になりたい」「英語を深く学びたい」と自分の言葉で語り始めたことは、大きな転機だったのでしょう。目的意識は日々の努力を支えるだけでなく、困難に直面した時に踏みとどまる力にもなります。実際に大学生活の中で自己管理や対人関係の面に前向きな変化が見られていることからも、「自分で選んだ道」であることの意味の大きさが伝わってきます。

また、偏差値だけで判断するのではなく、オープンキャンパスを通して大学の雰囲気や支援体制との「相性」を確かめた点も重要です。発達特性のある学生にとって、環境との適合は学業の継続や自己肯定感に大きく影響します。事前に障害学生支援制度を確認し、入学前から支援につなげておくという準備は、多くのご家庭にとって参考になるでしょう。さらに、書類作成などを少しずつ本人に任せていく関わりは、自立への確かな一歩になります。

「私は私で良い」と思えるようになった娘さんの言葉は、自分に合った場所で学び、受け入れられているという実感の表れでしょう。志を同じくした学生時代の友人とは、対等に励まし合える関係を築きやすいと言えるのかもしれません。高1からじっくりと情報を集めて、実際に足を運び、親子でしっかりコミュニケーションをとるという丁寧な進路選択をしてきた結果だと感じました。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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